新卒の就活で使えるサービスは数が多く、どれに登録すればいいか迷う場面があります。
判断材料の一つとして「知っている会社が運営しているか」を基準にする人は少なくありません。
就活生本人だけでなく、保護者から「その会社は大丈夫なのか」と聞かれることもあります。
ここでは、大手企業が運営する新卒就活サービスの実際と、規模だけで選ぶことの注意点を整理します。

大手を選ぶことの意味

個人情報を預ける相手としての安心感

就活サービスに登録すると、氏名・大学名・学部・連絡先といった情報を運営会社に渡すことになります。
企業から学生へオファーが届く形式のサービスでは、これに加えて自己PR、研究テーマ、学生時代に力を入れたこと、志望業界まで登録するのが一般的です。
社会人向けの転職サービスより、渡す情報の量は多くなります。
聞いたことのない会社より、社名を知っている会社の方が、情報の扱いに対する不安が小さくなるのは自然なことです。

就活サービスの場合、登録した内容が企業側から閲覧できる設計になっているものがあります。
誰にどこまで公開されるのか、公開範囲を自分で設定できるのかは、サービスごとに異なります。
登録前に公開範囲の設定を確認しておくと、想定していなかった相手にプロフィールが見られる事態を避けられます。
運営会社の情報管理体制を気にするのであれば、あわせてこの点も見ておく価値があります。

家族に説明しやすいという実務的な利点

就活は本人だけで完結する活動になりにくく、家庭で話題になることがあります。
「どこ経由で応募しているのか」と保護者から聞かれたとき、名前の知られた会社が運営していれば、説明は短く済みます。
聞いたことのないサービス名だと、説明のために自分で調べ直すことになり、その手間が活動の妨げになることもあります。

これはサービスの中身の良し悪しとは別の話です。
ただ、就活中に余計な説明や心配のやり取りを減らせるという点で、実際には無視できない要素になります。
保護者が心配しているのは多くの場合サービスの質ではなく、情報の扱いと会社の実在性です。
運営会社名と会社概要ページを一度見せれば済むことも少なくありません。

運営基盤の継続性

就活は、大学3年の春に情報収集を始めてから4年の秋に決まるまで、1年以上にわたることがあります。
その間に登録したサービスが終了すると、プロフィールを別のサービスで作り直す手間が発生します。
運営会社の規模が大きいほど、突然のサービス終了や、問い合わせへの対応が止まるといったリスクは相対的に低くなります。

小規模な運営会社が悪いという意味ではありません。
ただ、複数の事業を展開している企業であれば、新卒向け事業単体の収益が一時的に落ち込んでも、サービス自体が急になくなる可能性は低いと考えられます。
就活を一度中断して数ヶ月後に再開する場合や、卒業後に第二新卒として動き直す場合でも、サービスが存続していれば同じ登録情報を使えます。

運営会社を確認する具体的な方法

各サービスのサイトには、通常フッターや「運営会社」「会社概要」といったページに運営会社名が明記されています。
登録前にこのページを開き、会社名で検索して事業内容や設立年、ほかにどんなサービスを運営しているかを調べておくと、判断材料が増えます。

あわせて、プライバシーマークやISMS認証といった第三者機関の認証を取得しているかどうかも、個人情報の取り扱い体制を確認する手がかりになります。
認証の有無は各サービスのサイトに記載されていることが多く、規模の大きい運営会社ほど取得している傾向があります。

就活生の場合、もう一つ使える確認先が大学のキャリアセンターです。
学内で案内しているサービスかどうか、過去に利用した学生から報告が上がっているかを聞けることがあります。
社名を検索するだけでは分からない情報が得られるのは、就活ならではの利点です。
こうした確認は登録前の数分から数十分で済みますが、実際に行っている人は多くありません。

大手が運営する主な新卒就活サービス

新卒就活のサービスの中には、企業の採用支援を長く手がけている会社が運営しているものがあります。
以下の3つは、いずれも運営会社名が公開されており、対応地域が全国となっている代表例です。
運営会社と、そのサービスがどういう使い方を前提にしているかをあわせて見ていきます。

OfferBox(株式会社i-plug)

株式会社i-plugが運営する、企業から学生にオファーが届く逆求人型のサービスです。
自分から求人を探して応募するのではなく、登録したプロフィールを見た企業側から連絡が来ます。
会員登録の時点で使い始められる登録型で、面談やイベントへの参加が前提にはなっていません。
対応地域は全国です。

逆求人型は、エントリーの前に市場からの反応が分かるという点で、一般的な就活サイトとは順番が逆になります。
自分では候補に入れていなかった業界の企業から声がかかることもあり、志望業界を絞りきれていない段階でも使えます。
一方で、プロフィールが埋まっていない状態ではオファーは届きにくくなります。
登録して放置するだけでは機能しにくい設計である点は、使う前に理解しておく必要があります。

アカリク(株式会社アカリク)

株式会社アカリクが運営する、大学院生・理系学生に向けた就活サイトです。
専攻や研究内容を評価する企業が集まっている点が、対象を絞らない総合型の就活サイトとの違いになります。
こちらも会員登録から使い始められる登録型で、対応地域は全国です。

総合型の就活サイトのプロフィール欄は、研究テーマを書き込むには窮屈なことがあります。
研究内容を軸に評価してほしい学生にとって、それを前提としたフォーマットが用意されているかどうかは、実際の使い勝手を左右します。
逆に、専攻とは関係のない業界を志望する場合、このサービスの強みは活きにくくなります。
大手が運営しているかどうかより、想定されている利用者に自分が当てはまるかが先に来る例です。

みん就(みん就株式会社)

みん就株式会社が運営するサービスで、合同企業説明会を扱っています。
Web上での申し込みを経て説明会に参加する申込型のため、登録して求人やオファーを眺める形式のサービスとは使い方が異なります。
対応地域は全国です。

合同企業説明会は、一度の機会で複数の企業の担当者に会えるのが利点です。
Webサイトの情報だけでは分からない社内の雰囲気や、実際に働いている人の話を聞ける場になります。
志望業界が決まっていない段階でも、複数の業界の話をまとめて聞けるという使い方ができます。
ただし日程と会場が決まっているため、自分のペースで進められる登録型と違い、予定を合わせる必要があります。

3サービスの申込方式の違い

同じ「大手が運営するサービス」でも、使い始め方には違いがあります。

サービス 運営会社 申込方式 対応地域 想定される使い方
OfferBox 株式会社i-plug 登録型 全国 プロフィールを登録し、企業からのオファーを待つ
アカリク 株式会社アカリク 登録型 全国 大学院生・理系学生が専攻を軸に企業と出会う
みん就 みん就株式会社 申込型 全国 合同企業説明会に申し込み、企業と直接会う

登録型は自分のペースで進めやすく、申込型は日程を決めて動くことになります。
どちらが合うかは、いまが情報を集める段階なのか、企業の担当者と直接会う段階なのかによって変わります。
両方を並行して使うこともできるため、片方を選んだらもう片方が使えなくなるわけではありません。

大手だから良いとは限らない点

想定している利用者が絞られているサービスがある

運営会社が大手であっても、サービスごとに想定している利用者は異なります。
大学院生・理系学生に向けたサービスは、その層には有効な一方、文系学部生にとっては使いどころが限られます。
会社の規模と、自分が想定利用者に当てはまるかどうかは、別の軸として見る必要があります。

登録前に、そのサービスが誰に向けて作られているかをトップページや説明ページで確認します。
対象が明記されていれば、そこに自分が入るかどうかで判断できます。
規模の大きさは、自分が対象であることを意味しません。

全国対応でも企業の分布は均一ではない

対応地域が全国と表示されていても、掲載されている企業の本社や勤務地は都市部に偏りやすい傾向があります。
地元での就職を考えている場合、表示上の対応地域だけで判断すると、実際に届くオファーや見つかる企業の数とのギャップを感じることがあります。

地方での就職を軸に考えるなら、登録後に自分の希望エリアの企業がどれくらいあるかを確かめる方が確実です。
地元企業の情報は大学のキャリアセンターや自治体の就職支援機関が持っていることも多く、全国対応のサービスと併用する形が現実的です。

登録者が多いほどプロフィールの中身で差がつく

利用者の多いサービスでは、企業側も多くの学生のプロフィールを見ることになります。
登録だけ済ませて中身が薄い状態だと、ほかの登録者の中に埋もれます。
大手のサービスに登録したこと自体が、選考で有利に働く要素になるわけではありません。
むしろ登録者の母数が大きいぶん、書き込んだ内容の差が結果に出やすくなります。

登録してしばらく経っても反応がない場合は、サービスを乗り換える前に、プロフィールの記入量を見直す方が先です。
自己PRや研究内容が数行しか埋まっていないケースは珍しくありません。

大手以外の選択肢も視野に入れる

知名度がなくても実績のあるサービスはある

「聞いたことがない」という理由だけでサービスを候補から外すと、選択肢を必要以上に狭めてしまいます。
特定の業界や職種に特化したサービスの中には、知名度は高くなくても、その領域では詳しい情報を持っている場合があります。

エントリーシートの添削や、OB・OG訪問のマッチングのように、就活の一部分だけを扱うサービスもこれに当たります。
総合型の大手サービスと役割が重ならないため、併用しても情報が重複しにくいという利点があります。

運営会社を確認する姿勢は大手以外でも変わらない

大手以外のサービスを検討する場合でも、運営会社を確認するという基本の姿勢は変わりません。
会社概要のページで事業内容や設立年、プライバシーマークの有無を確認したうえで、大手か否かにかかわらず判断材料をそろえてから登録します。

判断に迷うときは、大学のキャリアセンターや、すでに就活を終えた先輩に聞くという手段もあります。
学内で名前が挙がるサービスかどうかは、公開情報だけでは分からない参考材料になります。

規模より合っているかで選ぶ

まず自分の状況を整理する

運営会社の知名度から入るのではなく、先に自分の状況を整理しておくと比較がしやすくなります。
整理する項目は多くありません。
いまは情報を集める段階か企業と会う段階か、専攻や研究を軸に評価してほしいか、勤務地に希望はあるか。
この3つが決まれば、登録型と申込型のどちらから始めるかはほぼ決まります。

書き出す作業は数分で終わりますが、後から「思っていたサービスと違った」という不一致を防ぐ効果があります。

複数サービスを併用して比較する

大手のサービスであっても、1社だけの情報で判断する必要はありません。
オファー型を複数使えば、届くオファーの業界や企業規模の傾向に違いが出ることが分かります。
1社だけに登録していると、そのサービスが持っている企業が市場全体の姿だと錯覚しやすくなります。

ただし、数を増やしすぎるとプロフィールの更新が追いつかなくなります。
中身が薄いまま登録先だけ増える状態は、どのサービスでも結果につながりません。
まずは2〜3社に絞り、それぞれのプロフィールを埋めきってから追加を検討する方が実務的です。

合わないと感じたら使うのをやめてよい

登録した後に「届くオファーの傾向が希望と違う」「使い方が自分に合わない」と感じた場合、無理に使い続ける必要はありません。
新卒就活のサービスは学生の利用が無料のものが多く、複数を並行して使い、合わないものを止めるという進め方ができます。
退会や利用停止の手続きも、多くは問い合わせフォームやマイページから完結します。

なお、就活塾のように有料のサービスもあります。
費用が発生するものは、無料のサービスと同じ感覚で登録せず、金額と契約期間、途中解約の条件を確認してから判断します。

新卒・第二新卒の市場全体の動向は新卒・第二新卒の就活市場はいま?に、登録だけで進められるオファー型サービスの使い方は新卒就活は登録だけで進められる?にまとめています。

まとめ

  • 株式会社i-plug・株式会社アカリク・みん就株式会社など、運営会社が公開されている新卒就活サービスがある
  • 大手であることは個人情報を預ける安心感・運営の継続性という利点になる
  • 就活では家族に説明しやすいという実務的な利点もある
  • 一方で、想定している利用者や企業の分布は運営会社の規模と一致しないため、規模だけで選ばない
  • 登録型と申込型で進め方が異なるため、いまの自分の段階に合う方式を選ぶ
  • 登録者が多いサービスほどプロフィールの中身で差がつく。
    登録しただけでは反応は増えない
  • 知名度がなくても実績のあるサービスはあり、大手以外も判断材料をそろえたうえで検討する価値がある