「気になる求人があれば内容を確認してください」と書かれていても、求人票のどこを見るかまでは書かれていないことがほとんどです。
上から順に読むと、時間はかかるのに何が違ったのか覚えていない、という状態になります。
求人票は読み物ではなく、比較するための表です。
見る項目を先に決めて、複数の求人で同じ場所を並べると、条件の差がそのまま出てきます。
ここでは欄ごとに何を見るかを整理します。
全文を読むのではなく同じ場所を並べる
見る項目を先に決める
1件目を丁寧に読み込むより、5件を同じ項目で見るほうが判断材料になります。
給与の内訳、労働時間の形、年間休日、応募要件、雇用形態の5つを固定すると、求人ごとの違いが数行で表せます。
この作業は、転職するかどうかを決めていない段階でもできます。
むしろ決める前のほうが、条件を素直に見られます。
進め方は転職するか迷っている段階では何をする?にまとめています。
5件を1枚の表にする
比較の形は、表にすると扱いやすくなります。
1行に1件を置き、列に会社名、勤務地、雇用形態、月給の下限、固定残業代の有無、年間休日、必須要件、気になった点を並べます。
項目を固定すれば、8つの列で1件が表せます。
表に書けなかった項目が、そのまま不明点になります。
空欄が多い求人は、公開されている情報が少ないという事実がその場で見えます。
件数を増やすより、同じ項目で埋まった5件のほうが判断に使えます。
掲載の時期を確認する
求人票には、掲載日や更新日が示されていることがあります。
長く出ている求人と、直近で出た求人では、募集の状況が違う可能性があります。
書かれていなければ、いつからの募集かは質問の対象です。
同じ企業の求人が、複数のサービスに出ていることもあります。
条件の記載が食い違っている場合、どちらが新しいかを確認してから読みます。
募集要項が更新されていて、片方に古い内容が残っていることがあります。
求人票と労働条件通知書は別のもの
求人票は募集の段階で示される条件で、幅を持って書かれることがあります。
実際に結ぶ契約の条件は、内定後に交付される書面で示されます。
労働基準法では、労働契約を結ぶ際に使用者が労働条件を明示することとされています。
つまり、求人票の記載は最終的な条件そのものではありません。
求人票で候補を絞り、内定後の書面で確定した条件を確認する、という二段構えになります。
給与欄で見る場所
月給に何が含まれているか
提示された月給に固定残業代(みなし残業)が含まれている場合、その旨と対象の時間数が書かれます。
含まれているかどうかで、同じ金額でも実際の労働時間が変わります。
時間数を超えた分が別に支払われるかどうかも、あわせて記載されるのが一般的です。
基本給と各種手当の内訳も確認します。
住宅手当や家族手当のように、条件に該当しなければ支給されないものが含まれていることがあります。
総額だけを見て比較すると、この差が見えません。
年収は幅で書かれることが多い
「350万円〜600万円」のような書き方は、経験や役割によって幅があるという意味です。
自分の経験年数がどのあたりに当たるかは、求人票だけでは判断できません。
下限に近い額を前提に見ておくと、後で落差が生まれにくくなります。
賞与の欄も、「年2回」とだけ書かれている場合と、支給実績が示されている場合で意味が違います。
実績の記載がなければ、金額は確定していないものとして扱います。
年収の交渉については転職の年収交渉はできる?で扱っています。
昇給の記載は言葉を確認する
「昇給あり」「昇給年1回」という記載は、上がる金額を示すものではありません。
制度として昇給の機会があるという意味です。
実績の記載があるかどうかで、読み取れる情報の量が変わります。
年収がどう決まるかの全体像は転職で年収は上がる?にまとめています。
「経験・能力を考慮の上、決定」とだけ書かれている場合
金額の代わりにこの表記だけが置かれていることがあります。
この場合、求人票からは水準が読み取れません。
同じ職種の他の求人で示されている幅を並べ、目安を持ってから話に入ることになります。
自分の希望額を先に決めておくと、提示された金額をその場で判断できます。
決めていない状態で金額を聞くと、比較の相手が無いまま返事をすることになります。
労働条件欄で見る場所
労働時間の形
始業と終業の時刻に加えて、変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制といった記載があるかを見ます。
制度によって、日ごとの勤務時間の決まり方が変わります。
休憩時間の長さも、拘束時間に影響します。
休日の書き方
一般に「完全週休2日制」は毎週2日の休みがある形、「週休2日制」は月に1回以上、2日の休みがある週がある形として区別されます。
言葉が似ているため、どちらで書かれているかを確認します。
より確実なのは年間休日の日数です。
日数で書かれていれば、制度の呼び方に関係なく比較できます。
祝日の扱いや夏季・年末年始の休みが年間休日に含まれるかは、記載がなければ質問の対象になります。
勤務地の欄と実際の就業場所
会社の所在地と、実際に働く場所が同じとは限りません。
本社の住所だけが書かれている場合、そこが就業場所とは限らない状態です。
所在地の欄と就業場所の欄が別に設けられていれば、見るのは後者になります。
通勤時間は就業場所で決まるため、ここが読み取れないと他の条件を比べても意味が薄くなります。
最寄り駅からの所要時間まで書かれていることもあり、記載がなければ住所から自分で調べます。
候補地が複数挙がっている場合、最も遠い場所を前提に見ておくと落差が生まれません。
社会保険と福利厚生の欄
「各種社会保険完備」とだけ書かれ、内訳が示されていない求人票があります。
福利厚生の欄も、制度の名前が並ぶだけで、対象者や条件が書かれないことがあります。
住宅手当や資格取得の支援のように、条件に該当した場合に受けられるものは、条件のほうが重要です。
名前だけで判断せず、支給や利用の要件が書かれているかを見ます。
書かれていなければ、そのまま質問に回します。
試用期間と雇用形態
試用期間の有無と長さ、その間の労働条件が本採用時と違うかどうかを見ます。
給与や手当の扱いが変わる場合、その旨が書かれます。
雇用形態の欄では、期間の定めがあるかどうかを確認します。
有期契約であれば契約期間と更新の条件、正社員登用の制度があるかが判断材料になります。
正社員以外の形については正社員以外(契約・派遣)で探す選択肢で扱っています。
仕事内容欄と応募要件欄
業務の範囲がどこまで書かれているか
同じ職種名でも、任される範囲は募集ごとに違います。
業務内容の欄から、担当する工程や領域を箇条書きで書き出しておくと、複数の求人を横に並べられます。
「その他付随業務」とだけ書かれている部分は、範囲が確定していません。
中心の業務が具体的に書かれていれば、付随業務の記載が広くても読み取れる情報はあります。
逆に、全体が抽象的な表現で埋まっている場合は、質問しないと分からない状態です。
必須と歓迎を分けて読む
応募要件は「必須」と「歓迎」に分かれていることが多く、実務経験や資格がどちらに書かれているかで位置づけが変わります。
必須要件は選考に進むための条件、歓迎要件は加点の材料という扱いです。
年数や年齢のように数字で書かれた条件は、解釈の余地がありません。
自分が該当するかを先に確認すれば、対象外の求人に時間を使わずに済みます。
備考欄と特記事項
転勤・異動の範囲
勤務地の欄に「転勤あり」「転勤なし」の記載があるか、異動の範囲がどこまでかを見ます。
勤務地が複数書かれている場合、配属先がどう決まるかは書かれていないことがあります。
選考の流れと回数
面接の回数、書類選考の有無、適性検査があるかどうかが書かれていることがあります。
オンラインで実施されるかどうかも、記載があれば予定を立てやすくなります。
準備の仕方はオンライン面談の準備にまとめています。
就業場所の環境に関する記載
就業場所での受動喫煙対策について記載がある求人票があります。
備考欄には、こうした細かい条件がまとめて置かれることが多く、給与や休日ほど注目されない一方で、実際の働き方に関わる情報が含まれます。
分からなかった項目は質問に回す
空欄と抽象的な表現を控えておく
求人票を読んで判断できなかった項目は、そのまま質問の候補になります。
募集の背景が増員か欠員か、残業の実際の時間、配属先の人数構成などは、記載されていないことが多い項目です。
面談を伴うサービスであれば、この一覧をそのまま持ち込めます。
求人票に書かれている項目を聞いても情報は増えないため、書かれていない部分に絞るほうが時間を使えます。
サービスの方式ごとの違いは登録型と面談型の転職サービス、どちらを選ぶ?で扱っています。
条件の食い違いは早い段階で解消する
求人票の記載と、面談で聞いた内容が違う場合は、その時点で確認します。
内定後の書面まで持ち越すと、判断の期限が近づいた状態で調整することになります。
無料で使える範囲や費用の仕組みについては転職支援はすべて無料?にまとめています。
求人票は内定が出るまで手元に残す
応募した求人票は、印刷するか画面を保存して残しておきます。
内定が出ると労働条件の書面が交付されるため、募集時の記載と照らし合わせられます。
求人は掲載が終われば見られなくなり、後から確認できません。
時間が経つと、どの求人にどう書かれていたかは覚えていません。
控えがあれば、記憶ではなく記載で確認できます。
確認する項目と、違いに気づいたときの進め方は労働条件通知書の確認ポイントにまとめています。
まとめ
- 求人票は全文を読むより、同じ項目を複数の求人で横に並べるほうが差が見える
- 給与欄は総額ではなく、固定残業代の有無と内訳、賞与と昇給の書き方を見る
- 休日は制度の呼び方より年間休日の日数で比較する
- 応募要件は必須と歓迎を分けて読み、数字の条件は先に該当を確認する
- 書かれていない項目を控えておくと、そのまま面談で聞く質問リストになる
- 勤務地が「本社および各事業所」の形なら、配属の決まり方と時期を確認する
- 応募した求人票は控えを残し、内定後の書面と照らし合わせる



