ゲーム業界の転職を考え始めた段階で、いきなり担当者と話すのは負担が大きいと感じることがあります。
作品を見せることが前提の職種のため、話す準備より先に、手元の材料を整える必要があるからです。
ここでは、面談を挟まずにどこまで進められるのか、その先で何が必要になるのかを整理します。
面談の前に求人だけ見ておきたい段階がある
採用は即戦力に集中している
ゲーム産業の平均年収は2025年に723万円で、2024年の708万円から15万円上がりました。
初任給も25万9,000円と、前年から2万3,000円増えています(出典: 日本経済新聞)。
一方で総就業人口は約20万人、平均年齢37歳・平均勤続7年とされています(出典: 日本経済新聞)。
採用ニーズは、キャラクターモデリング・背景モデリング・リギング・アニメーションといった専門スキルを持つ3Dデザイナーに集中しており、経験・実績・ポートフォリオが重視されるとされています(出典: シリコンスタジオエージェント)。
グローバルで見ても、採用は経験5〜15年の中堅プロフェッショナルに集中する傾向があります(出典: GAMES.GG)。
限られた枠を、すでに現場で成果を出している人が動いている市場です。
そのため何ができるかを作品で示せるかが先に問われます。
準備が整わないまま人と話しても差は埋まらない
ポートフォリオが発展途上の段階で面談に進むと、求められる水準とのギャップを確認して終わることがあります。
何が足りないかを具体的に指摘してもらうにも、比べる対象を自分が持っている必要があります。
先に求人票を並べておくと、聞くことの中身が変わります。
「どんな求人がありますか」ではなく「この要件のうちどこが必須ですか」という質問に変わり、返ってくる答えも具体的になります。
在職中は面談の時間を作りにくい
転職活動にかかる期間は3〜6ヶ月が目安とされています(出典: マイナビ転職)。
制作の山場と重なる時期に面談の予定を入れると、準備が薄いまま臨むことになります。
求人を見るだけなら、まとまった時間は要りません。
手を動かす時期と人と話す時期を分けるという進め方ができます。
在職中の時間の作り方は在職中の転職活動はどう進める?で整理しています。
転職を考え始めたら最初にやること
求人票の必須要件を10件並べる
第一歩は応募ではありません。
同じ職種・同じ経験年数の求人票を10件ほど並べ、必須要件に何が書かれているかを見比べることです。
共通して出てくる項目が、書類とポートフォリオで説明すべき内容とほぼ一致します。
この作業には応募の意思が要りません。
転職するかどうかを決めていない段階でも進められます。
決めていない段階での動き方は転職するか迷っている段階では何をする?、求人票のどの欄に何が書かれるかは求人票のどこを読むかにまとめています。
相場は幅の下限がどこに集まるかで見る
想定年収は幅で提示されることが一般的です。
上限だけを見ると実態から離れます。
複数の求人を並べて、幅の下限がどこに集まっているかを見るほうが相場の見当がつきます。
提示された幅の中で自分がどこに入るかは、金額そのものではなく要件の記述と照らし合わせて考えるほうが実態に近づきます。
書類と作品は求人の言葉に合わせて作る
要件を数えてから書類に取りかかると、書く順番が決まります。
担当した工程・使用ツール・チームの規模・関わった期間を、求人票で使われている言葉に置き換えていく形です。
作品も同じで、題材を決める前に要件を見たほうが、作ったものと応募先の求めるものがずれにくくなります。
書類側の整理は職務経歴書はいつ作ればよいか、出せる作品がない場合の進め方はポートフォリオなしでクリエイター職に応募できる?で扱っています。
ゲーム・クリエイティブ向けサービスは入口の形で分かれる
ここまでの手順は、担当者と話さなくても進められるものばかりです。
ところが、この分野のサービスは面談を前提とした設計のものが多く、入口の形によって最初にできることが変わります。
当サイトが扱うゲーム・クリエイティブ向けサービスは16件で、内訳は登録型が4件、面談実施型が9件、申込型が1件、残る2件はスクールの説明会が入口です。
登録型は登録した時点で求人が見られる
会員登録を終えた時点で求人検索に進める形が登録型です。
担当者との日程調整を挟まないため、最初の一歩のハードルが低くなります。
当サイトのデータでは、G-JOBエージェント、シリコンスタジオエージェント、転職ボックス、レバテッククリエイターの4件が登録型で、いずれも対応地域は全国です。
面談実施型がこの分野では最も多い
面談実施型は9件で、4つの形の中で最も多い区分です。
マイナビクリエイター、Hiraku agent、ファミキャリ!、Vookキャリア、HIGHFIVE、CREATIVE JOB、マーケティング・クリエイティブ職種特化型の人材紹介サービスが全国を対象としています。
Geeklyは東京・神奈川・埼玉・千葉、AnyKanは東京・京都が対象です。
この分野で面談型が多いのは、評価の対象が作品だからだと考えられます。
担当した工程や品質の水準は書類だけでは判断しづらく、作品を見ながら話す形が取られやすくなります。
申込型とスクール経由は入口が別
申込型は1件で、IT・Web・ゲーム業界を専門とする人材紹介会社のサービスです。
対応地域は東京・神奈川・埼玉・千葉に加えて、大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山の10都府県です。
申し込みの時点では相談の意思を示すだけで、その後に日程を決める形になります。
残る2件はデジタルハリウッドSTUDIOとデザスタで、いずれも無料説明会が入口です。
未経験からWebデザインやCG制作を目指す場合のルートで、転職サービスとは別の入口になります。
いま自分がどちらの段階にいるかを先に整理しておくと、登録先の選択で迷いません。
入口の形は申込ページの文言で分かる
どの形かは、登録する前に読める文言で判断できます。
「登録後、担当者よりご連絡します」とあれば面談型、「求人を検索できます」とあれば登録型です。
迷ったら、登録ボタンの周辺に書かれている説明を読みます。
登録型の4件はいずれも全国が対象
面談の予定を立てる前に傾向を確認できる
登録型の4件は、対応地域がすべて全国です。
居住地で候補が減らないため、まず求人の傾向だけ見たいという使い方に向いています。
登録の段階で入力を求められるのは、経歴と希望条件です。
担当工程と使用ツールを大まかにでも整理してから登録すると、その日のうちに求人を見るところまで進みます。
何も用意せずに始めると、入力の途中で止まります。
扱う職域はサービスごとに違う
クリエイターと一括りにされる職種は幅が広く、3DCGモデリング、アニメーション、エフェクト、サウンド、シナリオ、UIデザイン、Webデザイン、ディレクションと分かれています。
登録型の4件も、中心に扱う職域は同じではありません。
Web制作寄りの職域を中心に扱うサービスに、ゲーム開発のサウンド職で登録しても、出てくる求人の数は期待通りになりません。
自分の職域がそのサービスの中心にあるかを、登録後の検索結果で確かめます。
職域の違いはWebデザイナーとゲーム職、探し方の違いとは?、運営会社ごとの違いはゲーム業界の転職は大手が安心?にまとめています。
全国対応でも求人の分布は偏る
対応地域が全国と表示されていても、紹介できる求人が全国に均等にあるとは限りません。
ゲーム開発やWeb制作の会社は都市部に集中する傾向があり、地方の求人数は表示から受ける印象と差が出ます。
登録型であれば、この差を自分で確認できます。
勤務地とリモート可の条件で検索し、件数を数えるだけで判断材料になります。
地域ごとの内訳は地方在住でクリエイター職に転職できる?で扱っています。
登録型で求人票のどこを見るか
必須要件と歓迎要件の境目
先に見るのは、必須要件と歓迎要件の境目です。
必須に入っている項目が、書類と作品で説明すべき内容になります。
歓迎要件しか満たしていない場合でも、必須側を別の経験で説明できるかどうかが判断の分かれ目です。
同じ職種名でも工程の比重が違う
同じ「3Dデザイナー」という職種名でも、求人によってモデリング・リギング・アニメーションのどこに比重があるかが違います。
使用ツールも会社ごとに固定されていることがあります。
複数の求人票を見比べると、自分の強みと市場の需要のずれが見えてきます。
ずれの中身が分かれば、次に作る作品の題材も決まります。
雇用形態と契約期間は別の欄として読む
当サイトが扱う16件はいずれも正社員の求人を対象としていますが、業界全体では期間の定めがある契約も広く使われています。
株式会社コンフィデンスが2022年9月に実施した社員アンケート(回答者321人)では、ゲーム業界は有期雇用契約が多く、正社員雇用の安定性を理由に転職する動きも一定数見られると整理されています(出典: 株式会社コンフィデンス)。
そのため、求人票では雇用形態の欄と契約期間の欄を分けて読む習慣をつけておくと、条件を並べたときに取り違えません。
契約の形ごとの違いはゲーム業界に多い有期雇用契約とは?にまとめています。
面談なしで進められる範囲を確認しておく
扱っているのは正社員の求人
当サイトが扱うゲーム・クリエイティブ向けサービス16件は、入口の形を問わずいずれも正社員の求人が対象です。
フリーランスのクリエイターとして案件を受ける働き方や、業務委託の案件を中心に探す進め方は、この経路の外にあります。
案件を扱うサービスを使う場合は、当サイトの掲載範囲の外で探すことになります。
働き方そのものを比べたい場合は、収入の受け取り方・仕事の獲得経路・事務作業の3点で違いが出ます。
この構造は職種を問わず共通するため、フリーランスと正社員、エンジニアはどちらを選ぶ?が参考になります(ITエンジニア向けにまとめたものです)。
契約社員や派遣という形との違いは正社員以外(契約・派遣)で探す選択肢で扱っています。
正社員の求人で条件を並べたうえで比べると、判断の基準ができます。
順番としては、まず正社員側の相場を確定させるほうが確実です。
面談なしで進むのは求人を見る段階まで
登録型で完結するのは、求人を見て条件を確かめるところまでです。
応募に進めば企業の選考が始まり、面接の日程が入ります。
サービス側の担当者とのやり取りが発生することもあります。
面談なしで転職まで終わるという意味ではないという点は、最初に置いておくほうが計画が崩れません。
併用する数を先に決めておく
転職エージェントの登録社数は平均2.1〜2.3社とされています(出典: キャリアアップステージ)。
登録型は入口のハードルが低いぶん、数を増やしやすくなります。
ただし、連絡のやり取りが増えると求人を読む時間が削られます。
上限を先に決めておくほうが管理しやすくなります。
面談型に進むのはどの時点か
ポートフォリオとの差が具体的になってから
登録型で必須要件を見比べ、自分の作品に足りない部分が具体的になった段階が、面談型に進む目安です。
何を補えばよいかが決まっているぶん、面談で交わす話が具体的になります。
面談型は時間の確保が必要になりますが、求人票に書かれていない部分を口頭で尋ねられる点が利点です。
募集が増員か欠員か、担当するタイトルがどの工程にあるか、といった質問は、求人を日常的に扱っている相手に聞くほうが具体的な答えが返ります。
対象条件は登録の前に読める
面談型には対象条件が定められているものがあります。
当サイトのデータでは、HIGHFIVEは対象年齢20歳〜49歳、CREATIVE JOBは対象年齢20歳〜49歳かつ日本国内居住で、映像・ゲーム・Web・広告関連の業界と職種の経験年数1年以上が対象とされています。
AnyKanは23歳〜44歳の業界業種実務経験者が対象です。
対応地域の考え方も、住む場所か働く場所かで変わります。
Geeklyは現在の居住地に関係なく、一都三県での転職を希望する方が対象とされています。
条件は変わることがあるため、登録の前に各サービスの公式サイトで確認してください。
当てはまらないサービスに時間を使わずに済みます。
求人票に書かれていないことを聞く
面談で聞く価値があるのは、制度の有無ではなく運用のほうです。
求人票を読めば分かることを尋ねると、限られた時間が埋まってしまいます。
質問は3つほどに絞っておくと話がまとまります。
業界全体の採用傾向はゲーム業界への転職はどう進める?、職種ごとの評価軸はゲーム業界の面接は何を聞かれる?にまとめています。
まとめ
- ゲーム業界の採用は経験・実績・ポートフォリオを持つ即戦力に集中している
- 当サイトのデータでは16件の内訳が登録型4件・面談実施型9件・申込型1件・スクール経由2件
- 登録型の4件はいずれも全国が対象で、面談の日程を決める前に求人を見られる
- 扱う職域はサービスごとに違うため、自分の職域が中心にあるかを検索結果で確かめる
- 16件はいずれも正社員の求人が対象で、フリーランスの案件探しとは経路が違う
- 面談なしで進むのは求人を見る段階まで。
応募すれば選考のやり取りが始まる - 面談型には対象年齢や経験年数の条件が定められているものがあり、登録の前に読める



