転職を考え始めると、最初に目に入るのはサービスの名前です。
ただ、その手前で知っておくと判断が変わることがあります。
いまどのくらいの人が動いていて、どんな理由で辞めていて、転職したあとに条件がどう変わっているのか。
公的な統計で分かる範囲を先に整理してから、サービスの話に進みます。
転職市場でいま起きていること
出入りの差はプラスだが、動く人の割合は減っている
2024年の入職者数は約747.3万人、離職者数は約719.5万人で、入職者が離職者を27.8万人上回りました(出典: 厚生労働省「令和6年雇用動向調査」)。
一方で、入職率は14.8%で前年から1.6ポイント低下、離職率は14.2%で1.2ポイント低下と、どちらも前年を下回りました(出典: 同調査)。
差し引きの人数では増えているのに、労働者全体に占める「動いた人」の割合は下がっている、という状態です。
転職が当たり前になったと語られがちですが、統計の上では前年より鈍っています。
周囲に転職する人が少なくても、それは特別なことではありません。
動いているのは若い層に偏っている
年齢階級別の転職入職率を見ると、19歳以下が最も高く(男性20.4%、女性20.8%)、年齢が上がるにつれて下がっていきます。
そして60〜64歳・65歳以上で再び上がります。
| 年齢階級(男性) | 転職入職率 |
|---|---|
| 19歳以下 | 20.4% |
| 25〜29歳 | 15.1% |
| 40〜44歳 | 6.8% |
| 60〜64歳 | 10.0% |
厚生労働省「令和6年雇用動向調査」の男性の値から作成(出典)。
40代前半は20代後半の半分以下です。
年齢が上がると下がり、定年前後で持ち直すという形になっています。
この形は、年齢によって転職の意味合いが変わることを示しています。
20代は経験の幅を広げるための移動が多く、40代は動く人自体が少ない代わりに、募集も限られた枠に絞られます。
60代の上昇には、定年や契約期間の満了に伴う再就職が含まれます。
同じ「転職」でも、探し方を変える必要があります。
辞めた理由は男女で違う
転職入職者が前職を辞めた理由(個人的理由・その他の理由を除く)は、男女で最も多い項目が異なります。
| 男性 | 女性 | |
|---|---|---|
| 最も多い理由 | 定年・契約期間の満了 14.1% | 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 12.8% |
| 次に多い理由 | 給料等収入が少なかった 10.1% | 職場の人間関係が好ましくなかった 11.7% |
厚生労働省「令和6年雇用動向調査」より作成(出典)。
前年からの上昇幅で見ると、男性は「会社の将来が不安だった」が2.2ポイント、女性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が1.7ポイント増えています(出典: 同調査)。
ここで注目したいのは、上位の理由が**「求人票で確認できるもの」と「できないもの」に分かれる**という点です。
給与や労働時間、休日は求人票に書かれています。
職場の人間関係や会社の将来性は書かれていません。
この違いが、後でサービスを選ぶときの分かれ目になります。
転職して賃金が増えた人は4割
転職入職者の賃金の変化は、「増加」40.5%、「減少」29.4%、「変わらない」28.4%でした。
増加が減少を11.1ポイント上回っています。
前年と比べると増加は3.3ポイント上がり、減少は3.0ポイント下がりました(出典: 同調査)。
増えた人が最も多い一方で、3割の人は減っています。
転職すれば上がる、とも下がる、とも言えない数字です。
何が金額を決めているかは転職で年収は上がる?にまとめています。
転職を考え始めたら最初にやること
まず同じ職種の求人を10件見る
第一歩は応募ではありません。
同じ職種・同じ経験年数の求人を10件ほど見ることです。
賃金が増えるか減るかは、本人の能力より先に、業界と職種の相場で大枠が決まります。
いまの条件が市場のどのあたりにあるのかを知っておくと、提示された金額を判断できます。
この段階では応募も面談も必要ありません。
進め方は転職するか迷っている段階では何をする?にまとめています。
求人票で分かることと分からないことを分ける
辞めた理由の上位には、労働時間や給与といった条件面と、人間関係や会社の将来性といった内部の事情が混ざっていました。
前者は求人票を並べれば比較できます。
後者は書かれていません。
書かれていない項目をどう埋めるかを先に決めておくと、活動が止まりにくくなります。
面接で質問する、在籍している人に聞く、担当者に確認する、といった方法があります。
面接で確認する場合の準備は転職面接の準備で扱っています。
経歴は求人を見ながら箇条書きにする
職務経歴書を先に完成させる必要はありません。
求人に書かれた「求める経験」を見ながら、担当した業務・扱った規模・期間を箇条書きで並べていくほうが進みます。
作る順番は職務経歴書はいつ作ればよいかにまとめています。
在職中に動くか、辞めてから動くかを決める
在職中は時間が取りにくい代わりに、収入が途切れません。
辞めてから動くと時間は作れますが、決まらない期間の負担が読みにくくなります。
それぞれの進め方は在職中の転職活動はどう進める?で扱っています。
求人票で比較できることと、人に聞かないと分からないこと。
この2つは埋め方が違うため、総合型の転職サービスも大きく2つの形に分かれています。
総合型のサービスは登録型と面談型に分かれる
登録型は会員登録が入口になる
会員登録を済ませた時点で利用が始まるタイプです。
当サイトで条件を整理している総合型サービスでは、リクナビNEXT、リクルートエージェント、リクルートダイレクトスカウト、ミイダス、LHH転職エージェント、type転職エージェント、ハタラクティブなどがこの形に当たります。
登録の時点で面談を予約する必要はありません。
求人や条件を見るところまでで、いったん止めることもできます。
相場を知りたいだけの段階では、この形が目的に合います。
同じ登録型でも、自分で探す形と待つ形がある
登録型はさらに2つに分かれます。
- 求人を自分で検索して応募する形。
リクナビNEXTがこれに当たります - 経歴を登録しておき、企業や担当者からの連絡を受け取る形。
リクルートダイレクトスカウトやミイダスがこれに当たります
後者は、いまの経歴が市場からどう見えているかが反応の形で分かるのが利点です。
ただし届く連絡の量は登録した内容によって変わります。
連絡の頻度が気になる場合は転職サービスに登録すると電話は来る?を先に読んでおいてください。
面談型は日程調整の連絡から始まる
登録がキャリア面談の申し込みを兼ねるタイプです。
登録の後に担当者から連絡が入り、面談の日程を決めるところから始まります。
求人の紹介は面談のあとになります。
総合型では、ランスタッドのキャリアアップ転職や、JAIC就職カレッジのように面談の実施を前提としたサービスがこれに当たります。
同じブランドでも入口によって進み方が違う
見落としやすいのがこの点です。
ランスタッドは、会員登録から始まる転職支援と、面談の実施を前提にしたサービスの両方を持っています。
つまり、サービス名だけでは面談が前提かどうかは決まりません。
同じ会社が複数の入口を用意していることがあるため、登録する画面に「会員登録」と書いてあるか「無料相談・面談の申し込み」と書いてあるかを見てください。
なぜ2つの形があるのか
求人票に載っている条件を比べるだけなら、間に人が入る必要はありません。
給与も休日も勤務地も、文字で読めば比較できます。
一方、社風・配属される部署の状況・公開されていない募集は、書面には出てきません。
ここは人が持っている情報です。
条件の比較は登録型で足り、書面に出ない情報は面談型が持っているという役割の違いがあります。
どちらが優れているという話ではなく、必要な段階が違います。
対応地域と対象は全国一律ではない
全国対応と地域限定が混在している
総合型のサービスは全国対応が多数ですが、すべてではありません。
JAC Recruitmentの無料転職サポートは関東・甲信・東海・関西・中国地方の12都府県、type転職エージェントは首都圏を中心とした地域、JAIC就職カレッジは首都圏・東海・関西と福岡・熊本といった形で、対象の地域を定めているサービスがあります。
住んでいる地域や希望する勤務地が対象の外だと、登録しても紹介には進みません。
登録の前に対応地域を確認してください。
掲載範囲と紹介範囲は別のもの
求人が掲載されている範囲と、担当者が付いて紹介できる範囲は別です。
全国の求人が閲覧できても、面談や紹介は拠点のある地域に限られる場合があります。
地方で探す場合の注意点は転職サービスは地方でも使える?で扱っています。
雇用形態は正社員向けが中心
当サイトで整理している総合型サービスは、正社員の求人を扱うものが中心です。
派遣や、複数の雇用形態をまとめて扱うサービスは別に存在します。
探している働き方と、サービスが扱う雇用形態を合わせてください。
使い分けの提案
迷っている段階は登録型を1社
転職するかどうかを決めていない段階なら、登録型を1社で足ります。
目的は相場を知ることなので、同時に何社も登録しても得られる情報はあまり増えません。
連絡の対応に時間を取られるほうが負担になります。
条件が固まったら面談型を1〜2社足す
応募したい求人の傾向が見えてきたら、面談型を1〜2社足します。
この段階なら、希望する職種・年収・勤務地を具体的に伝えられます。
順番を逆にすると、考えがまとまっていない状態で希望を聞かれることになります。
登録型で材料を集めてから面談型に進むほうが、やりとりの回数が少なくなります。
40代以上や、地方で探す場合
40代前半の転職入職率は20代後半の半分以下でした。
動く人が少ない層では、公開されている求人だけで選択肢が揃わないことがあります。
この場合は登録型で相場を見ながら、早い段階で面談型を足すほうが選択肢が広がります。
勤務地が限られる場合は、先に対応地域を確認してください。
対象外の地域だと、登録しても紹介に進まないためです。
年収を上げたい場合は業界を先に決める
賃金が増えた人は40.5%でしたが、増えるかどうかは移る先の業界と職種で大きく変わります。
サービスを選ぶ前に、どの業界を見るかをある程度決めておくと、求人を見る効率が上がります。
提示額を受け取ってからの進め方は転職の年収交渉はできる?にまとめています。
職種が決まっているなら特化型も見る
看護・介護・ITエンジニアのように、職種に特化したサービスが充実している分野があります。
総合型と特化型では扱っている求人が違うため、職種が決まっているなら両方を見ておくと比較になります。
自分の職種や勤務希望地に対応しているサービスは職種診断で絞り込めます。
まとめ
- 2024年は入職者が離職者を27.8万人上回ったが、入職率も離職率も前年より低下している
- 転職入職率は若い層ほど高く、40代前半で最も低い。
60〜64歳で再び上がる - 辞めた理由は男女で違い、求人票で確認できるものとできないものが混ざっている
- 転職後に賃金が増えた人は40.5%、減った人は29.4%
- サービスは登録型と面談型に分かれ、同じブランドでも入口によって進み方が違う
- 迷っている段階は登録型を1社、条件が固まってから面談型を足す



