内定が出たあと、辞退すると決めたところで手が止まることがあります。
選考に時間を使ってもらった相手に、どう切り出せばよいのか。
電話なのかメールなのか。
理由をどこまで話すべきなのか。
ここでは、内定を辞退するときの連絡の手順を整理します。
複数の内定をどう比べて決めるかは複数の内定が出たときの比較軸で扱っており、この記事は決めた後の連絡そのものに絞ります。
なお、内定の法的な位置づけは、応募先とのやり取りの内容や個別の事情によって変わります。
この記事では法解釈には踏み込まず、判断に迷う場合の相談先を最後に示します。
連絡は早いほど双方の選択肢が残る
決めた時点で連絡する
辞退すると決めたなら、その日のうちに連絡します。
数日置いても状況は良くなりませんし、言いにくさは時間とともに増えます。
企業側にとっては、採用の計画を組み直す時間が残るかどうかの問題になります。
連絡が遅れるほど、次の候補者に声をかける余地が狭まります。
早く伝えることは、相手にとっての実利でもあります。
期限内に決められないときは延長を相談する
まだ決めきれていない段階では、無理に辞退の連絡をする必要はありません。
ただし、回答の期限を無断で過ぎさせるのは避けます。
他社の選考結果を待っている、家族と相談している、といった事情がある場合は、いつまで待ってほしいのかを日付で示して相談します。
「もう少し時間をください」ではなく「◯月◯日までお時間をいただけますか」と伝えると、相手も判断できます。
延長が認められるかどうかは相手の事情によりますが、連絡しないまま期限を過ぎる進め方よりは選択肢が残ります。
迷いの整理は連絡の前に済ませる
連絡する段階では、判断は終わっている必要があります。
迷ったまま電話をかけると、相手の反応に引きずられて結論が動き、後からもう一度連絡することになります。
何を優先して決めたのかを一行でよいので書き出してから連絡します。
比較の項目をどう立てるかは複数の内定が出たときの比較軸にまとめています。
判断を終えてから連絡するという順序を守るだけで、やり取りが1回で終わります。
連絡の手段と順番
電話を基本にし、メールを併用する
採用の担当者と電話でやり取りしてきた場合は、電話で伝えるのが基本の形になります。
文面だけのやり取りより、行き違いが起きにくいためです。
そのうえで、通話の後にメールを送っておくと記録が残ります。
誰にいつ何を伝えたかが双方に残る形にしておくと、後から確認が必要になったときに困りません。
メールだけで済ませてよい場合
応募から連絡までのやり取りがすべてメールで行われてきた場合や、電話の窓口が案内されていない場合は、メールでの連絡で問題ありません。
手段は、それまでのやり取りに合わせるのが自然です。
電話をかけたがつながらなかった場合も、メールに切り替えます。
つながるまで待つより、記録の残る形で早く伝えるほうが相手の役に立ちます。
折り返しが不要であればその旨も書き添えます。
転職サービスを介している場合
転職サービスの紹介で応募した場合、企業へ直接連絡する前に、担当者に伝えるのが一般的な流れです。
企業とのやり取りを担当者が仲介しているためで、二重に連絡が入ると調整が混乱します。
担当者から企業へ伝わる形になるのか、自分からも連絡すべきかは、担当者に確認します。
複数のサービスを併用している場合の連絡の整理は転職エージェントは何社まで併用してよいかで扱っています。
連絡する時間帯
電話は、始業直後と終業間際を避けると出てもらいやすくなります。
相手の業種によって忙しい時間帯は違うため、これまでのやり取りで連絡が来た時間帯を目安にします。
メールであれば時間帯を選びません。
ただし、深夜に送ると翌朝まで気づかれないため、翌営業日に読まれる前提で内容を書きます。
何を伝え、何を伝えないか
伝えるのは結論と感謝
伝える内容は、辞退するという結論、選考に時間を割いてもらったことへの感謝、この2つで足ります。
長く話すほど、相手が確認したい点が増えます。
前置きから入ると結論が伝わるまでに時間がかかります。
最初に辞退の意思を述べてから、経緯を短く添える順序にします。
理由は詳細に説明しなくてよい
辞退の理由を細かく説明する義務はありません。
「検討した結果、他社への入社を決めました」「自分の希望と照らして判断しました」といった範囲で足ります。
理由を詳しく述べると、その内容に対する反論や再提案が返ってくることがあります。
話を短く終えたい場合ほど、理由は簡潔にします。
ただし、聞かれた範囲で答えるのは失礼にはあたりません。
他社名や条件の比較は持ち出さない
他社の社名や、提示された条件を並べて説明するのは避けます。
相手にとっては、比べられた結果を聞かされる形になります。
条件を持ち出すと、条件面での再提示という形で話が続くこともあります。
決定として伝えるなら、比較の中身は出さないほうが短く終わります。
引き止めや再提示が返ってきたとき
辞退を伝えた後に、条件の見直しやもう一度考えてほしいという申し出が返ってくることがあります。
決定が変わらないのであれば、その場で結論を繰り返します。
「ありがたいお話ですが、決めた気持ちに変わりはありません」と述べ、相手の言い分を否定しないまま結論だけを維持します。
逆に、提示された内容を検討する余地があるなら、その場で答えず期日を切って持ち帰ります。
この考え方は退職はどう伝える?で扱っている引き止めへの対応と同じです。
そのまま使える文面の型
基本の形
件名は、用件が一目で分かる形にします。
「選考結果に関するご連絡」のような曖昧な件名だと、開封の優先度が下がります。
本文は6つのまとまりに分けると、迷わずに書けます。
| まとまり | 文例 |
|---|---|
| 件名 | 内定辞退のご連絡(氏名) |
| 宛名 | 株式会社◯◯ 人事部 ◯◯様 |
| 名乗り | お世話になっております。◯月◯日に内定のご連絡をいただきました、◯◯と申します。 |
| 用件 | このたびは内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。大変申し訳ございませんが、慎重に検討いたしました結果、内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。 |
| 御礼 | 貴重なお時間を割いて選考の機会をいただきましたことに、心より御礼申し上げます。 |
| 結びと署名 | 本来であれば直接お伺いすべきところ、メールでのご連絡となりますことをお詫び申し上げます。末尾に氏名・電話番号・メールアドレスを記載する |
用件のまとまりを2文目に置くのが要点です。
前置きを重ねてから結論に入る書き方だと、読む側は最後まで読まないと用件が分かりません。
電話がつながらなかった場合
電話を試みたことを本文に書いておくと、行き違いが起きません。
折り返しの要否も明記します。
名乗りの後に「本日◯時頃にお電話を差し上げましたが、ご不在のようでしたのでメールにて失礼いたします」を加え、結びに「お忙しいところ恐れ入りますが、折り返しのご連絡には及びません」を添えます。
残りの部分は基本の形と同じで構いません。
転職サービスの担当者へ
担当者宛の連絡では、どの企業の話かを先に特定します。
複数の案件を並行して扱っているためです。
| まとまり | 文例 |
|---|---|
| 件名 | ◯◯株式会社の内定辞退について(氏名) |
| 用件 | ご紹介いただいた◯◯株式会社について、検討の結果、内定を辞退したいと考えております。 |
| 確認 | 企業様へのご連絡について、私から直接行うべきか、◯◯様からお伝えいただく形になるかをご教示ください。 |
| 結び | ご調整いただいたにもかかわらず申し訳ございません。引き続きよろしくお願いいたします。 |
企業への連絡を担当者が行う場合でも、自分で伝えるべき内容があるかは確認しておきます。
どちらが連絡するのかを決めないまま置くと、連絡が届かないまま日数が過ぎます。
承諾の返事をした後に辞退する場合
一度承諾の意思を伝えた後で辞退する場合は、通常より早く連絡します。
相手が採用の手続きを進めている段階にあたるためです。
文面は基本の形と同じで構いませんが、承諾した後であることに触れて詫びる一文を加えます。
この場面の取り扱いは、交わした書面の内容や個別の事情によって変わります。
書面を交わしている場合はその内容を確認し、判断に迷うときは都道府県労働局の総合労働相談コーナーなど公的な窓口で相談してください。
連絡した後にやること
提出した書類と貸与された物を確認する
履歴書や職務経歴書を提出している場合、返却か破棄かの扱いは企業によって違います。
連絡の際に確認しておくと、後からやり取りが発生しません。
選考の過程で貸与された物や、送付された書類がある場合は、返送の要否を聞きます。
返す物と受け取る物を一度に確認すると、連絡が1回で済みます。
他社の日程を詰め直す
1社の辞退が決まると、他社の日程に余裕が生まれるか、逆に集中させる必要が出てきます。
辞退の連絡を終えたら、残っている選考の日程を並べ直します。
在職中であれば、面接に使える時間は限られます。
時間の作り方は在職中の転職活動はどう進める?にまとめています。
記録を残しておく
いつ、どの会社に、どういう理由で辞退を伝えたかを一行で残しておきます。
同じ業界で活動を続ける場合、後から経緯を確認する場面が出てきます。
将来、同じ企業に再び応募する可能性もあります。
辞退の連絡を丁寧に済ませておくことは、そのときの前提にもなります。
応募の履歴を経路と日付で残しておく方法はスカウト型の転職サービスとは?でも触れています。
まとめ
- 辞退は決めた時点で連絡する。
遅れるほど相手の採用計画を組み直す余地が狭まる - 期限内に決められないときは、無断で過ぎさせず日付を示して延長を相談する
- 手段はそれまでのやり取りに合わせる。
電話でのやり取りが中心なら電話、つながらなければメール - 転職サービス経由の応募は、企業へ直接連絡する前に担当者に伝える
- 伝えるのは結論と感謝の2つ。
理由は詳細に説明しなくてよい - 他社名や条件の比較は持ち出さない。
再提示が返ってきても結論だけを短く繰り返す - 承諾の返事をした後の辞退は通常より早く連絡し、交わした書面の内容を確認する
- 判断に迷う場合は、労働局の総合労働相談コーナーなど公的な窓口で相談できる



