転職エージェントを使っていると、担当者によって話せる内容の深さが違うことに気づきます。
求人票に書かれていない現場の事情まで答えられる人がいる一方で、「企業側に確認します」で止まる人もいます。
この差は担当者の力量だけで決まっているわけではありません。
人材紹介の会社には社内の分業のしかたが2通りあり、それが答えられる範囲を規定しています。
ここでは、両面型と片面型と呼ばれる体制の違いと、求職者から見て何が変わるのかを整理します。
なお、この2つの呼び方は人材紹介の業界内で広く使われている実務用語であり、法令や公的な統計に定義があるものではありません。
この記事では、複数の人材紹介会社が一致して説明している範囲に限って扱います。
人材紹介の社内には2通りの分け方がある
同じ人が求職者と企業の両方を担当する
両面型は、1人の担当者が求職者の相談を受けると同時に、企業側の求人開拓や条件のすり合わせも行う体制です。
担当者から見れば、自分が話を聞いた求職者を、自分が担当している企業に紹介する形になります。
このため、その企業がどういう理由で募集しているのか、過去に誰が選考を通ったのか、面接で何を重く見ているのかを、担当者自身が知っている状態になります。
求人票の外側の情報が、一人の中に揃っているのがこの体制の特徴です。
求職者側と企業側で担当が分かれる
片面型は、求職者の相談を受ける担当者と、企業を開拓して求人を預かる担当者が分かれている体制です。
求職者から見える担当者は前者だけで、企業側とのやり取りは社内で引き継がれます。
分業されているぶん、それぞれが自分の側の業務に集中できます。
企業を担当する側は求人を集めることに、求職者を担当する側は経歴の整理と紹介に時間を使えるという構造です。
どちらが優れているという話ではない
この2つは、どちらが求職者に有利という関係にありません。
得られる情報の種類と、扱われる求人の幅が変わるという話です。
同じ会社の中で、領域によって体制を分けていることもあります。
特定の業界だけ両面型で運用し、それ以外は分業にしている、といった形です。
会社単位で固定された属性ではないという点は押さえておく価値があります。
求職者から見て何が変わるか
求人の背景をその場で聞けるかどうか
両面型では、担当者が企業側の窓口も兼ねているため、募集の背景に関する質問にその場で答えられることがあります。
増員なのか欠員の補充なのか、直属の上司はどういう人か、前任者はなぜ辞めたのか。
片面型では、こうした質問は企業担当を経由して確認されます。
答えが返ってくるまでに時間がかかる代わりに、伝言の形で正確に持ち帰られることもあります。
回答の速さと、社内で情報が検証される度合いのどちらを取るかという違いになります。
紹介される求人の幅
片面型では、企業側の担当が集めた求人が社内で共有されるため、求職者側の担当者は自分が開拓していない求人も紹介できます。
組織の規模が大きいほど、共有される求人の数は増えます。
両面型では、担当者が自分で開拓した企業や、自分が担当している領域の求人が中心になりやすくなります。
幅よりも、特定領域の深さが出やすい構造です。
どちらの性質を使いたいかは、自分が探している職種の広さによって変わります。
条件の交渉が誰を経由するか
年収や入社日の相談は、両面型であれば担当者が企業側と直接やり取りします。
間に人が入らないぶん、こちらの意図が変わらずに伝わりやすくなります。
片面型では、求職者側の担当者から企業担当へ、そこから企業へと伝わります。
伝言の段階が増えるため、要望は文章で渡しておくほうが確実です。
条件面の伝え方は転職の年収交渉はできる?にまとめています。
担当者が変わったときの引き継ぎ
片面型では、求職者側の担当者が交代しても、企業側の担当は変わりません。
企業とのやり取りの経緯は社内に残ります。
両面型では、担当者が1人で両側を持っているため、交代の影響が大きくなります。
選考が進んでいる段階で担当が変わる場合は、どこまで引き継がれるかを確認しておきます。
担当を変えたいときの手順は転職エージェントの担当者が合わないときの手順と伝え方で扱っています。
体制はどう見分けるか
担当者に直接聞く
最も確実なのは、面談の場で聞くことです。
「◯◯社さんの求人ですが、企業側の窓口も◯◯さんが担当されていますか」という聞き方であれば、体制の話として自然に答えが返ります。
答えが「企業担当が別にいます」であれば片面型、「私が窓口です」であれば両面型です。
聞くこと自体が失礼にあたる質問ではなく、答えによってこちらの質問のしかたを変えられます。
質問に対する答え方から推測する
体制を聞かないまま進める場合でも、面談での答え方から見当がつきます。
募集の背景や職場の様子について、その場で具体的に答えが返るなら、担当者が企業側を知っている可能性が高くなります。
逆に「確認して折り返します」が繰り返されるなら、企業側の担当が別にいる体制と考えられます。
これは対応の良し悪しではなく、担当している範囲の違いです。
サービス名や肩書きからは判別できない
「エージェント」「コンサルタント」「キャリアアドバイザー」といった肩書きは、会社ごとに付け方が違います。
同じ肩書きでも、企業側を担当しているかどうかは分かれます。
サイトの紹介文に「企業の採用担当者と直接やり取りしています」と書かれていることもありますが、全社について当てはまるとは限りません。
確認の代わりになるのは、担当者本人への質問だけです。
サービスの規模と専門領域から推測する
多数の求人を全業種で扱う大手では、企業の開拓と求職者の対応を分けるほうが効率が上がるため、分業されていることが多くなります。
特定の職種や業界に絞ったサービスでは、1人が両側を持つ形が成り立ちやすくなります。
ただしこれは傾向であり、確認の代わりにはなりません。
運営会社の規模による違いは大手が運営する転職サービスで扱っています。
体制の違いをどう使うか
型で選ぶのではなく、聞き方を変える
登録するサービスを両面型か片面型かで選ぶ必要はありません。
先に確認するのは、対応地域・対象年齢・扱う雇用形態といった入口の条件です。
ここから外れていれば、体制にかかわらず紹介される求人がありません。
体制が分かるのは、たいてい面談が始まってからです。
分かった時点で、質問のしかたを合わせるというのが現実的な使い方になります。
両面型では、企業ごとの事情を聞く
担当者が企業側を知っている体制であれば、求人票に書かれていない項目を聞く価値があります。
募集の背景、選考の回数と面接官の役職、過去にどういう経歴の人が入ったか。
これらは公開情報には出てきません。
聞ける相手がいる状況を使わないと、面談の時間が経歴の確認だけで終わります。
面接で問われる内容の準備は転職面接の準備にまとめています。
片面型では、求人の幅を使う
企業側の担当が別にいる体制では、社内に共有されている求人の量が強みになります。
条件を1つ動かしたときに候補がどれだけ増えるかを聞くと、範囲を確かめられます。
「勤務地を隣県まで広げると何件くらい増えますか」という質問は、片面型のほうが答えが出やすくなります。
求人が出てこないときの確認は紹介できる求人がないと言われたときの原因の切り分け方で扱っています。
併用するなら性質を分ける
複数のサービスを使う場合、同じ性質のものを並べても得られる情報は増えません。
特定領域に強い1社と、幅を持った1社という組み合わせであれば、少ない登録数で両方の性質を使えます。
登録する社数を増やすと連絡の管理に時間がかかります。
目安は転職エージェントは何社まで併用してよいかにまとめています。
体制で説明できないこと
対応の良し悪しは別の話
連絡が遅い、条件を軽く扱われる、応募を急かされる。
こうした問題は体制の違いからは説明できません。
担当者個人の進め方の問題であり、変更を申し出る対象になります。
体制を知る意味は、何を聞けば答えが返るかを見積もれる点にあります。
答えられない質問を繰り返しても、状況は変わりません。
費用の仕組みはどちらも同じ
両面型でも片面型でも、求職者から手数料を取らない点は変わりません。
紹介の費用は採用する企業が負担します。
仕組みは転職支援はすべて無料?にまとめています。
体制の違いは社内の分業のしかたであって、費用の流れを変えるものではありません。
紹介できる求人の範囲は対象条件で決まる
どちらの体制であっても、そのサービスが対応していない地域や職種の求人は出てきません。
範囲の確認は登録前に済みます。
体制の話は、範囲の中に入っている前提で意味を持ちます。
入口の条件を確認する順番は転職サービスは地方でも使える?にまとめています。
まとめ
- 人材紹介には、求職者と企業を同じ人が担当する両面型と、担当が分かれる片面型がある
- 両面型では募集の背景をその場で聞ける。
片面型では企業担当を経由して確認される - 片面型は社内で求人が共有されるため、扱われる求人の幅が広くなりやすい
- 条件の交渉は、片面型のほうが伝言の段階が増えるため文章で渡す
- 見分ける手段は担当者への質問。
肩書きやサービス名からは判別できない - 体制で選ぶのではなく、分かった時点で質問のしかたを合わせる
- 連絡の遅さや扱われ方の問題は体制では説明できず、担当者個人の話になる



