書類に書く志望動機と、面接でその場で答える内容は、準備の仕方が違います。
書類は提出前に何度でも直せますが、面接では提出した作品を画面に出しながら中身を掘られます。
この記事が扱うのは後者、口頭で聞かれたときの答え方です。
書類として書く志望動機の組み立て方はゲーム業界の志望動機で見られるのは?にまとめており、この2つは対になります。

職種を問わない面接の型は転職面接の準備で扱っています。
ここでは、ゲーム・クリエイティブ職の面接で実際に出てくる、制作物と工程に関する質問に絞ります。

面接がポートフォリオを軸に進む理由

質問の起点が作品の中身になる

ゲーム業界の採用ニーズは、3Dデザイナーなど専門スキルを持つ人材に集中しており、経験・実績・ポートフォリオが重視されるとされています(出典: シリコンスタジオエージェント)。
グローバルで見ても、採用は経験5〜15年の中堅層に集中する傾向があります(出典: GAMES.GG)。

この前提があるため、面接は提出物を開いた状態で進むことがあります。
志望動機を述べる時間より、作品について答える時間のほうが長くなる構成です。
作品を1点ずつ説明できる状態にしておくと、面接の途中で材料が尽きません。

「好き」だけでは他の応募者と重なる

株式会社コンフィデンスの社員アンケートでは、異業界から転職してきた111人のうち、「ゲームが好き」という動機が約6割を占めていました(n=321、2022年9月実施。
出典: 株式会社コンフィデンス)。

同じ動機を述べる応募者が多数いるということです。
好きという言葉を消す必要はありませんが、それだけで終えると区別がつきません。
差がつくのは、その後に作りの話が続くかどうかです。

業界の規模と滞在年数が背景にある

ゲーム産業の総就業人口は約20万人、平均年齢37歳、平均勤続7年です(出典: 日本経済新聞)。
平均年収は2025年に723万円で、前年の708万円から上昇しています(出典: 日本経済新聞)。

規模が大きくない業界であるため、同じタイトルに関わった人が面接官になることもあります。
担当範囲を実際より広く答えると、その場で食い違いが出ます。

未発表タイトルは名前を出せない

話せる範囲を先に決めておく

在職中に関わっているタイトルや、リリース前の案件については、名称や内容を口外できないことがあります。
契約で守秘の範囲が定められている場合、面接であっても同じです。

そのため、話せる範囲を先に整理しておきます。
公開されているタイトルと、公開されていない案件を分け、後者はジャンル、プラットフォーム、チーム規模、自分が担当した工程という単位に置き換えます。
名前を出さなくても、工程と役割は説明できます。

クレジットの有無で扱いが変わる

制作物にクレジットとして名前が載っているかどうかで、ポートフォリオに入れられる範囲が変わります。
載っていない場合でも、担当した工程を文章で説明する形は取れます。

提出できる作品がない段階での進め方はポートフォリオなしでクリエイター職に応募できる?にまとめています。

個人制作は制限なく話せる

業務外で作ったものは、守秘の対象になりません。
そのため、個人制作は面接で最も自由に話せる材料になります。

何を作ったかだけでなく、なぜその題材にしたか、どこで詰まったか、どう解決したかまで答えられる状態にしておきます。
詰まった箇所を説明できることが、独力で進められる証明になります。

作品について聞かれることと、その理由

作品に紐づく質問を意図とセットで見る

ゲーム・クリエイティブ職の面接で出やすい質問を、何を確認しようとしているかとあわせて並べます。
目的が分かると、どこまで答えれば足りるかが決まります。

質問 確認されていること 答えの軸
この作品のどこを担当したか 実際に手を動かした範囲 工程を区切って線引きする
制作にどのくらいかかったか 作業の速度 期間と、並行していた業務
一人で作ったのかチームか 分業の中での動き方 人数と、自分の担当
使っているツールとバージョンは 環境の一致度 ツール名と、経験の長さ
新規開発と運営、どちらを希望するか 配属の見通し 希望と、その理由
直近で触れている技術や表現は 更新が続いているか 手を動かした結果で

軸を決めておくと、どの作品についても同じ形で説明できます。
作品の数だけ答えを用意するより、この形を1つ持つほうが準備は早く終わります。

担当範囲は工程を区切って答える

1つの作品について「作りました」と答えると、必ず追加の質問が来ます。
モデリングまでか、テクスチャまでか、リグまでか。
仕様を書いたのか、実装まで行ったのか。

最初から工程を区切って答えると、やり取りが1往復短くなります。
担当していない工程については、担当していないと答えます。
線引きが明確な人のほうが、配属と教育の計画を立てやすいと見られます。

新規開発と運営はどちらを希望するかを聞かれる

ゲームの制作はタイトル単位で進むため、新規の立ち上げと、リリース後の運営では日々の業務が変わります。
面接では、どちらを志向しているかが確認されます。

運営中のタイトルであれば、更新の頻度、イベントの構成、数値を見ながらの調整が業務に入ります。
新規であれば、仕様が固まっていない段階での動き方が問われます。
ここが曖昧だと、入社後の配属で食い違いが起きます。

実技課題が出る場合がある

選考の中で、作画やモデリングの課題、仕様書を作成する課題が課されることがあります。
実施の有無と形式は募集要項に記載がある場合と、応募後に案内される場合があります。

課題の提出には時間がかかります。
在職中であれば、応募を出す前の段階で週にどれだけ充てられるかを決めておくほうが現実的です。

職種によって確認される項目が入れ替わる

プランナーは仕様を言葉にできるかを聞かれる

プランナー職では、担当した仕様の範囲と、その仕様にした理由が中心になります。
数値の設計、進行の導線、報酬の組み立てのうち、どこを自分で決めたかが質問の対象です。

あわせて、仕様を文章にした経験が確認されます。
口頭で説明した内容を、そのまま仕様書の形で書けるかが見られる部分です。

エンジニアは実装した機能と選択の理由を聞かれる

エンジニア職では、使用した言語とエンジン、実装した機能、負荷や描画に関する対応が質問の中心になります。
構成を選んだ理由と、検討した代替案を添えて答えると、判断の過程が伝わります。

チーム内でのレビューの進め方、他職種とのやり取りも確認されます。
役職名ではなく、実際の動きで答えます。

デザイナーは提出物との一致を聞かれる

デザイナー職では、ポートフォリオに入れた作品の傾向と、応募先が求める表現が一致しているかが判断の中心になります。
担当できる工程の範囲と、対応できる画風の幅が質問の対象です。

作品を作った当時の制約も聞かれます。
指定があったのか自由だったのか、想定した使用場面は何かを答えられると、業務の中での制作として説明が通ります。

QA・カスタマーサポートは手順と記録を聞かれる

QAやカスタマーサポートでは、手順に沿って検証した経験、記録の正確さ、対応した件数が中心になります。
不具合を見つけた際の報告の書き方や、再現手順の残し方が質問の対象です。

制作物を提出する職種ではないため、代わりに数えられる形の実績を用意します。
職種ごとの役割の違いはゲームのデベロッパーとパブリッシャー、何が違う?で整理しています。

会社の役割と契約形態を確認する

開発会社と販売・運営会社で業務が変わる

同じ職種名でも、開発を担う会社と、販売や運営を担う会社では業務の中身が変わります。
面接で「担当したい範囲」を答える際、その会社の担当領域に存在しない業務を挙げると噛み合いません。

応募先がどちらの役割を担っているかを確認してから、答える範囲を決めます。
Web制作の領域まで含めて見ている場合、職域の切れ目はWebデザイナーとゲーム職、探し方の違いとは?で整理しています。

契約形態と期間を面接で確認する

ゲーム業界では、タイトル単位で期間を定めた契約が使われることがあります。
募集の雇用形態が正社員か有期雇用かは、面接の段階で確認しておく項目です。

契約の更新の考え方、プロジェクトが終わった後の扱いも聞いておきます。
仕組みはゲーム業界に多い有期雇用契約とは?で整理しています。

制作物の権利と副業の扱いを確認する

業務で作ったものの権利がどう扱われるか、業務外での制作や発表が認められるかは、この職種では実務に直結します。
ポートフォリオに載せられる範囲にも関わります。

就業規則や契約書に書かれている内容であるため、内定後に示される書面で確認します。
出社の頻度やリモートの可否も同じです。
項目は労働条件通知書の確認ポイントにまとめています。

必須スキルは自分で読め、選考の形は聞いて確かめる

求人票に並ぶ必須スキルは、登録すれば自分で読めます。
一方、実技課題があるかどうかや面接の回数は、求人を扱っている相手に聞くほうが早く分かります。
この2つは、利用の始まり方が違うサービスに分かれています。

会員登録型は必須スキルを自分で読める

当サイトのデータでは、G-JOBエージェント、シリコンスタジオエージェント、レバテッククリエイター、転職ボックスが全国対応の登録型として記録されています。
会員登録の時点で求人の必須スキルを確認できるため、要件から想定質問を作る作業に使えます。

同じ職種で10件ほど並べると、求められるツールと経験年数の傾向が見えます。
登録だけで進める使い方はゲーム業界は面談なしで求人を見られる?にまとめています。

面談実施型は選考の形を聞ける

当サイトのデータでは、マイナビクリエイター、Hiraku agent、ファミキャリ!、Vookキャリア、HIGHFIVE、CREATIVE JOBなどが面談実施型として記録されています。
担当者と話す時間があるため、提出物の見せ方についても相談の対象になります。

対象条件はサービスごとに違います。
HIGHFIVEとCREATIVE JOBは対象年齢を20〜49歳としており、CREATIVE JOBはさらに映像・ゲーム・Web・広告関連の業界または職種で1年以上の経験を条件に挙げています。
対象条件は、ポートフォリオの完成度より先に確認する項目です。

対応地域を先に確認する

GeeklyやAnyKanのように、対応地域を限定した面談実施型もあります。
地方に住んだまま応募する場合、対象になるかどうかを先に読んでおくと無駄がありません。

地域ごとの状況は地方在住でクリエイター職に転職できる?、オンラインでの面談や面接の準備はオンライン面談の準備にまとめています。

まとめ

  • 面接はポートフォリオを開いた状態で進み、質問が作品の中身に紐づく
  • 未発表のタイトルは名前を出せないため、ジャンル・規模・工程の単位に置き換える
  • 担当範囲は工程を区切って答え、担当していない工程は担当していないと答える
  • 新規開発と運営のどちらを希望するかは、配属に直結するため必ず確認される
  • プランナー・エンジニア・デザイナー・QAでは、質問の中身そのものが入れ替わる
  • 必須スキルを読むなら登録型、選考の形を聞くなら面談実施型と使い分ける