保育士が転職するとき、辞める理由ははっきりしているのに、志望動機の欄が埋まらないことがあります。
理由をそのまま書くと不満の羅列になり、当たり障りのない言葉に置き換えると誰の文章か分からなくなる、という板挟みです。
この記事は、応募書類に書く転職理由と志望動機の文章の作り方を扱います。
園の種類そのものの違いは認可外・企業内保育園はどう違う?に、保育以外の分野へ移る判断は保育士から異業種に移れる?にまとめています。
ここでは、保育の中で職場を変える場合を中心に整理します。
載せている例文は型を示すためのものです。
実際に担当したクラスや行事に置き換えて使ってください。
転職理由の上位3つは、そのままでは書けない
人間関係・収入・労働時間が並ぶ
転職経験のある保育士106人へのアンケートでは、転職理由の1位は「人間関係の悩み」で32人、2位は「収入アップのため」で29人、3位は「労働時間への不満」で28人でした(株式会社ビズヒッツ調査、n=106、2022年1月13〜29日実施。
出典)。
上位3つはいずれも、いまの園で起きていることです。
書類の志望動機は、次の園で何をするかを聞いています。
そのままの言葉で書くと、質問と答えがずれます。
変換の方向は「次に何をしたいか」
やることは単純で、理由の1つずつに「だから次はこうしたい」を足します。
人間関係であれば、どういう関わり方をしたいのか。
労働時間であれば、その時間で何に集中したいのか。
足した後半の文だけを書類に載せます。
| いまの理由 | 書類に載せる形 |
|---|---|
| 職員同士の関係がつらい | 保育の方針を職員間で共有できる環境で働きたい |
| 収入が上がらない | 経験を積み上げて長く続けられる園を探している |
| 持ち帰りの作業が多い | 子どもと関わる時間に集中できる体制の園で働きたい |
| 保育の方針が合わない | 自分が大切にしたい関わり方と方針が近い園を選びたい |
嘘を書くという話ではありません。
事実は変えず、書く範囲を後半に寄せるだけです。
面接で理由を詳しく聞かれた場合は、前半の事実も落ち着いて話せます。
答え方の型は転職面接の準備にまとめています。
理由は1つに絞る
3つとも書くと、何が中心なのか分からなくなります。
最も大きい理由を1つ選び、それだけを書きます。
残りは面接で聞かれたときに補足する材料として持っておきます。
前の園を特定できる書き方をしない
保育の職場は地域ごとのつながりが強く、園同士で担当者が顔見知りということもあります。
前の園の内情を細かく書くと、応募先にとっては扱いにくい情報になります。
書くのは自分が担当した業務と、そこで考えたことに限ります。
人物や園の運営についての評価は書類に入れません。
転職活動を進めていること自体を今の園に知られたくない場合も、この線引きが役に立ちます。
園の種類で読まれる点が変わる
認可保育所はチームで動く前提
認可保育所は定員が大きく、クラス担任と補助が組んで一日を回します。
行事も学年をまたいで準備します。
そのため、複数人で保育を組み立てた経験が読まれます。
書く材料は、担当したクラスの年齢と人数、複数担任での役割分担、行事で担当した範囲です。
指導計画や日誌の作成経験も、そのまま材料になります。
小規模保育は一人あたりの関わりが濃い
小規模保育は定員が少なく、0〜2歳児を対象とすることが中心です。
職員の人数も少ないため、一人が受け持つ子どもの数は減る一方、保護者との距離は近くなります。
志望動機には、乳児保育の経験、個別の記録をどう書いていたか、保護者への伝え方を入れます。
「一人ひとりをじっくり見たい」という希望は、この形態では動機として噛み合います。
企業主導型・院内保育は勤務の形が読まれる
企業主導型保育や院内保育は、利用する保護者の勤務時間に合わせて開所時間が決まります。
早朝や夜間、休日の勤務が含まれることもあります。
ここで読まれるのは、その勤務の形に対応できるかです。
志望動機に、勤務可能な時間帯を具体的に書きます。
「柔軟に対応します」ではなく、曜日と時間で書くほうが確実です。
認定こども園は教育と保育の両方が入る
認定こども園では、保育を必要とする子どもと、そうでない子どもが同じ施設で過ごします。
教育に関わる時間と、長時間の保育が同じ日の中に並びます。
保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を持っている場合は、その点を先に書きます。
片方のみの場合は、応募要件にどう書かれているかを確認してから書きます。
雇用形態で書き分ける
パート・非常勤は「入れる時間」が動機の一部になる
パートや非常勤の募集では、シフトの穴を埋められるかどうかが選考の実質的な論点になります。
そのため、勤務できる曜日・時間・開始できる時期を書くこと自体が、志望動機の一部として機能します。
例文の型(パート・小規模保育)
「〇〇保育園で〇年間、1歳児クラスの担任を務めていました。現在は子どもの就学に合わせて勤務時間を調整しており、月曜から金曜の9時から15時で勤務が可能です。乳児の保育に継続して関わりたいと考えており、少人数で一人ひとりの様子を丁寧に見られる小規模保育を志望しました。」
時間の条件を隠して応募すると、入職後に調整がつかなくなります。
制約は先に書くほうが、結果として話が早く進みます。
正職員はクラス運営と行事の経験を前へ
正職員の募集では、担任として一年を回した経験が中心の材料になります。
担当した年齢、クラスの人数、行事で担当した役割、後輩や実習生の指導経験を並べます。
例文の型(認可保育所から認可保育所へ)
「前職では〇歳児クラスの担任として〇名を担当し、運動会と発表会では〇〇の進行を任されていました。年間の指導計画を立てる中で、行事の準備に時間を取られ、日々の遊びの充実に手が回らないと感じる場面がありました。貴園は〇〇を大切にされていると伺い、日常の保育に時間を使える環境で経験を活かしたいと考えています。」
ブランクがある場合は期間と現在の状況を書く
保育から離れていた期間がある場合、期間を隠さずに書きます。
そのうえで、いま働ける状況にあることを1文で示します。
復帰の際に何を確認するかはブランクから保育士に復帰できる?にまとめています。
書き始める前に材料を数える
担当したクラスと人数を書き出す
志望動機を書く前に、担当したクラスの年齢、人数、複数担任か単独かを年度ごとに並べます。
数えた形で残っている情報は、そのまま書類の材料になります。
乳児と幼児の両方を担当した経験があれば、それも分けて書きます。
行事と保護者対応で担った範囲を残す
行事は、企画・準備・進行・記録のどこを担当したかで書ける内容が変わります。
運動会や発表会で任された役割を、行事名と一緒に書き出します。
保護者会での説明、個人面談、連絡帳の運用など、保護者に関わる業務も同じように並べます。
こうした材料が手元にあると、園ごとに志望動機を書き分けるときに、選ぶだけで済みます。
応募のたびにゼロから考える状態を避けられます。
園の名前を入れた文章にする
保育理念を1つ引く
応募先のホームページや求人票には、保育理念や大切にしている方針が書かれています。
そのうち1つを選び、自分の経験と結びつけて書きます。
引用するだけでは足りず、自分の経験との接点が要ります。
たとえば「異年齢の関わりを大切にする」と書かれていれば、前職で異年齢の交流を行った場面を1つ挙げます。
接点が見つからない場合は、その園が自分に合っているかを考え直す材料になります。
見学に行ったら、その事実を書く
見学が可能な園であれば、見た場面を1つ書きます。
子どもの過ごし方、職員の声のかけ方、園庭の使い方など、実際に見たものであれば何でも構いません。
見学したという事実そのものが、準備の量を示します。
求人票の言葉を確認する
定員、職員体制、開所時間、行事の記載は、園ごとに書き方が違います。
読み方は求人票のどこを読むかにまとめています。
書類に入れる情報も、ここから拾えます。
提出する前の確認
履歴書と職務経歴書で書き分ける
履歴書の志望動機欄は文字数が限られるため、結論と応募先に関する1文を優先します。
職務経歴書では、担当したクラスや行事を具体的に書けます。
どちらに何を書くかは履歴書と職務経歴書の違いとは?を参照してください。
保育以外の道を検討している場合
学童や教育分野を含めて考えている場合は、志望動機の組み立て自体が変わります。
対象年齢や求められる資格が異なるためです。
保育士以外の道はある?で扱っています。
まとめ
- 転職理由の上位は人間関係32人・収入29人・労働時間28人で、いずれもそのままでは書けない
- 理由に「だから次はこうしたい」を足し、後半だけを書類に載せる
- 理由は1つに絞る。
残りは面接で補足する材料として持っておく - 認可はチームでの動き、小規模は個別の関わり、企業主導型・院内は勤務の形が読まれる
- パート・非常勤は勤務できる曜日と時間を具体的に書くことが動機の一部になる
- 保育理念を1つ引き、自分の経験との接点を書くと、その園に向けた文章になる



