保育士向けの転職サービスを探すと、名前を聞いたことのない会社が並びます。
個人情報を預ける以上、知っている会社が運営しているところを選びたいと考えるのは自然な判断です。
ただし保育分野は、他の職種に比べて大手が運営するサービスの数が少ないという事情があります。
ここでは、大手が運営する保育士向けサービスの実際と、選択肢が限られる中での選び方を整理します。
運営会社を気にすることには意味がある
個人情報を預ける相手として見る
転職サービスに登録すると、氏名・連絡先・保有資格・現在の勤務先・希望条件を運営会社に渡すことになります。
誰が管理するのか分からないまま情報を出すことに抵抗を感じるのは、警戒しすぎではありません。
保育の場合、この不安には具体的な形があります。
園は地域とのつながりが強く、同じ市区町村の園同士が自治体の研修や合同の行事で顔を合わせる機会があります。
系列の園を複数運営する法人も珍しくありません。
転職を検討していること自体を今の園に知られたくない人にとって、運営会社が情報をどう扱うかは、求人の数と同じくらい重要な条件になります。
長く使う前提だからこそ運営基盤を見る
保育の職場は年度単位で動くため、4月の入れ替わりに合わせて転職する人が多くいます。
秋のうちに情報を集め始め、実際に動くのは翌春という進み方も一般的です。
この場合、同じサービスを半年近く使い続けることになります。
運営規模が大きい会社ほど、サービスが途中でなくなったり、担当者が不在のままやり取りが止まったりする可能性は相対的に低くなります。
小規模な運営が悪いという意味ではありません。
ただ、複数の事業を持つ会社であれば、保育分野の事業単体の状況が変わってもサービス自体が急に消える可能性は低いと考えられます。
数ヶ月かけて動く前提なら、この点は判断材料になります。
運営会社を確認する具体的な手順
各サービスのサイトには、フッターや「運営会社」「会社概要」のページに運営会社名が書かれています。
登録の前にこのページを開き、社名で検索して事業内容・設立年・他に運営しているサービスを見ておくと、判断の材料が増えます。
あわせて見ておきたいのが、有料職業紹介事業の許可番号です。
人材紹介を行う事業者は厚生労働大臣の許可を受ける必要があり、許可番号を自社サイトに記載していることが一般的です。
厚生労働省が運営する人材サービス総合サイトでは、許可を受けた事業者を社名から検索できます。
プライバシーマークやISMS認証の有無も、個人情報の取り扱い体制を見る手がかりになります。
こうした確認は登録前の数分で終わりますが、実際に行っている人は多くありません。
社名を聞いたことがあるかどうかだけで判断するより、はるかに具体的な材料が得られます。
保育士向けは大手が運営するサービスが少ない
当サイトの確認範囲では2つ
当サイトでは、掲載しているサービスごとに運営会社・申込方式・対応地域を確認しています。
保育・教育分野に分類しているサービスのうち、他分野でも広く事業を展開する企業が運営しているものは、レバウェル保育士とほいく畑の2つです。
看護分野では、同じ基準で3つ以上のサービスが並びます。
保育はそれに比べて、大手の選択肢が少ない領域だと言えます。
選択肢が少ないと比較の組み立て方が変わる
大手が2つしかないということは、大手だけを並べても比較にならないということです。
看護や介護のように「大手同士を見比べて絞り込む」という進め方が、保育では成り立ちにくくなります。
そのため保育士の場合は、大手から選ぶのではなく、大手を軸にして地域の事業者を足すという組み立てが現実的になります。
この点は後半で具体的に見ていきます。
大手が運営する2つのサービス
レバウェル保育士(レバレジーズ株式会社)
レバレジーズ株式会社が運営する保育士向けのサービスです。
同社はITエンジニア向けの「レバテック」、看護師向けの「レバウェル看護」など、職種に特化したサービスを複数運営しています。
保育分野だけを手がける会社ではないという点が、運営基盤の見方に影響します。
申込方式は登録型です。
会員登録が完了した時点で求人を見られる形で、面談を前提としません。
転職するかどうかを決めていない段階でも、まず相場を知る目的で使いやすい構造です。
対応地域は全国ではありません。
北海道・宮城・茨城・埼玉・千葉・東京・神奈川・静岡・愛知・京都・大阪・兵庫・岡山・広島・福岡の15都道府県が対象です。
ほいく畑(株式会社ニッソーネット)
株式会社ニッソーネットが運営するサービスです。
同社は保育・介護・医療の分野で人材サービスを手がけており、ほいく畑は資格取得の支援と連動した求人サービスとして展開されています。
申込方式は一つではありません。
求人への応募で完結する申込型と、面談を実施する面談実施型の両方のラインがあり、どちらを使うかで進み方が変わります。
対応地域も申込方式によって異なります。
応募で完結する形は全国が対象です。
面談を伴う形では、北海道・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨・静岡・愛知・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・岡山・山口・福岡・佐賀の20都道府県が対象になります。
2社の違い
| サービス | 運営会社 | 申込方式 | 対応地域 |
|---|---|---|---|
| レバウェル保育士 | レバレジーズ株式会社 | 登録型 | 15都道府県(北海道・宮城・茨城・埼玉・千葉・東京・神奈川・静岡・愛知・京都・大阪・兵庫・岡山・広島・福岡) |
| ほいく畑 | 株式会社ニッソーネット | 申込型/面談実施型 | 応募で完結する形は全国。面談を伴う形は20都道府県(北海道・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨・静岡・愛知・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・岡山・山口・福岡・佐賀) |
雇用形態は、当サイトが条件を確認している範囲では、いずれも正社員の求人を対象としたサービスとして扱っています。
パートや派遣を中心に探す場合は、各サービスのサイトで扱いを確認してください。
登録型は自分のペースで求人を見られる形、面談実施型は条件のすり合わせを人と行う形です。
どちらが優れているかではなく、いま自分がどの段階にいるかで選びます。
大手であっても解決しないこと
対応地域は会社の規模と一致しない
表で分かる通り、2社とも対応地域が全国をカバーしているわけではありません。
会社の規模が大きいことと、サービスの対応範囲が広いことは別の軸です。
2社の対応地域を重ねると、22都道府県が対象に入ります。
含まれないのは、宮城を除く東北5県、北陸4県、長野・岐阜、三重・和歌山、鳥取・島根、四国4県、九州南部の5県、沖縄です。
ほいく畑の応募で完結する形は全国が対象ですが、面談まで含めて使える範囲は上記のとおりになります。
これらの地域で探す場合、「大手が運営するサービスから入る」という方針そのものが機能しません。
対応地域の確認方法と地方での組み合わせ方は転職サービスは地方でも使える?にまとめています。
職場の種類が多く、入口も一つではない
保育士が働く場は、私立の認可保育所だけではありません。
認定こども園、小規模保育事業所、企業主導型保育、院内保育、学童保育、児童発達支援など幅があります。
公立の保育所は自治体が設置・運営しており、職員の採用も自治体の手続きを通じて行われるのが一般的です。
転職サービスに掲載されるのは、主に民間が運営する施設の求人です。
公立を志望するなら、入口は転職サービスではなく自治体の採用情報になります。
大手かどうか以前に、探している職場の種類とサービスの守備範囲が合っているかを見る必要があります。
対応地域の中でも求人の密度には差がある
拠点を置く都市を中心に求人が集まる構造上、同じサービスでも地域によって紹介される求人の数は変わります。
前段の対応地域は「対象かどうか」の話ですが、対象内であっても密度は一様ではありません。
登録後に自分の希望エリアの求人数を実際に見て確かめるのが確実です。
選択肢が少ない業種での選び方
先に対応地域を確認する
保育士の場合、最初に見るべきは運営会社の知名度ではなく対応地域です。
自分の住む地域が対象外なら、その時点でそのサービスは候補から外れます。
逆に対象に入っていれば、大手を軸に据える進め方が成立します。
順番を逆にすると、社名で選んでから地域で弾かれることになります。
登録型と面談実施型を段階で使い分ける
2つの方式は、どちらかを選ぶものではなく、進み具合に応じて使い分けられます。
まだ転職するか決めていない段階では、登録型で求人を見て相場を把握するのが向いています。
条件が固まり、園ごとの体制や勤務の実態まで聞きたい段階になってから、面談実施型で人に相談する価値が出てきます。
この順番で進めると、条件が固まらないうちに面談へ進んで話が噛み合わない、という状況を避けやすくなります。
決めていない段階で何をするかは転職するか迷っている段階では何をする?にまとめています。
大手以外も候補に入れる
保育分野には、地域に根ざした中小規模の人材サービスが一定数あります。
聞いたことがないという理由だけで外すと、選択肢を必要以上に狭めることになります。
地元の法人が運営する園の求人は、大手より地域の事業者のほうが把握している場合があります。
公的な窓口もあります。
都道府県などが設置する保育士・保育所支援センターは、保育士の就職や再就職の相談を無料で受け付ける公的機関です。
ハローワークにも保育の求人が出ています。
民間のサービスとは役割が違うため、併用しても矛盾しません。
大手以外を検討するときも、運営会社を確認する手順は変わりません。
会社概要・許可番号・認証の有無をそろえてから登録します。
連絡の量を先に決めておく
複数のサービスに同時に登録すると、その分だけ連絡が来ます。
在職中で日中に電話を取りにくい人は、登録時に希望する連絡手段と時間帯を伝えておくと負担が減ります。
詳しくは転職サービスに登録すると電話は来る?にまとめています。
2つ以上を並べて比較する
1社だけを使うと、そのサービスが持っている求人が業界全体の相場だと錯覚しやすくなります。
同じ条件で複数のサービスを見比べると、提示される園の種類や条件の幅が違うことが分かります。
合わないと感じたサービスを使い続ける必要はありません。
保育士の求人倍率や処遇改善の動きは保育士の転職市場はいま?にまとめています。
まとめ
- 保育士向けで大手が運営するサービスは、当サイトの確認範囲ではレバウェル保育士とほいく畑の2つ
- レバウェル保育士はレバレジーズ株式会社が運営する登録型で、対応地域は15都道府県
- ほいく畑は株式会社ニッソーネットが運営し、申込型と面談実施型のラインがある
- 2社とも対応地域が全国ではないため、規模より自分の地域が対象かを先に確認する
- 公立園は自治体の採用手続きが入口になるなど、職場の種類によって入口が違う
- 大手の選択肢が少ない領域のため、地域の事業者や公的窓口を組み合わせるのが現実的



