「クリエイター向け」とうたう転職サービスは複数ありますが、そこに含まれる職域は同じではありません。
Webサイトを作る仕事と、ゲームを作る仕事は、どちらもクリエイターと呼ばれる一方で、求人の出方も評価される成果物も違います。
ここでは両者の違いを整理したうえで、職域によってサービスの選び方がどう変わるかをまとめます。

同じ「クリエイター」でも求人の出方が違う

発注する側の業種が違う

Web制作の求人は、制作会社や広告会社に加えて、自社サイトを持つ一般企業からも出ます。
業種を問わずWebサイトを必要とする会社があるため、募集元の裾野が広くなります。
事業会社の社内デザイナーという形の募集も一定数あります。

一方、ゲーム開発の求人は、開発や販売に関わる会社に集中します。
ゲーム産業の総就業人口は約20万人とされており(出典: 日本経済新聞)、募集元の範囲は業種として限られます。
募集元の広がり方が違うため、同じ地域でも求人の見つかり方が変わります。

評価される制作物の性質が違う

Webデザインでは、閲覧する人が目的を達成できたかという観点が重視されやすく、画面の構成や導線が説明の対象になります。
ゲーム開発の制作職では、キャラクターや背景といった要素そのものの品質と、それを制作する技術が問われます。

ゲーム業界の採用ニーズは、キャラクターモデリング・背景モデリング・リギング・アニメーションといった専門スキルを持つ3Dデザイナーに集中しており、経験・実績・ポートフォリオが重視されるとされています(出典: シリコンスタジオエージェント)。
同じ「デザイナー」という職種名でも、提示すべきものが違うということです。

サービス側も職域で分かれている

名称に職域が示されているもの

当サイトが扱うゲーム・クリエイティブ向けサービスは16件です。
このうち、扱う領域が公開情報から確認できるものがあります。
マイナビクリエイターはWeb・ゲーム業界のクリエイター、レバテッククリエイターはWebクリエイター、GeeklyはIT・Web・ゲーム業界を対象としています。

この3つを並べるだけでも、守備範囲が同じでないことが分かります。
Webクリエイターを対象とするサービスにゲームのサウンド職で登録しても、提示される求人が期待どおりにならない可能性があります。
運営会社ごとの詳細はゲーム業界の転職は大手が安心?にまとめています。

名称からは職域が読み取れないものもある

一方、サービス名だけでは扱う領域が判断できないものもあります。
名称に業界名が入っていない場合、印象で判断すると実際の扱いとずれます。

確認の方法は難しくありません。
公式サイトの求人一覧を開き、掲載されている職種名を見ます。
制作職が中心か、Web系が中心か、開発以外の職種も扱っているかは、職種の並びから読み取れます。
ゲーム業界の職種区分はゲームのデベロッパーとパブリッシャー、何が違う?で整理しています。

進み方の内訳は職域と関係しない

16件の内訳は、登録型が4件、面談実施型が9件、申込型が1件、成果条件が確認できていないものが2件です。
この分類は成果地点の違いによるもので、扱う職域とは別の軸です。
Web中心のサービスにも登録型と面談型があり、ゲームを扱うサービスにも両方があります。

そのため、サービスを選ぶときは「職域が合うか」と「進み方が合うか」を分けて確認します。
片方だけで判断すると、職域は合っているのに面談の準備ができていない、という状態が起こります。

職域をまたいで移る場合に起きること

転用できるものとできないもの

配色や構図の考え方、制作ツールの操作といった基礎は、職域が変わっても失われません。
ファイルの管理やチームでの進め方も共通する部分があります。

一方で、転用が効きにくいものもあります。
Web制作で求められる実装の知識と、ゲーム開発で求められるリアルタイム処理を前提とした制作の作法は、同じではありません。
基礎は残るが、求められる専門部分は入れ替わるという前提で見積もる必要があります。

ポートフォリオは作り直しになりやすい

職域を移る場合、既存のポートフォリオがそのまま使えないことがあります。
応募先が判断したいのは移動先の職域での制作力であり、前職の成果物だけでは判断材料になりにくいためです。

このとき、移動先の求人票を並べて必須要件を確認し、そこに書かれた工程で作品を1点作るという進め方があります。
手元に出せるものがない場合の考え方はポートフォリオなしでクリエイター職に応募できる?にまとめています。

探し方の順番

職域を1つに決めてから登録する

Webもゲームもどちらでもよいという条件で広く探すと、提示される求人の傾向がばらつき、比較の基準が作れなくなります。
まずどちらを軸にするかを決め、その職域を中心に扱うサービスに登録します。

決めた後で変更しても構いません。
ただし、同時に両方で活動すると、書類も作品も二重に用意することになり、準備が中途半端になりやすくなります。
順番に試すほうが、1回あたりの完成度は上がります。

登録型で求人の出方を見てから面談型へ

登録型は会員登録の時点から求人を見られるため、その職域の求人がどれくらい出ているかを自分で確認できます。
ここで必須要件を10件ほど見比べ、自分の作品との差を把握します。
この段階では応募する必要はありません。

差が具体的になり、経験を評価してもらいたい段階になったら面談型に進みます。
順番を逆にしても進められますが、先に求人票を見ておいたほうが面談での話が具体的になります。
登録型の使い方はゲーム業界は面談なしで求人を見られる?で扱っています。

登録する前に確認すること

対応地域と対象条件を先に見る

職域が合っていても、対応地域が合わなければ候補になりません。
当サイトが扱う16件のうち、全国対応は13件、地域が限定されているものが3件です。
地方在住の場合の進め方は地方在住でクリエイター職に転職できる?にまとめています。

あわせて、各サービスが設定している対象条件も確認します。
条件はサービスごとに違うため、登録前に公式サイトで自分が対象に入るかを見ておくと、登録後の手戻りが減ります。

求人票の職種名の揺れを確認する

職種名の付け方は会社によって違います。
同じ仕事が別の名称で募集されていることがあり、名称だけで検索すると求人を取りこぼします。
自分の担当業務が求人票でどう書かれているかを、複数件並べて確認しておきます。

WebとゲームをまたいでUIデザインのように名称が共通する職種もあります。
この場合こそ、名称ではなく必須要件の記載を読んで、どちらの職域の求人かを判別する必要があります。

まとめ

  • Web制作とゲーム開発では、募集元の業種の広がり方が違う
  • 評価される制作物も違い、ゲームの制作職では専門スキルと実績が重視される
  • サービス側も職域が分かれており、Webクリエイター中心のものとゲームを含むものがある
  • 職域をまたぐ場合、基礎は転用できるがポートフォリオは作り直しになりやすい
  • 職域を1つに決め、登録型で求人の出方を確認してから面談型に進む