「地方では転職サービスが使えない」という言い方を見かけることがあります。
保育は人が住んでいる場所で必要とされる仕事ですが、サービスの側には対応地域があり、登録しても紹介できる求人が無いと言われることがあります。
ここでは、保育・教育向けサービスの対応地域が実際にどう分かれているかを当サイトのデータで確認し、地方で探すときの順序を整理します。
保育士の需給は地域によって違う
有効求人倍率の地域差が大きい
保育士の有効求人倍率は地域差が大きく、東京都では4倍を超えています(出典: こども家庭庁)。
同じ「保育士不足」という言葉でも、地域によって深刻さの度合いが違います。
倍率が高い地域では、求人が求職者を上回っている状態が続いています。
一方、倍率がそれほど高くない地域では、条件のよい求人に応募が集まりやすくなります。
自分の地域がどちらに近いかで、動き方の前提が変わります。
市場全体の動きは保育士の転職市場はいま?にまとめています。
人件費の引き上げは制度として全国に及ぶ
2024年度は保育士等の人件費が前年度比10.7%引き上げられ、2015年の子ども・子育て支援新制度の開始以降で最大の引き上げ率となりました(出典: 東京すくすく)。
これは制度上の措置であり、地域を問わず対象になります。
ただし、制度上の引き上げが個々の求人票にどう反映されるかは施設ごとに違います。
基本給に含める施設もあれば、手当として別枠で示す施設もあります。
地方だから反映されない、都市部だから反映される、という関係ではありません。
求人票を並べて確かめる意味があるのはそのためです。
地方でも求人そのものは動いている
保育は人が住む場所で提供される
保育のサービスは、子どもが生活する場所で提供されます。
人が住んでいる地域には保育施設があり、そこで働く人が必要になります。
求人が都市部だけに存在するという構造にはなっていません。
一方で、施設の運営主体は地域によって偏りがあります。
地方では、全国展開している法人より、その市町村だけで事業を行っている法人や社会福祉法人の比率が高くなる傾向があります。
公立の保育所は自治体が設置・運営しており、職員の採用も自治体の手続きを通じて行われるのが一般的です。
掲載されていない求人がある
地元の法人の募集は、大手の求人サイトに掲載されていないことがあります。
掲載の費用をかけず、ハローワークや地域のつながり、施設の直接の募集で採用している場合があるためです。
転職経験のある保育士106人へのアンケートでは、転職活動の方法の1位は「ハローワーク」で61人、2位は「転職エージェント」で35人、3位は「転職サイト」で32人、4位は「知人の紹介」で15人でした(株式会社ビズヒッツ調査、n=106、2022年1月13〜29日実施。
出典)。
民間のサービス以外の経路が広く使われていることが分かります。
サービス上の件数が少ないことと、地域に求人が無いことは別です。
サービスの対応地域には偏りがある
20件のうち6件が地域限定
当サイトで扱っている保育・教育向けサービス20件のうち、対応地域が限られているものは6件です。
残る14件は全国を対象としています。
なお、この20件には保育士向けのものだけでなく、学童や塾講師、教員といった教育分野向けのサービスも含まれます。
地域限定の6件の内訳は次のとおりです。
| サービス | 申込方式 | 対応地域 |
|---|---|---|
| ほいく畑 | 面談実施型 | 北海道・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨・静岡・愛知・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・岡山・山口・福岡・佐賀(20都道府県) |
| レバウェル保育士 | 登録型 | 北海道・宮城・茨城・埼玉・千葉・東京・神奈川・静岡・愛知・京都・大阪・兵庫・岡山・広島・福岡(15都道府県) |
| 求人あるある保育 | 登録型 | 北海道・宮城・埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・京都・大阪・兵庫・広島・福岡(12都道府県) |
| せんとなび保育 | 登録型 | 埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・京都・大阪・兵庫・福岡(9都府県) |
| 保育バランス | 登録型 | 埼玉・千葉・東京・神奈川・京都(5都府県) |
| 保育エイド | 登録型 | 埼玉・千葉・東京・神奈川・京都(5都府県) |
6件を重ね合わせると22都道府県
この6件の対応地域を重ね合わせると、北海道・宮城・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨・静岡・愛知・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・岡山・広島・山口・福岡・佐賀の22都道府県が含まれます。
裏を返せば、残る25県は地域限定のサービスの対象に一つも入っていません。
青森・岩手・秋田・山形・福島・新潟・富山・石川・福井・長野・岐阜・三重・和歌山・鳥取・島根・徳島・香川・愛媛・高知・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄がこれに当たります。
これらの県で探す場合、候補は全国対応の14件から選ぶことになります。
6件の内訳を横に見ると、埼玉・千葉・東京・神奈川・京都はすべてに含まれています。
愛知・大阪・兵庫・福岡は4件に含まれます。
地域限定のサービスの対応範囲が、首都圏と関西圏を中心に組まれていることが分かります。

「全国対応」でも求人の密度は均一ではない
全国対応と書かれている場合も、扱っている求人が全都道府県に均等にあるわけではありません。
拠点を置く都市を中心に求人が集まる構造上、地方の特定エリアでは選べる数が限られることがあります。
担当者が置かれている場所によっても、対応の厚みは変わります。
そのため、対応地域の広さは候補に入るかどうかの入口の条件であり、実際に使えるかどうかの答えではありません。
判断の材料になるのは、登録後に自分の希望する市区町村で表示される件数です。
運営会社ごとの違いは大手が運営する保育士向け転職サービスにまとめています。
地方で確認する順序
市区町村単位で件数を数える
登録したら、都道府県ではなく市区町村の単位で検索し、件数を数えます。
隣接する市町村まで範囲を広げたときにどれだけ増えるかも併せて見ます。
この2つの数字が分かれば、通える範囲の中に選択肢がどれだけあるかが具体的になります。
件数が一桁であっても、条件に合う求人が含まれていれば問題ありません。
逆に件数が多くても、施設の種類が希望と合わなければ候補にはなりません。
数だけでなく中身を見る必要があります。
種別ごとの違いは認可外・企業内保育園はどう違う?にまとめています。
同じ求人が複数のサービスに掲載されていることもあります。
件数を数えるときに施設名や運営法人名を記録しておくと、重複を除いた実際の選択肢の数が分かります。
表示件数と選べる施設の数は一致しないという前提で見ておきます。
通勤できる範囲を先に決める
地方では公共交通機関の本数が限られ、自動車での通勤が前提になる地域があります。
冬季の道路状況を含めて通える範囲を先に決めておくと、検索のたびに悩まずに済みます。
通勤の条件は、就業後に変えにくい条件でもあります。
早番のシフトがある場合、始業に間に合う移動手段があるかどうかも確認の対象です。
求人票の勤務時間と、実際の移動時間を並べて見ておきます。
複数の経路を並べて見る
転職サービスだけを使うのではなく、ハローワークの求人情報、自治体の採用情報、地域の法人が自社サイトで出している募集も並べて確認します。
都道府県などが設置する保育士・保育所支援センターは、保育士の就職や再就職の相談を無料で受け付ける公的機関です。
経路を一つに絞ると、選択肢を自分で狭めることになります。
サービスを使う目的は、求人の全体像を把握することと、条件を比較できる形で並べることです。
応募の経路がサービス経由かどうかは、その次の問題として扱えます。
サービスの組み合わせ方
全国対応の登録型で母数を確保する
まず、全国を対象とする登録型のサービスで、見られる求人の総数を確保します。
当サイトのデータでは、保育メトロ・保育専門求人サイト・保育のせかい・保育求人ラボ・保育Aid・G-Path(ジーパス)エージェント・はじめての学童指導員が全国を対象とする登録型で、会員登録の時点で求人を見られます。
複数を並行して見ると、同じ地域でも扱っている求人が違うことが分かります。
1社だけを見ていると、そのサービスが持っている求人が地域の相場だと感じてしまいます。
地方ほど、この見え方の差が大きく出ます。
方式ごとの違いは保育士は面談なし・電話なしで転職サービスを使える?で扱っています。
対象地域内なら地域限定のサービスも候補になる
自分の希望勤務地が前掲の6件の対象地域に含まれている場合、そのサービスも候補になります。
対応地域を絞っているサービスは、その地域の施設とのつながりが相対的に強いことがあります。
対象地域外であれば、登録しても紹介できる求人がありません。
この確認は登録前に済ませられます。
地域の条件の確認方法は、職種を問わず転職サービスは地方でも使える?で扱っています。
合わないと感じたら止めてよい
登録したうえで求人の傾向が希望と違う、対応が合わないと感じた場合、そのサービスを使い続ける必要はありません。
保育・教育向けサービスの多くは登録も利用も無料で、退会や利用停止は問い合わせフォームなどで完結することが一般的です。
前掲の調査では、転職活動が「順調」「まあ順調」だった人は81.9%でした(同調査)。
最初から使うサービスを一つに決める必要はなく、複数を試して自分の地域の求人が実際に出てくるものを残す進め方のほうが結果的に早く済みます。
まとめ
- 保育・教育向けサービス20件のうち、対応地域が限られるものは6件で、14件は全国対応
- 地域限定6件の対応地域を重ねると22都道府県で、残る25県は全国対応のサービスで探すことになる
- 「全国対応」でも求人の密度は均一ではないため、登録後に市区町村単位で件数を数える
- 転職活動の方法は1位がハローワークで、民間サービス以外の経路も広く使われている
- 全国対応の登録型で母数を確保し、対象地域内なら地域限定のサービスも候補に加える



