管理部門の転職では、「管理部門の求人を見る」という単位で探し始めると、条件の比較ができないまま候補が増えていきます。
経理と人事と総務では、求人票に書かれる内容も、経験がどう評価されるかも違うためです。
ここでは職務ごとに求人票のどこを読むかを整理し、そのうえでサービスの使い分けまでつなげます。

職務が違えば求人の書かれ方も違う

転職理由は職務を問わずスキルアップが最多

MS-Japanが運営する「MS Agent」の登録者データ(2023年4〜9月)では、管理部門・士業の転職理由は「スキルアップ」が34.0%、「キャリアチェンジ」が33.8%で上位を占めています。
経理・財務、人事・総務、法務のいずれの職務でも「スキルアップ」が転職理由の最多で、それぞれ4割以上でした(出典: MS-Japan)。

動機の面では職務による差が小さいということです。
ただし**「何のスキルを伸ばすか」は職務ごとにまったく違う**ため、同じ動機でも探し方は分かれます。
経理でスキルアップと言えば担当する決算工程の話ですが、人事では担当する領域の話になります。

需給の状況は職務によって差がある

厚生労働省の令和6年9月分データでは、一般事務従事者の有効求人倍率は0.32倍、事務従事者全体の平均は0.42倍でした(出典: エン・ジャパン)。
一方、経理・財務、人事・総務、法務といった専門性の高い管理部門は売り手市場が続く見込みとされ、法務の平均年収は650万円で求人倍率がさらに上がる見込みと分析されています(出典: MS-Japan)。

つまり管理部門というくくりの中に、需給の異なる領域が並んでいます。
市場全体の整理は管理部門の転職市場はどう違う?にまとめています。

経理の求人はどこを読むか

担当する決算工程が書かれているかを確認する

経理の求人票では、日次の処理から月次決算、年次決算、開示、税務申告までのどの工程を任せるかが書かれていることが多くあります。
ここが具体的に書かれている求人ほど、入社後の業務範囲を事前に判断しやすくなります。

逆に「経理業務全般」とだけ書かれている場合、範囲は面談で確認するしかありません。
複数の求人を比較するときは、この工程の記載を箇条書きで抜き出して並べると差が見えます。
年収の額だけを並べても、任される範囲が違えば比較になりません。

募集の背景に人手不足がある場合を想定する

Sansan株式会社が経理担当者1000名を対象に行った調査(2024年3月18〜21日実施)では、人手不足を感じている割合は50.1%で、そのうち85.2%が「深刻」と回答しています。
要因は「新たな経理人材を採用できないため」が48.1%、「業務の自動化・システム導入が進んでおらず生産性が低いため」が32.1%でした(出典: Sansan株式会社)。

この2つが上位に来ているということは、募集の背景に「人が足りない」だけでなく「仕組みが整っていない」という事情が含まれる場合があるということです。
面談では、現在の担当人数と業務の分担、システムの導入状況を確認しておくと、入社後の負荷を見積もりやすくなります。

人事の求人はどこを読むか

採用・労務・制度のどれが中心かを見る

人事の求人票は「人事」とだけ書かれていても、実際には採用担当のみを指す場合と、労務や制度設計まで含む場合があります。
業務内容の欄を読み、どの領域が中心なのかを先に判断します。

領域によって、これまでの経験が評価される度合いが変わります。
採用が中心なら候補者対応や面接調整の経験が、労務が中心なら社会保険や勤怠管理の実務が対応します。
求人名ではなく業務内容の欄で職務を判定するという読み方が、人事の場合はとくに必要になります。

組織の規模と体制の記載を控えておく

同じ人事の求人でも、人事部が複数名いる企業と、管理部門が数名で兼務している企業では担当する範囲が変わります。
求人票に組織の人数や体制が書かれている場合は、その記載も一緒に控えておきます。

体制の記載がない求人については、面談で確認する項目として残しておきます。
未経験から人事を目指す場合の進め方は未経験から人事の仕事を始めるにはどうする?で扱っています。

人事は、採用計画や制度の見直しなど、事業側の方針と直結する業務を含みます。
そのため求人票の業務内容だけでなく、企業がいま何を進めようとしているかが書かれていれば、その部分も読んでおくと役割の想像がつきます。
募集の背景が書かれていない場合は、増員なのか欠員補充なのかを確認する項目として控えておきます。

総務・法務の求人はどこを読むか

総務は業務範囲の定義を確認する

総務は、契約や備品の管理、施設の運用、社内の問い合わせ対応、株主総会の事務など、扱う範囲が企業ごとに変わります。
求人票に列挙されている業務をそのまま控え、自分が経験している項目と照らし合わせるところから始めます。

範囲が広いぶん、他職種からの経験が接する部分も見つかりやすくなります。
ただし入社後に任される業務が想像と違う可能性も残るため、書かれていない業務があるかどうかを面談で確認しておくと差が縮まります。

法務は職務を絞ったサービスが存在する

法務は平均年収650万円で、求人倍率がさらに上がる見込みと分析されている領域です(出典: MS-Japan)。
専門性が明確なぶん、職務を絞った転職サービスが成り立ちやすい領域でもあります。

当サイトで整理しているデータでは、法務部特化型の転職・求人情報なら/BEET-AGENTがこれに当たります。
面談実施型で、東京・神奈川・埼玉・千葉に在住の20代〜40代が対象とされています。
対象条件があるため、応募の前に自分が該当するかを確認しておきます。

法務の求人票では、契約審査、知的財産、コンプライアンス、紛争対応といった業務のうちどれを担当するかが書かれていることがあります。
担当領域が明記されているほど、これまでの経験と照合しやすくなります。
記載がない場合は、扱う契約の種類と件数を確認する項目として残しておきます。

職務の違いをサービスの使い分けに落とす

職務を横断して探せるサービス

複数の管理系職務を経験してきた場合や、どの職務で探すかを決めきれていない場合は、職務を横断して求人を見られるサービスから始めるほうが比較しやすくなります。
当サイトで整理している管理部門向けのサービスは10件で、うち2件は求人を出す企業側を対象としたものです。
求職者が使う8件のうち、会員登録から始まる登録型はMS-JapanとBEET-AGENTの2件で、どちらも対応地域は全国です。

登録型であれば、経理と人事の求人を並べて要件を比べるという使い方ができます。
工程や領域の記載を抜き出す作業も、この段階で進められます。
面談を伴わない使い方は管理部門は登録だけで転職できる?にまとめています。

職務が決まっている場合は面談実施型も選択肢になる

探す職務が決まっている場合は、面談実施型のほうが求人票に書かれていない部分を確認しやすくなります。
面談実施型は5件で、WARC AGENT、ユメキャリ就職エージェント、ユメキャリ転職エージェント、大手企業人事が転職をサポート/ユメキャリ転職エージェント、法務部特化型の転職・求人情報なら/BEET-AGENTが該当します。

ユメキャリの3件は対応地域が全国です。
WARC AGENTは希望勤務地が東京・神奈川・埼玉・千葉・兵庫・大阪・京都・愛知の場合が対象とされています。
無料相談の申込から始まる申込型としてはCORPOがあり、対応地域は全国です。
職務が決まっているほど、面談で確認すべき項目も具体的に用意できます。

まとめ

  • 経理・財務、人事・総務、法務はいずれも転職理由の最多がスキルアップで、各4割以上
  • 経理は決算工程、人事は担当領域、総務は業務範囲という形で、求人票の読む場所が違う
  • 法務は平均年収650万円で、職務を絞ったサービスが存在する領域
  • 職務が決まっていない段階は登録型で横断的に比較し、決まってから面談実施型に移す