ゲーム業界の求人に応募するとき、志望動機の欄で「ゲームが好きだから」以外に何を書けばよいか分からなくなることがあります。
好きであることは事実なのに、それを書いても弱いと感じる、という状態です。

この記事は、応募書類に書く志望動機の中身を扱います。
業界内と異業界で転職の動機がどう分かれているかというデータはゲーム業界の転職理由は何かに、提出できる作品がない場合の進め方はポートフォリオなしでクリエイター職に応募できる?にまとめています。
ここでは、書く文章の組み立てに絞ります。

掲載する例文は型を示すためのものです。
担当したタイトルや工程に置き換えて使ってください。

志望動機は単独では読まれない

制作物と職務経歴の裏づけとして読まれる

ゲーム業界の採用ニーズは、3Dデザイナーなど専門スキルを持つ人材に集中しており、経験・実績・ポートフォリオが重視されるとされています(出典: シリコンスタジオエージェント)。

この前提があるため、志望動機の欄は単独で評価されません。
提出した制作物と職務経歴の内容が、志望動機の文章と矛盾していないかという読まれ方をします。
「3Dモデリングに深く関わりたい」と書きながら、提出物が2Dのイラストだけであれば、その時点でつながりが切れます。

書く順序としては、先に提出する材料を確定させ、その材料から言えることだけを志望動機に書きます。
逆にすると、書いた内容を裏づけられなくなります。

「好き」は約6割が書いている

株式会社コンフィデンスの社員アンケートでは、異業界から転職してきた111人のうち、「ゲームが好き」という動機が約6割を占めていました(n=321、2022年9月実施。
出典: 株式会社コンフィデンス)。

つまり、同じ動機を書く応募者が多数います。
好きという言葉を消す必要はありませんが、それだけを書いた場合は他の応募者と区別がつきません。
差がつくのは、好きという言葉の後に何が続いているかです。

志望動機を1タイトルに絞る

遊んだ本数を並べても材料にならない

プレイしたタイトルを列挙する書き方は、読み手にとって判断材料になりません。
何本遊んだかは、業務でどう動くかと結びつかないためです。

代わりに、1本だけを選びます。
選ぶ基準は思い入れの強さではなく、作りについて書けるかどうかです。
応募先が開発または運営しているタイトルであれば、なおつながりが明確になります。

「何が」「どう作られていると考えたか」を書く

1本に絞ったうえで、その中の1つの要素について書きます。
チュートリアルの導線、UIの情報量、レベルデザインの進み方、報酬の設計など、自分の職種に近い要素を選びます。

例文の型(プランナー職への応募)

「〇〇の序盤で、操作の説明を文章で提示せず、進行の中で自然に必要な操作を試させる構成になっている点に関心を持ちました。前職では〇〇のチュートリアル設計を担当し、離脱の起きる箇所を数値で確認しながら手順を組み替えていました。同じ視点で、貴社の〇〇の設計に関わりたいと考えています。」

「面白かった」ではなく、どう作られていると考えたかを書きます。
その判断が外れていても構いません。
判断しようとした形跡が残っていることが読まれる部分です。

応募先のタイトルでなくてもよい

選ぶ1本は、応募先が作ったものでなくても構いません。
他社のタイトルについて書いた場合でも、どういう観点で作りを見ているかは同じように伝わります。

ただし、応募先が代表作として掲げているタイトルに一度も触れていない状態では、志望動機として弱くなります。
他社のタイトルを軸にするなら、応募先の作品にも1行は触れておきます。

運営中のタイトルは更新の入れ方を見る

運営が続いているタイトルであれば、更新の頻度、イベントの構成、告知の出し方が公開情報として確認できます。
これらは外から観察できる材料であり、業界外にいても書けます。

業界内から移る場合の書き方

担当した工程と規模を先に置く

業界内での転職では、実績があること自体は前提として扱われます。
そのため、志望動機の前半で担当工程・使用ツール・チーム規模・タイトルの種別を短く示します。
ここは職務経歴書と重複して構いません。

書き分けの考え方は履歴書と職務経歴書の違いとは?にまとめています。

次に担いたい役割まで書く

同じ調査では、業界内から移った210人の理由として、キャリアプランの描きやすさ、他社・他タイトルへの興味、開発・運営の区切りが上位に挙がっています(同調査)。

このうちキャリアプランを理由にする場合、いまできることではなく次に担いたい工程を書くと動機として成立します。
「リードとして仕様の設計から関わりたい」「運営の数値設計まで担当したい」のように、範囲を1つ指定します。

例文の型(業界内での転職)

「前職では〇〇のタイトルで、〇名規模のチームの中で〇〇を担当していました。担当範囲が実装に限られており、仕様の検討段階から関わる機会がありませんでした。貴社の〇〇は企画から運営まで社内で一貫して行われていると伺い、仕様の検討を含めた範囲を担当したいと考え志望しました。」

開発の区切りは理由として説明しやすい

ゲームの制作はタイトル単位で進むため、リリースや運営終了という節目があります。
これは自分の都合ではなく、業務構造から生じる区切りです。
転職理由として書くと、前職への不満と切り離した説明になります。

有期雇用契約が理由で動く場合の整理はゲーム業界に多い有期雇用契約とは?にまとめています。

異業界から入る場合の書き方

前職の業務を職種名に翻訳する

異業界から入る場合、前職の経験を無関係なものとして扱わないほうが材料が増えます。
進行管理はプロジェクトマネジメント、データ分析は運営職、接客はカスタマーサポートやQAに対応します。

職種の一覧と会社ごとの役割の違いはゲームのデベロッパーとパブリッシャー、何が違う?に整理しています。
自分の経験が対応する職種名を先に確定させると、志望動機の宛先が定まります。

学習と制作の実績を数えて書く

未経験から応募する場合、示せるのは学習と制作の記録です。
使用したツール、制作にかけた期間、完成させた本数を数えて書きます。
「勉強しています」ではなく、数えた形にします。

例文の型(異業界からの応募)

「前職では〇〇の進行管理を担当し、〇名の関係者との日程調整と仕様の取りまとめを行っていました。並行して〇〇のツールで個人制作を続け、これまでに〇本を公開しています。制作の進め方を管理する立場と、実際に手を動かす立場の両方を経験した上で、〇〇の職種に応募しました。」

職種によって書く比重が変わる

職種 志望動機で比重を置く材料
プランナー 特定タイトルの設計についての考察、仕様を文章にした経験
エンジニア 使用言語・エンジン、実装した機能、個人制作の公開実績
デザイナー 提出する制作物との一致、担当できる工程の範囲
QA・カスタマーサポート 手順に沿って検証した経験、記録の正確さ、対応件数

同じ会社への応募でも、職種が変われば前へ置く材料が変わります。
1つの志望動機を複数の職種に流用しないのが前提です。

書いたあとの確認

提出物との矛盾を確認する

志望動機に書いた関心と、ポートフォリオに入れた作品の傾向が一致しているかを確認します。
ずれている場合は、文章ではなく提出物のほうを組み替える判断もあります。

会社の役割と職種名の対応を確認する

同じ職種名でも、開発を担う会社と、販売や運営を担う会社では業務の中身が変わります。
志望動機に書いた「担当したい範囲」が、その会社の担当領域に存在しない場合、内容が噛み合いません。

応募先がどちらの役割を担っているかを確認してから、書く範囲を決めます。
分類はゲームのデベロッパーとパブリッシャー、何が違う?に整理しています。

期間の見通しを持っておく

同じ調査では、転職を検討してから実際に転職するまでの期間について、全体の8割以上が半年以内に決めていました(同調査)。
作品を一から作り直すには短い期間です。
手元にある材料で書けることから固めるほうが、実際の進行に合います。

面接では同じ話を口頭で聞かれる

書類に書いた内容は、面接で深掘りされます。
特に1タイトルについて書いた考察は、その場で追加の質問が来やすい部分です。
答え方の型は転職面接の準備にまとめています。

まとめ

  • 志望動機は単独では読まれず、提出した制作物と職務経歴の裏づけとして確認される
  • 異業界からの転職者の約6割が「ゲームが好き」を挙げており、それだけでは差がつかない
  • 遊んだ本数を並べず、1タイトルの1要素について作りの話を書く
  • 業界内から移る場合は、担当工程と規模を先に置き、次に担いたい範囲を1つ指定する
  • 異業界から入る場合は、前職の業務を職種名に翻訳し、学習と制作の実績を数えて書く
  • 職種ごとに前へ置く材料が変わるため、1つの文章を複数の職種に流用しない