転職を調べ始めると、転職エージェント、転職サイト、スカウト型といった民間のサービスが先に目に入ります。
一方で、地元にはハローワークがあります。
どちらを使えばよいのか、あるいは両方なのかは、名前だけでは分かりません。
この2つは、運営している主体も、費用の流れも、集まる求人の性質も違います。
優劣ではなく役割が違うため、違いを理解すると使い分けが決まります。
運営している主体が違う
ハローワークは国が設置する行政機関
ハローワークの正式な名称は公共職業安定所です。
職業安定法に基づいて国が設置し、厚生労働省が所管する行政機関にあたります。
全国に配置されており、住んでいる地域を管轄する窓口が決まっています。
民間の会社ではないため、営利を目的として運営されていません。
求人を出す企業からも、求職者からも費用を取らないのはこの性質によるものです。
民間は許可を受けて事業として運営している
一方、民間の職業紹介事業を行うには、職業安定法に基づく厚生労働大臣の許可が必要とされています。
許可を受けた事業者は、許可番号をサイト内に表示していることが一般的です。
つまり、民間のサービスも同じ法律の枠の中で動いています。
無許可で自由に運営されているわけではありません。
制度の詳しい仕組みは転職支援はすべて無料?にまとめています。
求職者にとって費用が発生しない点は同じ
求職者から手数料を取ることは、職業安定法で一部の例外を除いて原則として禁じられています。
したがって、公共と民間のどちらを使っても、求職者の側に費用は生じません。
費用の有無は、この2つを選び分ける基準になりません。
違いは費用ではなく、企業側の負担の有無から生まれる求人の顔ぶれにあります。
集まる求人の性質が変わる
掲載の費用がかかるかどうか
企業がハローワークに求人を出す場合、費用はかかりません。
民間のサービスに求人を出す場合は、掲載の費用か、採用が決まった時点での成功報酬のいずれかが発生します。
この差が、集まる求人の顔ぶれを変えます。
採用に費用をかけられる企業、かける必要がある職種は民間に集まりやすく、費用をかけずに採用したい企業はハローワークに出します。
求人の質の差ではなく、企業側の採用方針の差です。
地域と業種の網羅性
ハローワークは全国に窓口が置かれ、業種や職種を限定していません。
地方の中小企業、家族経営の事業所、パートや短時間の募集まで幅広く並びます。
民間のサービスは、対応地域や対象職種を自分で決めて運営しています。
専門職に特化したもの、特定の地域に絞ったものがあり、範囲の外に出ると求人がありません。
地域による違いは転職サービスは地方でも使える?で扱っています。
進め方と受けられる支援
窓口での相談のしかたも変わります。
主な違いを並べると次のようになります。
| 項目 | ハローワーク | 民間の転職サービス |
|---|---|---|
| 運営 | 国が設置する行政機関 | 許可を受けた民間事業者 |
| 求職者の費用 | 無料 | 無料 |
| 求人企業の費用 | 無料 | 掲載料または成功報酬 |
| 求人の範囲 | 全業種・全国・雇用形態を問わない | サービスごとに地域・職種・雇用形態を限定 |
| 担当者 | 窓口の職員。固定されないことがある | 担当者が付く形式と、付かない形式がある |
| 雇用保険の手続き | 同じ窓口で行う | 扱わない |
| 職業訓練の相談 | 窓口がある | 扱わない |
この表は制度上の役割の違いを整理したものです。
個別のサービスがどの形式かは、申し込みページの案内で確認します。
担当が固定されるかどうか
ハローワークでは、来所のたびに対応する職員が変わることがあります。
相談の内容は記録に残りますが、同じ人が継続して見る形とは限りません。
民間の面談を伴う形式では、担当者が付いて経過を追う形になります。
経歴の説明を毎回やり直さずに済む一方、担当者との相性が進み方に影響します。
合わないと感じたときの手順は転職エージェントの担当者が合わないときの手順と伝え方にまとめています。
ハローワークにしかない機能
雇用保険の手続きと同じ窓口
離職した後に基本手当を受け取るには、住所を管轄するハローワークで求職の申込みを行う必要があります。
求人の紹介と失業給付の手続きが同じ窓口で扱われるのは、行政機関だからです。
民間のサービスは雇用保険の手続きを扱いません。
退職後に給付を受けながら活動する場合、ハローワークへ行く工程は避けられないことになります。
制度の中身は失業保険とは?で扱っています。
職業訓練の相談
公共職業訓練の案内と受講の相談も、ハローワークの窓口で扱われます。
訓練を受けながら給付を受けられる仕組みがあり、要件は制度で定められています。
未経験の分野へ移る場合、この経路が選択肢になることがあります。
要件と対象になる訓練の範囲は窓口で確認します。
求人の内容に問題があった場合の窓口
求人票に書かれた条件と実際の労働条件が違っていた場合、ハローワークには申出を受け付ける窓口が設けられています。
年齢を理由とする取り扱いについての相談も、ハローワークや都道府県労働局が受け付けています。
年齢制限の制度上の扱いは求人の年齢制限は違法?にまとめています。
公的な窓口があること自体を知っておくと、問題が起きたときの動きが変わります。
民間のほうが向く場面
専門職で、経歴の読み取りが要る場合
資格や実務経験の内容によって評価が大きく変わる職種では、経歴を聞き取ったうえで求人を選ぶ工程が要ります。
この工程を持つのが、面談を伴う民間のサービスです。
同じ経験年数でも、扱った領域や規模で評価が変わる職種ほど、この差が出ます。
形式ごとの違いは登録型と面談型の転職サービス、どちらを選ぶ?で扱っています。
条件の交渉が絡む場合
年収や入社日の調整を第三者に介してもらいたい場合、民間の紹介が窓口になります。
企業から採用の費用を受け取る立場であるため、条件のすり合わせが業務に含まれます。
ハローワークでは、応募先とのやり取りは基本的に本人が行います。
交渉の考え方は転職の年収交渉はできる?にまとめています。
在職中で、窓口へ行く時間がない場合
ハローワークの窓口には開庁している時間があり、平日の日中が中心です。
在職中は、この時間に足を運ぶこと自体が負担になります。
民間のサービスであれば、登録から求人の閲覧まで自宅で完結する形式があります。
夜間や休日に対応するサービスもあります。
時間の作り方は在職中の転職活動はどう進める?で扱っています。
併用するときの決め方
併用しても矛盾しない
両方に登録して構いません。
求人の出所が違うため、片方でしか見つからない募集があります。
民間のサービスを複数使う場合と違い、役割が重ならないぶん管理の負担も増えにくくなります。
地方の企業や、地域に根ざした法人は、掲載費用をかけずに採用していることがあります。
サービス上の件数が少ないことと、地域に求人が無いことは別です。
同じ求人に別経路で応募しない
同じ企業の同じ募集が、ハローワークと民間の両方に出ていることがあります。
両方から応募すると、企業側で重複として処理される場合があります。
どの経路でどこに応募したかは自分で記録します。
経路と日付が残る形であれば、表計算でも紙でも構いません。
求人の読み方はどちらも同じ
出所が違っても、求人票を読む項目は変わりません。
給与の内訳、固定残業代の有無、休日数の数え方、勤務地の範囲。
ここを確認する作業は共通です。
読む順番は求人票のどこを読むかにまとめています。
判断の基準を自分の側に持っておくと、経路が増えても比較の軸がぶれません。
企業の採用ページも経路の1つ
公共と民間の2択で考える必要もありません。
企業が自社の採用ページで直接募集していることがあり、この経路には仲介が入りません。
行きたい会社が具体的に決まっている場合は、この経路を先に見るほうが早いことがあります。
調べ方は転職の企業研究はどこまでやる?にまとめています。
まとめ
- ハローワークは職業安定法に基づき国が設置する行政機関で、民間は許可を受けた事業者
- 求職者に費用が発生しない点は同じ。
違いは求人企業側の費用負担にある - 企業側が費用をかけずに出せるため、ハローワークには地域の中小企業の求人が集まりやすい
- 民間は地域・職種・雇用形態を限定して運営しており、範囲の外には求人がない
- 雇用保険の手続きと職業訓練の相談は、ハローワークにしかない機能
- 専門職の経歴の読み取りや条件の交渉が絡む場合は、民間の紹介が窓口になる
- 併用しても矛盾しない。
ただし同じ募集へ別経路で応募しないよう記録を残す



