保育士の求人を見ていると、認可保育所のほかに、認可外保育施設、企業主導型保育、院内保育といった名称が並びます。
名前は聞いたことがあっても、働く側から見て何がどう違うのかは、求人票を眺めているだけでは分かりません。
「認可外は不安定」といった言われ方をすることもありますが、その判断が何に基づいているのかまで示されることは多くありません。

ここでは、施設の区分が何を意味しているのかを整理したうえで、求人を比べるときに実際に見るべき項目と、サービス側での探し方を扱います。

保育士の職場は一種類ではない

施設の種類の多さが選択肢の幅になる

保育士が働く場は、私立の認可保育所だけではありません。
認定こども園、小規模保育、企業主導型保育、事業所内保育、院内保育、学童保育、児童発達支援など幅があります。
公立の保育所は自治体が設置・運営しており、職員の採用も自治体の手続きを通じて行われるのが一般的です。

同じ保育士資格で働ける場がこれだけ分かれているということは、今の職場が合わないことと、保育の仕事が合わないことは別だという意味になります。
園を変えるという選択肢の中に、施設の種類を変えるという選択肢が含まれています。

転職理由の上位は環境と条件に集まる

転職経験のある保育士106人へのアンケートでは、転職理由の1位は「人間関係の悩み」で32人、2位は「収入アップのため」で29人、3位は「労働時間への不満」で28人でした(株式会社ビズヒッツ調査、n=106、2022年1月13〜29日実施。
出典)。

上位に並ぶ項目は、いずれも施設の規模や運営方針によって差が出るものです。
人数の少ない施設と大規模な施設では人間関係の作られ方が違い、開所時間の長さは勤務シフトに直結します。
施設の種類を変えることは、これらの条件を変える手段の一つになります。

認可と認可外はどう区分されるのか

認可は基準を満たして認可を受けた施設

認可保育所は、児童福祉法に基づいて定められた基準を満たし、都道府県知事などの認可を受けた施設です。
職員の配置や設備について基準が設けられており、公費による給付の対象になります。
認定こども園や小規模保育も、それぞれの制度の枠組みの中に位置づけられています。

働く側から見ると、基準が定められていることは職員体制の下限が示されているという意味を持ちます。
ただし基準は下限であり、それを上回る体制を取っている施設もあります。
認可であるかどうかだけでは、実際の配置までは分かりません。

認可外は「それ以外」をまとめた区分

認可外保育施設は、認可を受けていない保育施設をまとめて指す区分です。
ここには、地域の小規模な施設、夜間や休日に対応する施設、企業や病院が従業員向けに設けた施設など、性格の異なるものが同居しています。

つまり認可外という言葉は、施設の性質を一つに定めるものではありません。
同じ区分の中に、条件も体制も大きく異なる施設が並んでいるという前提で見る必要があります。
認可外だから待遇が悪い、という一般化は成り立ちません。
認可外保育施設についても指導監督の基準が設けられており、自治体による確認の仕組みがあります。
制度の詳細と最新の内容は、こども家庭庁や勤務を希望する自治体の案内で確認してください。

区分は判断の入口であって結論ではない

認可か認可外かは、求人を絞り込むときの入口として使える情報です。
ただし、それだけで応募先を決められる材料にはなりません。
同じ区分の中で条件の幅が大きいため、区分で候補を絞ったあと、個々の求人票で比べる作業が残ります。

判断材料をどう集めるかは、市場全体の状況を把握するところから始まります。
保育士の求人倍率と処遇の動きは保育士の転職市場はいま?にまとめています。

企業内・企業主導型という選択肢

従業員のために設けられた保育施設

企業が従業員の子どもを預かるために設けている保育施設は、事業所内保育や企業内保育と呼ばれます。
企業主導型保育事業として整備されている施設もあり、地域の子どもを受け入れる枠を設けている場合もあります。
院内保育は、病院が職員のために設けた形の一つです。

こうした施設に共通するのは、利用者が主にその企業や病院で働く人であるという点です。
そのため、定員が比較的小さいこと、開所時間が勤務先の稼働に合わせて設定されることがあります。

保育所と何が変わるか

規模が小さい施設では、担当する子どもの人数や職員の人数が少なくなります。
一人あたりの関わりが深くなる一方、職員が少ないぶん体制の変化の影響を受けやすくなります。
どちらが良いかは、自分が何を優先するかで変わります。

また、運営主体が保育を本業とする法人ではない場合があります。
この違いは、研修の体制やキャリアの積み方に影響することがあります。
求人票からは読み取れない部分のため、応募前に質問する項目として残しておく価値があります。

行事の組み方にも差が出ることがあります。
定員が小さい施設では大規模な発表会や運動会を行わない場合があり、準備にかかる時間の総量が変わります。
行事の負担を理由に職場を変えるのであれば、この点は求人票の記載か面談で確かめる項目になります。

求人票で確認する項目

定員と職員体制

定員の人数と、配置されている職員の人数を確認します。
両方が書かれていない求人も多いため、書かれていない場合は「確認できなかった項目」として記録しておきます。
応募や見学の段階で尋ねる材料になります。

数字が示されている求人同士であれば、直接比べられます。
同じ地域・同じ区分で3〜5件を並べると、その地域の標準的な水準が見えてきます。
同じ施設の求人が複数のサービスに重複して掲載されていることもあるため、施設名や運営法人名が分かる場合はメモしておくと、後から見比べやすくなります。

開所時間とシフトの組み方

開所時間の長さは、早番と遅番の幅に直結します。
延長保育や夜間の対応があるかどうかも、生活のリズムを左右します。
求人票に勤務時間帯の区分が書かれている場合は、そのまま比較の材料になります。

企業内や院内の施設では、勤務先の稼働に合わせて開所時間が設定されることがあります。
土日の扱いや、年末年始の対応がどうなるかも確認しておく項目です。

行事と持ち帰り業務の記載

行事の数や準備の負担は、求人票に明記されないことが多い項目です。
ただし「行事は縮小しています」「持ち帰り業務はありません」といった記載を掲げている求人もあり、書いてあるかどうか自体が判断材料になります。

労働時間への不満が転職理由の上位に入っていることを踏まえると、ここは確認の優先度が高い項目です。
書かれていない場合は、見学や面談で尋ねる質問として準備しておきます。

運営主体と系列の有無

求人票に運営法人の名称が書かれている場合は、その法人が他にどれだけ施設を運営しているかを調べられます。
系列の施設が複数ある法人では、異動の可能性がある一方、産休や育休からの復帰時に配属先の選択肢が残ることもあります。
単独の施設を運営する法人では、その施設の方針がそのまま働き方に反映されます。

どちらが良いという話ではなく、自分がどれだけの期間そこで働くつもりかによって重みが変わります。
数年で環境を変えるつもりなら影響は小さく、長く続けるつもりなら確認しておく価値が上がります。
法人名が書かれていない求人では、この確認は面談や見学の段階に回ります。

サービスの側での探し方

施設の種類を希望として先に整理する

登録の段階で希望する施設の種類が決まっていると、紹介される求人の精度が上がります。
認可を希望するのか、規模の小さい施設を希望するのか、開所時間の条件があるのか。
ここを整理しないまま登録すると、最初のやり取りが往復するだけで時間が過ぎます。

保育士資格に加えて幼稚園教諭免許も持っている場合は、認定こども園を候補に入れるかどうかもあわせて決めておくと、紹介される求人の幅が変わります。
無資格から入る場合の考え方は無資格から保育士になれる?で扱っています。

登録型で件数を見てから面談に進む

まず登録型のサービスで、自分の希望する地域と施設の種類で求人が何件あるかを見ます。
当サイトのデータでは、保育のせかい・保育求人ラボ・保育Aid・G-Path(ジーパス)エージェント・保育メトロ・保育専門求人サイトが全国を対象とする登録型で、会員登録の時点で求人を確認できます。

件数と条件の幅を把握したあとで、面談を伴うサービスに進むと、聞くべきことが具体的になります。
ほいく畑は北海道・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨・静岡・愛知・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・岡山・山口・福岡・佐賀の20都道府県を対象とする面談実施型です。
方式ごとの違いは保育士は面談なし・電話なしで転職サービスを使える?にまとめています。

対応地域を先に確認する

サービスによっては対応地域が限られています。
対象外の地域であれば、登録しても紹介できる求人がありません。
この確認は登録前に済ませられます。
地域ごとの事情は地方に保育士の求人はある?で扱っています。

施設の種類を条件に加えると、対象になる求人はさらに絞られます。
都市部では企業主導型や小規模保育の募集が一定数ある一方、地域によっては認可保育所が中心になることもあります。
種類と地域の両方で絞ると件数が急に減るため、どちらを優先するかを先に決めておくと検索が進みます。

まとめ

  • 転職経験のある保育士106人の調査では、転職理由の上位は人間関係・収入・労働時間
  • 認可と認可外は制度上の区分であり、同じ区分の中に条件の異なる施設が並ぶ
  • 企業内・企業主導型は定員が小さく、開所時間が勤務先の稼働に合わせて設定されることがある
  • 求人票では定員と職員体制・開所時間・行事の記載を確認し、書かれていない項目は質問に回す
  • 施設の種類を先に整理し、登録型で件数を見てから面談型に進む順序が噛み合う