ゲーム業界の求人を見ていると、同じ職種でも「正社員」「契約社員」「業務委託」と雇用形態がばらついていることに気づきます。
他の業界より選択肢が多く見える一方で、条件を横に並べて比べにくいという問題も起こります。

ここでは、この業界で期間の定めがある契約が使われる背景を整理したうえで、正社員との違いと、応募前に確認しておく項目をまとめます。

ゲーム業界で有期雇用契約が使われる背景

安定性を理由に動く人が一定数いる

株式会社コンフィデンスが2022年9月に実施した社員アンケート(回答者321人)では、ゲーム業界は有期雇用契約が多く、正社員雇用の安定性を理由に転職する動きも一定数見られると整理されています(出典: 株式会社コンフィデンス)。

この記述で押さえておきたいのは2点です。
ひとつは、期間の定めがある契約がこの業界では例外的な扱いではないこと。
もうひとつは、契約の形そのものが転職のきっかけになりうるということです。
仕事の中身や人間関係に不満がなくても、契約の形を変えるために動くという理由が成立します。

開発がタイトル単位で進む

背景として考えられるのは、開発の進み方です。
ゲームの制作は企画から運営終了まで、タイトル単位で区切られた形で進みます。
工程によって必要な人数と職種が変わるため、期間を区切った契約と相性がよい構造になっています。

とくに、特定の工程だけで人手が必要になる職種では、この形が使われやすくなります。
会社の姿勢というより、制作の進み方に由来する部分が大きいという見方です。

平均勤続7年という数字とどう両立するか

一方で、ゲーム産業の平均勤続年数は7年、平均年齢は37歳とされています(出典: 日本経済新聞)。
有期雇用契約が多いという話と、7年という勤続年数は矛盾するように見えます。

この2つは両立します。
期間の定めがある契約でも更新が重なれば勤続年数は伸びますし、正社員として長く在籍する人と、期間を区切って複数の会社を回る人が同じ業界に混在しているためです。
平均値は、その内訳までは示しません。
自分がどちらの働き方をするかは、契約の形を自分で選んだ結果として決まります。

有期雇用契約と正社員は何が違うか

契約期間の定めがあるかどうか

もっとも大きな違いは、契約に期間の定めがあるかどうかです。
期間の定めがない契約であれば、退職や解雇の事由が生じない限り雇用は続きます。
期間の定めがある契約では、満了の時点で更新するかどうかの判断が入ります。

求人票の「雇用形態」欄と「契約期間」欄は、別の情報です。
雇用形態に「契約社員」と書かれていても期間が明記されていないことがあり、逆に「正社員」と書かれていても試用期間の扱いが別途書かれていることがあります。
2つの欄を分けて読む必要があります。

更新の判断は求人票では読み取れない

期間の定めがある契約では、更新の有無と、更新するかどうかを何で判断するかが重要になります。
求人票には「更新あり」とだけ書かれ、判断基準までは書かれていないことが多くあります。

確認しておきたいのは、更新の実績があるか、更新の判断が勤務評価によるのか担当タイトルの状況によるのか、という2点です。
前者であれば自分の働き方が影響しますが、後者であればプロジェクトの都合で決まります。
同じ「更新あり」でも、意味がまったく違います。

契約社員・派遣・業務委託は別物

ゲーム業界の求人では、正社員以外の形として契約社員・派遣・業務委託が並びます。
この3つはよく混同されますが、契約の相手が違います。

形 契約の相手 押さえておく点
契約社員 働く会社 期間の定めがある雇用契約
派遣 派遣元の会社 指揮命令は派遣先、雇用は派遣元
業務委託 発注元 雇用契約ではなく、労働時間の管理が前提にならない

業務委託は雇用契約ではないため、労働時間や休日に関する扱いが雇用とは異なります。
同じ「正社員ではない」という言葉で括られていても、社会保険や税の手続きまで変わります。
契約と派遣の一般的な違いは正社員以外(契約・派遣)で探す選択肢にまとめています。

期間の定めがある契約に関する制度

無期転換という仕組みがある

期間の定めがある労働契約が繰り返し更新され、通算の契約期間が一定の年数を超えた場合、働く人からの申し込みによって期間の定めのない契約に転換できる仕組みが労働契約法に設けられています。
転換の対象になる条件や通算期間の数え方には細かい定めがあるため、具体的な適用は厚生労働省の案内で確認してください。

この仕組みがあることを知っているかどうかで、更新のたびの受け止め方が変わります。
制度の内容を正確に把握したい場合は、厚生労働省の窓口や労働局の相談窓口が一次情報にあたります。

正社員登用制度は記載の有無で確認する

正社員への登用制度を設けている会社もあります。
ただし、制度があることと、実際に登用されることは別です。
求人票に登用制度の記載があるかどうかは確認できますが、その運用実態までは書かれていないのが通常です。

面談を伴うサービスを使う場合、この点は質問として持ち込める項目になります。
制度の有無ではなく、直近で登用された人がいるか、登用の判断が何によるかを聞くほうが、実態に近い答えが返ってきます。

求人票と契約書で確認する項目

契約に関する欄をまとめて見る

応募前に確認しておく項目は、雇用形態の欄だけでは足りません。
次の4点は、求人票の別々の場所に書かれていることが多いため、まとめて拾う必要があります。

  • 雇用形態(正社員・契約社員・派遣・業務委託)
  • 契約期間と更新の有無
  • 試用期間の長さと、その間の条件
  • 正社員登用制度の記載

このうち書かれていない項目があれば、それ自体が確認すべき事項になります。
書かれていないことを「無い」と読むと、入社後の想定がずれます。

待遇の差は年収ベースで並べる

期間の定めがある契約では、賞与や退職金の扱いが正社員と異なる場合があります。
月々の給与だけを比べると、正社員の求人より高く見えることもありますが、年収ベースで並べると差が出ることがあります。

比較するときは、月給ではなく年収と、そこに含まれない手当まで並べます。
複数の会社から条件が出た場合の並べ方は複数の内定が出たときの比較軸、金額そのものの見方は転職で年収は上がる?で扱っています。

質問は制度の有無ではなく運用を聞く

更新や登用について尋ねると印象が悪くなるのではないか、という迷いは起こります。
ただ、聞かずに入って想定と違った場合、動き直すことになるのは自分の側です。

聞き方を変えると、返ってくる答えも変わります。
「更新されますか」と可否を尋ねるのではなく、「契約の更新はどの時期に、何をもとに判断されていますか」と、時期と手順を聞く形にします。
制度があるかどうかは求人票で分かるため、面談で聞く価値があるのは運用のほうです。
質問の組み立て方は転職面接の準備にまとめています。

契約書の内容は入社前に受け取る

雇用契約を結ぶ際には、契約期間や更新の有無を含む労働条件が書面などで示されます。
求人票の記載と契約書の記載が食い違うことがあるため、内容を確認するのは署名の前です。
示される項目と、記載がずれていた場合の進め方は労働条件通知書の確認ポイントにまとめています。

疑問が残る条項があれば、その場で確認します。
確認したことが不利に働くのではないかと考えて質問を控えると、後から解釈の食い違いが起きます。
とくに期間の定めがある契約では、更新の判断時期と、更新しない場合の通知がいつ来るかが、次の動きを決める材料になります。
求人票のどの欄に何が書かれるかは求人票のどこを読むかで扱っています。

正社員の求人を探す場合のサービスの使い方

当サイトのデータでは16件すべてが正社員を対象としている

当サイトが扱っているゲーム・クリエイティブ向けサービスは16件で、いずれも正社員の求人を対象としたサービスとして整理しています。
つまり、期間の定めがない契約に絞って探したい場合、この分野のサービスは選択の前提と噛み合っています。

逆に、業務委託や派遣の案件を中心に探したい場合は、これらのサービスだけでは候補がそろわない可能性があります。
案件単位の働き方を含めて検討するなら、別の経路も並行して見る必要があります。

面談実施型では体制を質問できる

契約の形や更新の運用は、求人票の文面だけでは分からない部分が多く残ります。
当サイトのデータでは、面談の実施を伴う面談実施型が9件あり、この分野では最も多い形です。

面談の場では、募集が増員か欠員か、担当するタイトルがどの工程にあるか、契約の更新がどう判断されているかを尋ねられます。
質問は3つほどに絞っておくと、話がまとまります。
運営会社ごとの違いはゲーム業界の転職は大手が安心?にまとめています。

登録型で正社員求人の分布を先に見る

面談の前に、自分の職種で正社員の募集がどれくらい出ているかを把握しておくと判断が早くなります。
登録型は4件あり、会員登録の時点から求人を見られます。

見るのは件数と条件の分布の2つで足ります。
正社員の募集が少ない職種であれば、勤務地の範囲を広げるか、期間の定めがある契約も候補に含めるかという判断が必要になります。
進め方は転職するか迷っている段階では何をする?にまとめています。

対象地域によって使える窓口が変わる

正社員に絞って探す場合でも、サービスごとに対象となる地域が違います。
当サイトのデータでは、Geeklyは面談実施型で対象地域が東京・神奈川・埼玉・千葉、AnyKanは面談実施型で東京・京都です。
IT・Web・ゲーム業界専門の人材紹介会社として掲載されているサービスは申込型で、一都三県と大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山の10都府県が対象です。

勤務地を移す前提があるかどうかで、候補の並べ方が変わります。
移らない前提であれば全国対応のサービスが軸になり、移る前提であれば地域を限定したサービスも候補に入ります。
地域ごとの内訳は地方在住でクリエイター職に転職できる?にまとめています。

まとめ

  • ゲーム業界は有期雇用契約が多く、正社員雇用の安定性を理由に転職する動きも一定数見られる
  • 平均勤続年数7年という数字と有期契約の多さは矛盾せず、働き方の異なる人が混在している
  • 契約社員・派遣・業務委託は契約の相手が違い、社会保険や労働時間の扱いまで変わる
  • 求人票では雇用形態・契約期間・試用期間・登用制度を別々の欄として拾う
  • 当サイトが扱うゲーム・クリエイティブ向けサービス16件は、いずれも正社員の求人を対象としている
  • 面談では制度の有無ではなく、更新をいつ何で判断しているかという運用を聞く
  • サービスごとに対象地域が違うため、勤務地を移す前提があるかどうかで候補の並べ方が変わる
  • 契約の運用は面談で質問し、その前に登録型で正社員求人の分布を見ておくと判断が早い