動画に関わる仕事は、この10年で範囲が広がりました。
テレビや映画の制作だけでなく、企業のプロモーション、SNS向けの短尺、イベントの記録、ゲームや商品の紹介映像まで、発注する側も作る側も分散しています。
そのため「動画編集ができます」という一言では、相手に何も伝わりません。
ここでは、映像の仕事で何が評価の材料になるのかを整理し、ポートフォリオに何をどう入れるかをまとめます。
ゲームやWeb系の作品集とは前提が違う点も扱います。
映像の仕事は分野ごとに求められるものが違う
同じ「編集」でも工程の切り分けが違う
映像制作は、企画・構成、撮影、編集、色の調整、音の処理、モーショングラフィックスといった工程に分かれます。
会社や案件の規模によって、これを一人で担うこともあれば、工程ごとに担当が分かれることもあります。
小規模な制作会社やフリーランスの現場では一人が広く担当し、放送や広告の現場では工程が細かく分かれます。
同じ職種名でも、担当してきた範囲が違えば経験の中身は別物です。
分野によって完成物の性質が変わる
SNS向けの短尺は、冒頭数秒で離脱を防ぐ構成が求められます。
企業のプロモーション映像は、伝えるべき情報が決まっており、尺も用途も先に固定されています。
イベントの記録は撮り直しが効きません。
ゲームのプロモーション映像は、素材が実際のゲーム画面である以上、開発側との調整が前提になります。
求められる能力が違うため、応募先の分野と自分の経験が合っているかが最初の判断になります。
分野をまたぐ場合、何が共通していて何が違うのかを自分で説明できる必要があります。
発注側が確認したいのは再現性
作品を見る側が知りたいのは、その映像が良いかどうかだけではありません。
同じ品質のものを、決められた期間と条件でもう一度作れるかです。
だからこそ、完成物だけを並べても判断されません。
どの工程を自分が担当し、どういう制約のなかで作ったのかが分かる形になっている必要があります。
ポートフォリオに入れる4つの情報
担当した工程を分ける
まず、作品ごとに自分が担当した工程を書き分けます。
企画・構成、撮影、編集、カラーグレーディング、MA(音の処理)、モーショングラフィックス、字幕やテロップの作成。
このうちどれを自分が行ったのかを明記します。
チームで制作した作品を、担当範囲を示さずに載せると、全体を自分が作ったと受け取られる可能性があります。
後の面談で食い違うと、作品の評価より説明の整合性が問題になります。
担当を明示することは、控えめにすることではなく正確にすることです。
尺と用途を書く
30秒の広告と、10分の企業紹介と、90分の記録映像では、必要な作業がまったく違います。
尺は最初に書きます。
用途も同じです。
SNSに投稿するものか、展示会で流すものか、社内向けか、放送に乗るものかで、想定される品質基準と制約が変わります。
尺と用途が書かれていない作品は、見る側が判断の前提を持てません。
使用したソフトを並べる
編集ソフト、コンポジット、カラー、音声、3Dのそれぞれについて、使ったものを書きます。
募集要項では具体的なソフト名が必須要件に並ぶことが多く、ここが照合の対象になります。
バージョンの違いや、使える機能の範囲まで書く必要はありません。
必須要件に並んでいる名称と、自分の記載が対応しているかが確認できれば足ります。
案件の種類と制作の条件
可能な範囲で、制作の条件も添えます。
制作にかけた期間、チームの人数、素材が支給されたのか自分で撮影したのか、修正が何往復あったか。
これらは映像の見た目には表れませんが、実務の進め方を示す情報です。
派手な作品を一つ置くより、条件の違う作品を数本並べたほうが、対応できる幅が伝わります。
ゲーム・Web系のポートフォリオとの違い
再生に時間がかかる
静止画のポートフォリオは、一覧を見れば数秒で全体の傾向が分かります。
映像はそうはいきません。
1本3分の作品を5本入れれば、通しで見るのに15分かかります。
そのため、映像のポートフォリオでは並べ方そのものが評価に影響します。
冒頭に短いダイジェストを置く、作品ごとに見どころの時間を示す、といった構成が実務的です。
最後まで見てもらえる前提で作らないほうが安全です。
ゲーム職は工程が細かく分かれている
ゲームの制作職では、3DCGデザイナーという同じ名称でも、モデリング・リギング・アニメーションのどこに比重があるかで求人が分かれます。
工程の名称も業界内で共有されており、担当を示せば範囲が伝わります。
映像分野は工程の切り分けが会社によって違うため、名称だけでは伝わりません。
ここが、ゲーム職の作品集との書き方の差になります。
ゲーム業界の職種分類はゲームのデベロッパーとパブリッシャー、何が違う?にまとめています。
Web系は静止画で判断できる
Webデザインの作品は、画面のキャプチャで構成や配色を判断できます。
動きのある部分も、短い記録で示せば足ります。
映像はこの方法が使えません。
作品の性質上、見る側の時間を使わせることになるという前提が、他分野との一番の違いです。
Webとゲームの探し方の違いはWebデザイナーとゲーム職、探し方の違いとは?で扱っています。
出せない案件がある場合
公開できる範囲を先に切り分ける
企業の案件では、公開されていない映像や、二次利用が制限されている素材を扱うことがあります。
契約や社内規程で何が制限されているかは会社ごとに違うため、一般論ではなく自分が結んでいる契約に当たります。
判断に迷う内容であれば、勤務先の担当部署に確認するのが確実です。
公開できない作品を無断で載せることは、能力以前の問題として扱われます。
出せない部分は条件の説明で補う
作品そのものを出せなくても、担当した工程、尺、期間、チームの規模といった情報であれば説明できることがあります。
加えて、公開を前提に自分で作ったものを用意すれば、提示できる材料が増えます。
作品を出せない場合の整理の仕方はポートフォリオなしでクリエイター職に応募できる?にまとめています。
題材は募集要件に合わせて選ぶ
自主制作を作る場合、題材は自由に選べます。
だからこそ、応募したい求人の必須要件を10件ほど並べ、そこに並んでいる用途とソフトに合わせて決めます。
要件を数えてから作ると、作ったものが応募先の求めるものとずれにくくなります。
この段階では応募する必要はありません。
決めていない段階の進め方は転職するか迷っている段階では何をする?で扱っています。
サービス側の条件と使い分け
映像の実務経験を条件に挙げるサービスがある
こうして準備を進めても、サービスの対象条件に当てはまらなければ使えません。
当サイトのデータでは、CREATIVE JOBは面談実施型で、対象年齢20〜49歳、日本国内居住、映像・ゲーム・Web・広告関連の業界または職種での経験年数1年以上を条件に挙げています。
映像の実務経験が条件として明示されているサービスがあるということは、逆に言えば経験が1年に満たない段階では対象外になる可能性があるということです。
対象条件は登録前に読める項目なので、先に確認します。
面談型で分野の守備範囲を聞く
映像の求人は、制作会社、広告代理店、事業会社の社内制作、ゲーム会社の広報と、置かれている場所がばらばらです。
求人票だけでは、その会社がどの分野の映像をどれだけ作っているかが分かりません。
面談を伴うサービスであれば、担当者に体制を尋ねられます。
当サイトのデータでは、Vookキャリアが面談実施型で全国が対象、マーケティング・クリエイティブ職種特化型の人材紹介サービスも面談実施型で全国が対象です。
マイナビクリエイターも面談実施型で全国が対象です。
求人の傾向を見るだけなら登録型
まず職種名と必須要件の付き方を確認したい段階なら、会員登録の時点から求人を見られる登録型が向いています。
G-JOBエージェント、ゲーム転職はシリコンスタジオエージェント、レバテッククリエイター、転職ボックスが登録型で、いずれも全国が対象です。
作品を整える前に要件を数えておくと、作り直しが減ります。
登録型の使い方はゲーム業界は面談なしで求人を見られる?、運営会社ごとの違いはゲーム業界の転職は大手が安心?にまとめています。
まとめ
- 映像制作は工程の切り分けが会社ごとに違うため、職種名だけでは経験の中身が伝わらない
- ポートフォリオには担当工程・尺と用途・使用ソフト・制作条件の4点を添える
- 映像は再生に時間がかかるため、並べ方そのものが評価に影響する
- ゲーム職は工程名で範囲が伝わり、Web系は静止画で判断できる。
映像はどちらの前提も使えない - 公開できない案件は、契約を確認したうえで条件の説明と自主制作で補う
- 映像・広告関連の実務経験1年以上を条件に挙げているサービスがあるため、対象条件を先に読む



