臨床経験を重ねたあと、専門性を証明する資格として認定看護師や専門看護師を検討する人がいます。
取得には学習期間も費用もかかるため、転職や処遇にどう影響するのかを知ってから始めたいと考えるのは自然なことです。
ただし、この問いに数字で答えられる材料は限られています。
ここでは、確認できていないことを確認できていないと示したうえで、代わりに何を見れば判断できるのかを整理します。

資格の評価について、出典のある調査は確認できていない

「取れば有利になる」と断定できる根拠が見つからない

当サイトで調べた範囲では、認定看護師・専門看護師の資格が採用や処遇の場面でどう評価されるかを示す、出典の確認できる調査データは見つかっていません。
取得者の年収差や求人数を示した数字を掲げる記事は存在しますが、調査の実施主体や対象人数が明示されていないものが多く、根拠として使える状態ではありませんでした。

そのため、この記事では「資格を取れば転職に有利」「資格は転職には関係ない」のどちらの立場も取りません。
根拠のない数字を並べるより、自分で確かめられる方法を示すほうが判断の役に立つと考えています。

制度の詳細は公式の案内で確認する

認定看護師・専門看護師は、日本看護協会が運営する認定制度です。
対象となる分野、受験や登録の要件、教育課程の内容、更新の扱いは制度として定められており、改定されることもあります。
当サイトでは制度の細部を要約せず、日本看護協会の公式の案内で直接確認することを勧めます。
要件は個人の経歴によって当てはまり方が変わるため、二次的なまとめより一次の資料を見るほうが確実です。

自分で確かめられること

求人票の必須要件と歓迎要件を数える

求人票の応募要件は、多くの場合「必須」と「歓迎」に分かれています。
資格名がどちらに書かれているかで、その施設における位置づけが分かります。
必須要件に入っていれば選考に進む条件ですが、歓迎要件であれば加点材料という扱いです。

自分が希望する地域と分野で求人を20件ほど集め、資格名が必須要件に何件、歓迎要件に何件、まったく記載がないものが何件あるかを数えてみます。
この作業で得られる数字は、どこかの記事に書かれた一般論より、自分にとって正確な判断材料になります。
分野と地域によって結果が変わるため、一般的な条件ではなく自分の希望条件で行います。

資格手当と処遇の記載を確認する

募集要項の待遇欄に、特定の資格に対する手当が記載されている場合があります。
金額まで明記されていれば、その施設がその資格をどう位置づけているかが直接読み取れます。
記載がない施設も多いため、あるかないかを含めて確認する価値があります。

手当の有無や金額は施設ごとに違うため、「業界としてこう」とまとめることはできません。
応募を検討している施設について個別に見るという前提で確認します。

面談型のサービスで扱いを直接聞く

面談を伴うサービスであれば、担当者に「この分野の求人で、この資格が要件に入っていることはあるか」と直接尋ねられます。
求人を日常的に扱っている相手から得られる回答は、一般論より具体的です。

当サイトのデータでは、MCナースネットが全国対応の面談実施型、クリアス看護が北海道・愛知・大阪・福岡を対応地域とする面談実施型です。
クリアス看護は48歳以下を対象としており、対象資格は正看護師・准看護師・保健師・助産師のいずれかです。
面談型は時間の確保が必要になる一方、求人票に書かれていない扱われ方を聞ける点が利点になります。
面談を伴わない形式との違いは看護師は面談なし・電話少なめで転職サービスを使える?にまとめています。

取得の前後で働き方の制約が変わる

在職中に学ぶ場合の勤務調整

教育課程に通う期間は、勤務との両立が課題になります。
夜勤を含むシフトのまま通学の時間を確保できるか、施設として就学の支援制度があるかで、進めやすさが変わります。
支援制度の有無は施設ごとに違うため、在籍中の職場と、転職先の候補の両方で確認する対象になります。

勤務の調整が難しい場合、先に勤務時間の条件を変えるという選択肢もあります。
夜勤の条件を変える場合の見方は夜勤なしで働ける看護師の転職先はどこかにまとめています。

取得後に活かせる場は勤務先によって変わる

資格を取得しても、その専門性を用いる業務が配置される勤務先でなければ、実務として活かす機会は限られます。
病床数や診療体制によって、専門的な役割を置いているかどうかが変わるためです。
取得を目指す段階で、その分野の役割が置かれている勤務先はどこかを求人から確認しておくと、取得後の進路が具体的になります。

取得と転職の順序をどう決めるか

先に環境を整えるという考え方

学習の時間を確保できない環境のまま取得を目指すと、途中で止まりやすくなります。
就学の支援制度がある職場や、勤務時間の調整がしやすい職場へ先に移るという順序も選択肢になります。
逆に、現職に支援制度があるなら、取得を終えてから動くほうが負担は小さくなります。

どちらが良いかは、いまの職場に支援制度があるかどうかで変わります。
まず現職の制度を確認し、その結果によって順序を決めるという進め方が現実的です。
在職しながら進める場合の注意点は在職中の転職活動はどう進める?にまとめています。

資格を唯一の目的にしない

前述のとおり、転職での評価については確認できる根拠がありません。
評価されるかどうかが不確かな目的を、学習の唯一の理由に置かないほうが安全です。
担当したい患者層や関わりたい医療の場面といった、資格の有無にかかわらず残る目的を一つ持っておくと、途中で優先度が下がりにくくなります。

経歴には実務での関わりを並べて書く

書類に資格名だけを書くより、その分野で実際にどのような症例に関わったかを並べて書くほうが、読み手に伝わる情報量は増えます。
資格そのものの評価に依存しない材料が手元に残ります。
書き方は職務経歴書はいつ作ればよいかを参考にしてください。

まとめ

  • 認定看護師・専門看護師の資格が転職でどう評価されるかを示す、出典の確認できる調査は見つかっていない
  • 制度の要件や対象分野は改定されるため、日本看護協会の公式の案内で直接確認する
  • 推測するより、自分の希望条件で求人を20件集め、必須要件・歓迎要件・資格手当の記載を数える
  • 教育課程は勤務との両立が課題になるため、現職の支援制度を確認してから取得と転職の順序を決める
  • 資格は専門性を積み上げる手段として使い、評価されるかどうかを唯一の目的にしない