在職中にスカウト型のサービスへ登録するとき、最初に気になるのは「この経歴は誰に見えるのか」という点です。
勤務先の人事や、取引先の担当者に見つかる可能性が頭をよぎります。

多くのサービスには公開範囲を制御する設定が用意されていますが、名称も操作の場所もサービスごとに違います。
ここでは、設定がどういう層に分かれているのか、どこまで制御できてどこからは制御できないのかを整理します。

誰が何を見ているのかを先に把握する

検索される段階と、開いて読まれる段階は別

企業や担当者は、登録されたすべての経歴を頭から読んでいるわけではありません。
職種、経験年数、勤務地、資格といった条件で絞り込み、残った中から開いて読みます。

つまり、経歴が人の目に触れるまでには2つの段階があります。
条件による絞り込みで候補に入る段階と、開いて詳細を読まれる段階です。
公開範囲の設定は、この2つの段階のどちらに効くかで意味が変わります。

実名と社名が出るタイミングはサービスによる

多くのサービスでは、絞り込みの段階で氏名や現在の勤務先が表示されない形が取られています。
企業側が見ているのは、職種や経験といった属性の情報です。

ただし、この扱いはサービスごとに違います。
どの項目が最初から見えていて、どの項目が後から開示されるのかは、ヘルプページに記載があります。
登録の前に読める情報であり、後から調べるより早く済みます。

呼び方が統一されていない

同じ機能でも、サービスによって呼び方が違います。
「公開設定」「レジュメの公開範囲」「ブロック設定」「企業非公開設定」といった名称が使われます。

そのため、検索して出てくる他のサービスの解説をそのまま当てはめられません。
自分が使うサービスのヘルプで、設定の名称と操作の場所を確認します。

設定は3つの層に分かれる

1. 経歴そのものを公開するかどうか

最も大きい単位の設定です。
登録した経歴を企業側の検索の対象にするかどうかを切り替えます。
非公開にすれば、絞り込みの段階で候補に入りません。

登録の作業中や、書きかけの状態で置いておきたい場合に使う設定です。
この状態では連絡は届きません。

2. 特定の企業を指定して表示しない

現職や取引先など、見られたくない企業を指定して、その企業からは経歴が見えないようにする設定です。
多くのサービスで用意されています。

指定は会社名で行うため、正式な商号で登録する必要があります。
略称や通称で入力すると一致せず、設定が効かないことがあります。
登記上の名称は、勤務先の会社概要ページや自分の雇用契約の書面で確認できます。

3. 項目ごとに伏せる

氏名、現在の勤務先名、連絡先といった項目を個別に伏せられる場合があります。
経歴の内容は見せたうえで、特定できる情報だけを隠す形です。

この設定があると、検索の候補には入りながら、誰なのかは分からない状態を作れます。
連絡が届いた後に、こちらの判断で開示する流れになります。

3つの層を組み合わせる

実際の運用では、この3つを組み合わせます。
経歴は公開し、勤務先と関連する企業はブロックし、社名は伏せる、という形が在職中には取りやすくなります。

どの層まで用意されているかはサービスによって違います。
用意されていない層があれば、その分は別の方法で塞ぐという考え方になります。

強くかけすぎると届かなくなる

母数が減るというトレードオフ

設定を強くするほど安全になりますが、同時に候補に入る機会も減ります。
完全に非公開にすれば見つかりませんが、連絡も届きません。

ブロックする企業を増やしすぎた場合も同じです。
グループ会社をまとめて指定すると、その企業群からの連絡はすべて止まります。
守りたいものと、得たいものが同じ設定で動きます。

反応が薄い原因が設定にあることがある

登録したのに連絡が来ないとき、経歴の書き方を疑う前に設定を確認します。
非公開のまま置かれている、項目を伏せすぎて判断の材料が渡っていない、といった状態が起きます。

書く量の見直しは、設定を確認した後の作業です。
プロフィールの記入で見直す箇所はスカウト型サービスのプロフィールの書き方と見直す箇所にまとめています。

現実的な落としどころ

在職中であれば、経歴は公開したうえで、現職とその関連企業をブロックし、社名は伏せるという形が均衡を取りやすくなります。
この状態でも、業界や職種の情報は伝わるため、候補には入ります。

自分の経歴が市場でどう扱われているかを確かめたい段階であれば、届いた連絡の職種と条件がそのまま材料になります。
確かめ方は自分の市場価値はどう調べる?で扱っています。

在職中に設定する順番

登録の前にヘルプを読む

設定の有無と名称は、登録の前にヘルプページで確認できます。
用意されていないサービスもあるため、在職中に使うなら登録の前に見るほうが確実です。

確認する項目は3つです。
企業を指定して非表示にできるか、社名を伏せられるか、公開と非公開を後から切り替えられるか。

非公開の状態で作成を始める

経歴を書いている途中で公開されると、書きかけの内容が読まれます。
作成は非公開の状態で始め、書き終えてから切り替えます。

多くのサービスでは、初期状態が非公開に設定されています。
初期状態がどちらなのかも、登録の直後に確認します。

ブロックする企業を洗い出す

指定する対象は現職だけではありません。
次の範囲を書き出してから設定します。

  • 現在の勤務先(登記上の正式な商号)
  • 親会社・子会社・グループ会社
  • 主要な取引先
  • 派遣で働いている場合は派遣元と派遣先の両方
  • 前職のうち、現在も関係が続いている先

多いと感じる場合は、知られたときに困る順に並べて上から指定します。
全部を指定すると母数が減るためです。

公開に切り替えた後も定期的に見る

サービスの仕様変更や、登録内容の更新によって設定が初期化されることがあります。
切り替えた後も、月に一度は設定の画面を開いて状態を確認します。

転職先が決まった時点で、公開を止めるところまでが一連の作業です。
放置すると、入社後も経歴が公開されたままになります。

設定だけでは塞げない経路

完全に防げる仕組みではない

公開範囲の設定は、そのサービスの中での表示を制御するものです。
指定が正式な商号と一致していなければ効きませんし、採用の担当者が別の会社名で登録している場合もあります。

つまり、設定は可能性を下げる手段であって、知られないことを保証する仕組みではありません。
保証されない前提で、書く内容の側も調整しておきます。

記述の内容から特定されることがある

社名を伏せていても、担当した案件の名称、扱った製品名、在籍期間と職種の組み合わせから勤務先が分かることがあります。
業界が狭いほど、この可能性は上がります。

対策は、固有名詞を一般的な表現に置き換えることです。
「◯◯社の基幹システム更改」を「製造業向け基幹システムの更改」と書けば、規模と内容は伝わり、特定はされにくくなります。

端末とメールアドレスは別の話

サービス上の設定をどれだけ整えても、社用のパソコンやメールアドレスを使えば、その経路から伝わります。
転職に関する操作は私物の端末と個人のアドレスで行います。

在職中に会社へ伝わる経路は限られており、最も多いのは自分から話すことです。
経路ごとの対策は在職中の転職活動はどう進める?にまとめています。
設定はこの対策の一部であって、全部ではありません。

連絡の受け取り方も確認する

登録の際に、電話とメールのどちらで連絡を受けるかを選べる場合があります。
日中に電話が鳴る状態は、職場での不都合につながります。

設定できる項目と、できない項目があります。
登録後の連絡がどう入るかは転職サービスに登録すると電話は来る?で扱っています。

まとめ

  • 経歴が見られる過程には、条件で絞り込まれる段階と開いて読まれる段階がある
  • 設定は、全体の公開可否・特定企業のブロック・項目ごとの伏せ方の3層に分かれる
  • 企業の指定は正式な商号で行う。
    略称では一致せず効かないことがある
  • 強くかけるほど届く連絡の母数が減る。
    守りたいものと得たいものが同じ設定で動く
  • 在職中は、公開したうえで関連企業をブロックし社名を伏せる形が均衡を取りやすい
  • 設定は知られないことを保証しない。
    固有名詞は一般的な表現に置き換える
  • 社用端末と社用アドレスの経路は、サービスの設定では塞げない