転職サービスの案内には「非公開求人◯万件」という表示がよく並びます。
件数だけを見ると、登録しなければたどり着けない良い求人がどこかに隠されているように読めます。
実際に隠されているのは、求人の条件ではなく企業側の事情のほうです。
ここでは、なぜ公開されない求人が生まれるのか、どうすれば見せてもらえるのか、紹介されないと感じたときに何を確認すればよいのかを整理します。
求人が非公開になるのは企業側の事情
採用していること自体を知られたくない
新規事業の立ち上げ、役職者の交代、縮小を控えた部署の再編。
こうした動きに伴う採用では、募集を出したこと自体が社外への情報になります。
競合に事業の方向が伝わる、取引先が不安を持つ、社内で交代の対象になる人に伝わる。
いずれも企業にとっては避けたい事態です。
求人を非公開にする理由として、経営や事業の戦略に関わる採用であることが挙げられています(出典: リクルートエージェント)。
この場合、条件が良いから隠しているのではなく、公開できない事情があるから隠しています。
応募が集中すると選考が回らない
知名度のある企業や、条件が目立つ募集では、公開すると書類が数百件単位で集まることがあります。
1人を採用するために数百件を読む体制が無ければ、公開した時点で選考の日程が崩れます。
応募数を絞る目的で公開しないという理由も挙げられています(出典: リクナビNEXT)。
この形の非公開求人では、条件に合う人だけに絞って提示されるため、届いた側から見ると倍率が低く見えます。
ただし選考の基準そのものが緩いわけではありません。
急いでいて、条件に合う人だけを見たい
退職者の補充や、着任日が決まっている案件では、募集をかけてから採用までの期間が限られます。
この場合、条件に合う人を先に絞ってから提示するほうが早く進みます。
急ぎの募集は、公開してから時間が経つと締め切られていることがあります。
紹介された時点で募集が動いているという点は、公開求人との実務上の違いになります。
「非公開」は求人の質を表す言葉ではない
以上の3つに共通するのは、いずれも企業側の都合だという点です。
年収が高い、待遇が良いといった理由で非公開になるわけではありません。
非公開の中にも条件が普通の求人はありますし、公開されている求人の中に条件の良いものもあります。
求人を読むときの項目は、公開・非公開を問わず同じです。
何を見るかは求人票のどこを読むかにまとめています。
非公開求人はどの形式のサービスで扱われるか
経歴を渡していない段階では出てこない
非公開の求人を提示するには、その人が条件に合うかどうかを先に判断する必要があります。
つまり、サービス側が経歴を把握していない状態では、提示する対象が決まりません。
このため、非公開求人は担当者を介して紹介される形が中心になります。
会員登録だけで求人を検索する形式では、検索の対象が公開されている求人になるのが一般的です。
2つの形式の違いは登録型と面談型の転職サービス、どちらを選ぶ?で扱っています。
面談まで進むかどうかで見える範囲が変わる
面談を伴う形式では、希望条件と経歴を聞き取ったうえで求人が選ばれます。
この工程があるからこそ、公開していない募集を出せます。
一方、経歴を登録して連絡を待つ形式でも、企業側が経歴を見て個別に声をかける形であれば、公開されていない募集が届くことがあります。
仕組みはスカウト型の転職サービスとは?にまとめています。
どちらも、先に自分の情報を渡している点は共通しています。
登録の前に確認できるのは形式のほう
そのサービスが担当者を介する形式かどうかは、申し込みページの文言で判別できます。
「登録後、担当者よりご連絡します」と書かれていれば面談を前提とした形式、「求人を検索できます」であれば会員登録で完結する形式です。
サービス名では判別できません。
「エージェント」と付いていても登録だけで求人を見られるものがあり、逆もあります。
紹介されないと感じたときに確認する順番
1. 対象条件から外れていないか
最初に確認するのは、自分がそのサービスの対象に入っているかどうかです。
対応地域、対象年齢、扱う雇用形態、必要な資格。
ここから外れていれば、公開・非公開を問わず紹介できる求人がありません。
これは選考の結果ではなく、入口の条件で決まる部分です。
地域の条件は転職サービスは地方でも使える?で扱っています。
登録の前に読める項目なので、先に済ませておくと手間が減ります。
2. 希望条件がその範囲に存在するか
対象に入っていても、希望した職種・勤務地・年収の組み合わせが、そのサービスの扱う求人の中に無いことがあります。
1社だけを使っていると、その範囲が市場の全体だと感じてしまいます。
条件のどれを動かせば候補が出るのかは、担当者に聞けば分かります。
聞き方は紹介できる求人がないと言われたときの原因の切り分け方で扱っています。
3. 渡した情報の量が足りているか
非公開の求人を提示するには、条件に合うと判断できるだけの情報が必要です。
経歴の記入が数行しかなければ、判断の材料が渡っていません。
応募したい職種の求人票にある「求める経験」の欄と、自分が登録した内容を並べてみます。
粒度が揃っていなければ、書き足すほうが先です。
書き出す手順は職務経歴書はいつ作ればよいかにまとめています。
4. 「非公開の求人はありますか」とは聞かない
担当者に確認するとき、非公開かどうかを聞いても答えは変わりません。
求人が公開されているかどうかは企業側が決めている属性であり、こちらの希望で切り替わるものではないためです。
聞くのは条件のほうです。
「勤務地を◯◯まで広げたら候補は増えますか」「この経験だとどの職種が通りやすいですか」という形であれば、次に動かす項目が決まります。
面談で提示の対象に入るために渡す情報
希望条件は必須と歓迎に分ける
条件を並べただけの状態では、担当者はどれを優先すればよいか判断できません。
必須の条件と、譲れる条件を分けて渡します。
「必須:勤務地は◯◯市内、年間休日120日以上。歓迎:年収◯◯万円以上」という粒度で足ります。
この分け方があると、公開されていない募集を当てはめる余地が生まれます。
条件が全部必須の状態では、該当が消えます。
動ける時期を先に伝える
非公開の募集には、着任日が決まっているものや、選考の期間が短いものが含まれます。
こちらがいつから動けるのかが分かっていないと、対象から外されます。
在職中であれば、退職の申し出から実際の退職までに要する期間も含めて伝えます。
入社日の決め方は転職の入社日は交渉できる?にまとめています。
時期が曖昧なままだと、急ぎの募集は回ってきません。
他社の選考状況を隠さない
他のサービス経由で選考が進んでいる場合、その事実を伝えておきます。
日程の調整に関わるためです。
企業名まで言う必要はなく、業界と選考の段階を伝えれば足ります。
同じ企業へ別経路で応募してしまう事故も、この一言で防げます。
経歴の空白や事情も先に出す
離職している期間、資格の取得予定、勤務地に制約がある事情。
こうした条件は、後から出るほど提示された求人が無駄になります。
先に出しておくと、その前提で選ばれた求人が来ます。
提示される件数は減りますが、読む価値のあるものだけが残ります。
件数の表示を比較の材料にしない
数字の集計方法が公開されていない
「非公開求人◯万件」という表示は、集計の時点も、重複の扱いも、募集が生きているかどうかも示されていないのが通常です。
サービスをまたいで比べても、同じ基準で数えた数字ではありません。
自分に紹介される可能性があるのは、そのうち自分の職種・地域・経験に合致するものだけです。
全体の件数と、自分に提示される件数は別の数字として扱います。
同じ求人が別の経路で出てくることがある
複数のサービスを使っていると、一方では非公開、もう一方では公開されている同じ募集に当たることがあります。
企業が経路ごとに扱いを分けている場合に起きます。
このとき、両方から応募すると企業側で重複として処理されることがあります。
どの経路でどこに応募したかは自分で記録しておきます。
何社まで併用するかの考え方は転職エージェントは何社まで併用してよいかにまとめています。
紹介された求人も、自分で読む
非公開の求人であっても、給与欄・仕事内容・応募要件・休日数を読む作業は変わりません。
紹介されたという事実は、条件が自分に合うことを意味しません。
固定残業代の有無、休日の数え方、想定される勤務地の範囲は、公開求人と同じ手順で確認します。
判断の基準を自分の側に持っておくと、提示された順番に流されずに済みます。
まとめ
- 求人が非公開になるのは企業側の事情であり、条件が良いからではない
- 理由は主に、採用を公にできない事情・応募の集中を避けること・急ぎの募集の3つ
- 非公開求人は担当者を介する形式が前提で、経歴を渡していない段階では出てこない
- 紹介されないときは、対象条件・希望条件の範囲・記入量の順に確認する
- 担当者には「非公開はありますか」ではなく、どの条件を動かせば候補が出るかを聞く
- 「非公開求人◯万件」は集計の基準が示されておらず、比較の材料にならない
- 紹介された求人も、公開求人と同じ項目を自分で読む



