保育士として働いていると、選択肢は保育所か認定こども園かという範囲で考えがちになります。
ただ、子どもに関わる仕事は保育所だけではなく、資格や経験が別の形で使える職場もあります。
ここでは、学童保育・塾講師・英語科教員という3つの方向を取り上げ、それぞれ何が違うのか、探すときに何を確認するのかを整理します。
異業種そのものへ移る場合の考え方は保育士から異業種に移れる?で扱っています。
保育・教育の仕事は保育所だけではない
資格が使える先が複数ある
保育士資格や教員免許は、取得した職種だけに対応するものではありません。
児童福祉に関わる職種の要件として基礎資格に含まれていたり、教育関連の求人で歓迎条件として扱われたりします。
資格を持っていること自体が、応募できる求人の範囲を広げています。
保育所の求人だけを見ていると、その範囲を自分で狭めていることになります。
保育士の需給には地域差がある
保育士の有効求人倍率は地域差が大きく、東京都では4倍を超えています(出典: こども家庭庁)。
倍率が高い地域では保育所の求人が豊富にありますが、そうでない地域では条件のよい募集に応募が集まります。
自分の地域で保育所の求人が限られている場合、職種を広げるほうが選択肢が増えることがあります。
地域ごとの状況は地方に保育士の求人はある?にまとめています。
退職の理由は待遇と業務量が上位
保育士全体の離職率は9.3%で全産業平均より低い水準ですが、退職理由を見ると給与と仕事量に関する項目が上位を占めています(出典: なるほど!ジョブメドレー)。
同じ職種の中で職場だけを変えても、業務の構造が似ていれば同じ理由が繰り返されることがあります。
職種そのものを見直す価値があるのは、この点があるためです。
学童保育という選択肢
放課後児童クラブで働くという形
学童保育は、制度上は放課後児童健全育成事業と呼ばれ、施設としては放課後児童クラブという名称が使われます。
小学生が放課後や長期休業中に過ごす場で、生活の場としての性格を持ちます。
保育所と違い、対象は小学生です。
身体的な介助の比重は下がり、宿題や遊びを含む生活全体への関わりが中心になります。
学年の幅があるため、同じ場に発達段階の違う子どもが同時にいる点も特徴です。
勤務時間の組み方が保育所と違う
平日は子どもが学校にいる時間帯が空くため、午後から夕方が勤務の中心になります。
一方、夏休みなどの長期休業中は朝から一日の勤務になります。
時期によって勤務時間が変わるという点は、生活の設計に直結します。
求人票では、平日と長期休業中それぞれの勤務時間がどう書かれているかを確認します。
放課後児童支援員という職種
放課後児童クラブには、放課後児童支援員という職種が置かれます。
保育士や社会福祉士、教員免許の保有者などが基礎資格にあたり、都道府県などが実施する認定資格研修を修了することで認定される仕組みです。
保育士資格を持っていれば、この基礎資格の要件に該当します。
研修を受ける前でも、補助的な立場で働ける募集が出ることがあります。
運営している主体によって条件が変わる
放課後児童クラブは、市町村が直接運営しているものだけではありません。
社会福祉協議会、保護者や地域による運営委員会、社会福祉法人、NPO法人、民間企業が運営に関わる形もあります。
委託や指定管理という形で運営が任されている施設もあります。
雇用の条件はこの運営主体に従います。
同じ市内のクラブでも、雇い主が違えば給与や雇用形態が変わります。
求人票では、施設の名称だけでなく、募集を出している法人がどこかを確認します。
自治体が直接雇用する場合は、自治体の採用情報を見ないと募集そのものに気づけないこともあります。
放課後等デイサービスという近い選択肢もある
放課後や休業日に子どもが通う場という点では、放課後等デイサービスや児童発達支援も近い位置にあります。
これらは児童福祉法に基づく障害児通所支援にあたり、放課後児童クラブとは制度上の位置づけが違います。
配置される職種の要件に保育士が含まれており、保育士資格を持っていれば対象になる募集があります。
基準の細部は自治体が公表している資料で定められているため、応募を考える場合は募集ごとの要件とあわせて確認します。
同じ「放課後」でも制度が別という点を押さえておくと、求人の検索でも取り違えずに済みます。
塾・教育業界という選択肢
塾講師は授業以外の業務も含む
塾講師の仕事は、授業を担当することだけではありません。
教材の準備、生徒の学習状況の把握、保護者への連絡、進路の相談まで含まれることがあります。
勤務時間は夕方から夜が中心になり、保育所とは逆の生活リズムになります。
個別指導と集団指導では、一度に見る人数も準備の量も変わるため、求人票でどちらの形式かを確認します。
教員免許を活かすという道
小中高の教員免許を持っている場合、学校で働く選択肢があります。
公立の学校は自治体の採用手続きが入口になりますが、私立の学校や一部の教育機関では、人材紹介を通じた募集が行われることがあります。
教員免許の更新に関する制度は近年見直されています。
自分の免許がいまどういう状態にあるかは、免許状を授与した都道府県の教育委員会で確認できます。
雇用形態を先に確認する
教育分野の求人は、正社員のほかに非常勤や契約の形が多く含まれます。
授業のコマ数に応じた給与体系になっている場合もあり、月ごとの収入が変動することがあります。
応募する前に、雇用形態と給与の計算方法を求人票で確認しておきます。
同じ職種名でも、条件の前提がまったく違うことがあります。
求人票のどこを見るかは求人票のどこを読むかにまとめています。
教える以外の職種もある
教育の業界には、授業を担当する職種以外の募集もあります。
教室の運営を担当する立場、生徒や保護者の窓口になる立場、教材やカリキュラムを作る立場、事務や受付を担当する立場などです。
授業を持たない職種であれば、勤務時間が夜に寄らない募集もあります。
子どもに関わる仕事を続けたいが生活のリズムは変えたくない、という場合に候補になります。
求人を検索するときは、職種名を「講師」に限定せず、教室運営や教務といった語でも試します。
サービスは職種ごとに分かれている
学童・塾・学校では求められる資格が違うため、転職サービスの側も職種ごとに分かれています。
保育士向けのサービスを見ているだけでは、これらの求人には出会いません。
3つの職種にそれぞれ専用のサービスがある
当サイトで整理している保育・教育向けサービスには、保育士向け以外のものも含まれています。
| サービス | 申込方式 | 対応地域 | 対象 |
|---|---|---|---|
| はじめての学童指導員 | 登録型 | 全国 | 放課後児童支援員・幼稚園教諭免許・小中高いずれかの教員免許の保有者 |
| 塾講師JAPAN | 申込型 | 全国 | 塾講師の求人 |
| 小中高の英語科教員の人材紹介ならワークスピット株式会社 | 申込型 | 全国 | 英語科教員の求人 |
はじめての学童指導員は登録型のため、会員登録の時点で求人を見られます。
対象となる資格が示されているので、自分が該当するかを登録前に確認できます。
申込型は求人を選んでから動く形
塾講師JAPANとワークスピット株式会社のサービスは申込型です。
申込型は、求人や問い合わせのフォームから申し込むところから始まる形で、登録して求人一覧を眺める形とは進み方が違います。
先に求人を決めてから動くことになるため、どういう条件で探すかをある程度固めてから使うほうが噛み合います。
方式ごとの違いは保育士は面談なし・電話なしで転職サービスを使える?で扱っています。
保育士向けサービスとは候補が入れ替わる
保育士向けのサービスは保育所や認定こども園の求人が中心です。
学童や塾、学校の求人を探す場合、候補に挙がるサービスが入れ替わります。
保育士資格だけでなく教員免許も持っている場合、使えるサービスの範囲が広がります。
手元にある資格を一度すべて書き出しておくと、対象条件と照らし合わせやすくなります。
職種を広げるときに確認すること
求人票で見る項目を職種ごとに変える
学童であれば平日と長期休業中の勤務時間、塾であれば指導の形式とコマ数、学校であれば担当する科目と雇用形態が中心の確認項目になります。
保育所の求人と同じ項目だけを見ていると、条件の違いを見落とします。
複数の職種を並行して見る場合、職種ごとに確認する項目を先に決めておくと比較が進みます。
進め方は転職するか迷っている段階では何をする?にまとめています。
資格の要件は募集ごとに読む
同じ学童保育の募集でも、放課後児童支援員としての採用か、補助的な立場での採用かで要件が変わります。
塾講師も、指導する科目や学年によって求められる条件が違います。
一般論ではなく、募集単位で応募条件を読むほうが早く結論が出ます。
資格の段階から確認したい場合は無資格から保育士になれる?も参考になります。
保育の経験を相手の職種の言葉に置き換える
保育所での業務は、そのままの名前では他の職種に伝わりません。
指導計画を立てて実施し振り返った経験は計画と運営の経験、連絡帳や面談で保護者に対応した経験は保護者対応の経験、行事を分担して進めた経験は複数人での進行の経験として書けます。
置き換えるときは、担当した人数と期間を添えます。
何歳児を何人、何年担当したかが分かると、集団を見た規模が伝わります。
学童であれば学年の幅、塾であれば一度に見る人数と対応します。
書き出し方の順序は職務経歴書はいつ作ればよいかにまとめています。
まとめ
- 保育士資格や教員免許は、保育所以外の職種でも基礎資格として使える場面がある
- 学童保育は平日と長期休業中で勤務時間が変わり、対象は小学生
- 塾講師は夕方から夜が中心で、授業以外の業務も含まれる
- 当サイトのデータでは、学童指導員・塾講師・英語科教員それぞれに専用のサービスがある
- 学童は運営主体によって雇用条件が変わるため、募集を出している法人まで見る
- 職種を広げるときは、求人票で見る項目を職種ごとに決め直す



