書類に書く志望動機と、面接でその場で答える内容は、準備の仕方が違います。
書類は時間をかけて書き直せますが、面接は答えたあとに深掘りされます。
この記事が扱うのは後者、口頭で聞かれたときの答え方です。
書類として書く志望動機・転職理由の組み立て方は看護師の志望動機はどう書く?にまとめており、この2つは対になります。

職種を問わない面接の型は転職面接の準備で扱っています。
ここでは、看護師の面接で実際に出てくる、臨床と勤務条件に関する質問に絞ります。

看護師の面接で職種特有の質問が出る理由

免許は共通の前提で、確認されるのは経験の中身

看護師免許を持っていることは、応募した時点で確認が済んでいます。
そのため面接で使われる時間の大半は、資格ではなく経験の中身に向きます。

どの診療科で、どの規模の施設で、どんな処置を、どのくらいの期間担当してきたか。
この4点が、その施設の業務と噛み合うかどうかを見られます。
同じ「病棟経験5年」でも、扱ってきた疾患と処置が違えば別の経歴として扱われます。

勤務条件に対応できるかが選考の一部になる

看護師の転職理由としては、結婚・出産・育児・介護といったライフイベント、職場の人間関係、体力面の負担が多く挙げられています(出典: ウェルミーマガジン)。

採用する側もこの傾向を把握しています。
そのため、夜勤の回数やオンコールの担当、休日の取り方といった条件面の質問が、業務内容の質問と同じ比重で出てきます。
条件を確認する質問は、ふるいにかけるためというより、入職後に想定が食い違わないようにするためのものです。

転職回数そのものは珍しい経歴ではない

日本看護協会の2021年調査では、転職経験のある看護師の転職回数は平均2回で、1回が最も多く25.4%を占めています(出典: カケハシ スカイソリューションズ)。

回数を聞かれたとき、それ自体を責められていると受け取る必要はありません。
見られているのは回数ではなく、動いた理由に一貫性があるかどうかです。
理由がその都度ばらばらだと、次も同じことが起きると受け取られます。

準備は求人票から逆算する

経験を診療科・処置・規模の3つで書き出す

準備の最初にやることは、答えを考えることではなく材料を並べることです。
担当した診療科、経験した処置と検査、施設の病床数や1日の受け持ち人数を、箇条書きで書き出します。

この作業で書けなかった項目が、そのまま準備の抜けになります。
書き出した内容は職務経歴書の材料にもなるため、二度手間になりません。
書類側の作り方は職務経歴書はいつ作ればよいかにまとめています。

必須要件をそのまま質問の形に置き換える

求人票の必須要件は、面接の質問とほぼ同じ内容になります。
「急性期病棟での経験3年以上」と書かれていれば、急性期で何を担当していたかを聞かれます。
「オンコール対応可能な方」とあれば、対応できる条件を聞かれます。

必須要件を上から順に疑問文へ書き換えるだけで、想定質問の一覧ができます。
必須要件と歓迎要件の読み分けは求人票のどこを読むかを参考にしてください。

答えは1問30〜60秒に収める

面接の答えは、長さで熱意を示すものではありません。
1問あたり30〜60秒に収め、続きは質問されてから話す形にすると、やり取りが噛み合います。

組み立ては、状況・自分の役割・工夫した点・結果の4点で足ります。
この型は職種を問わず使えるもので、転職面接の準備で詳しく扱っています。

よく聞かれる質問と、質問の意図

質問の裏側にある確認事項を先に把握する

同じ質問でも、何を確認したくて聞いているかが分かると、答える方向がぶれません。
看護師の面接で出やすい質問と、その意図を並べます。

質問 確認されていること 答えの軸
なぜこの診療科なのか 業務内容を理解して選んでいるか 経験と、次に積み上げたいことの接続
これまで経験した処置は 入職後どこから任せられるか 担当した範囲と、経験のない処置の区別
離職期間は何をしていたか 復帰後に続けられる状況か 事実を短く、現在の状況とあわせて
夜勤・オンコールは可能か 勤務体制に組み込めるか 対応できる条件を具体的に
人間関係で困ったときは 事業所内での動き方 相談した相手と、取った手順
転職回数の理由は 動機に一貫性があるか 毎回の理由を1本の線でつなぐ

答えの軸を先に決めておくと、聞き方が変わっても対応できます。
想定質問を丸暗記するより、この軸を持つほうが実際の面接では役に立ちます。

経験していない処置は経験していないと答える

処置の経験を聞かれたとき、経験が薄い項目を曖昧に答えると、入職後の配置で食い違いが起きます。
担当したことがない処置は、その旨を伝えたうえで、関連する経験があれば添えます。

たとえば人工呼吸器の管理経験がない場合、呼吸状態の観察や吸引でどこまで担当していたかを説明します。
できることとできないことの線引きが明確な人のほうが、教育の計画を立てやすいと見られます。

離職期間の説明は事実を短く

出産や育児、介護、体調の事情で臨床を離れていた期間は、事実として短く説明します。
理由を長く説明する必要も、伏せる必要もありません。

離職期間と採用のしやすさの関係については、出典の確認できる調査データを当サイトでは見つけられていません。
この点はブランクがあっても看護師に戻れる?で整理しています。
一般論を気にするより、いま働ける時間帯と体制を具体的に答えるほうが、面接では材料になります。

夜勤の可否は条件つきで答えてよい

夜勤やオンコールについては、可能か不可能かの二択で答える必要はありません。
回数の上限、対応できる曜日、家族の状況による制約を、条件として伝える形で構いません。

条件を伝えないまま入職すると、シフトの組み方で無理が生じます。
夜勤を外すこと自体を目的にしている場合の探し方は夜勤なしで働ける看護師の転職先はどこかにまとめています。

施設の形態で想定される質問が入れ替わる

病棟は受け持ち人数と急変時の動きを聞かれる

病棟の面接では、1人あたりの受け持ち人数、日勤と夜勤の体制、急変時にどう動いたかが聞かれます。
チームの中でどの役割を担っていたか、リーダー業務の経験があるかも確認されます。

答えるときは、施設の規模を数字で添えます。
病床数と1日の受け持ち人数が分かると、経験の中身が相手に伝わります。

クリニックは診療の介助以外の業務を聞かれる

クリニックは在籍する職員数が少なく、一人が担当する業務の範囲が広くなる傾向があります。
そのため、受付や電話対応、器材の管理、在庫の発注といった業務に抵抗がないかを確認する質問が出ます。

診療科が絞られる分、扱う処置の種類は限定されます。
その診療科の経験があるかどうかが、質問の中心になりやすい形です。
病棟との違いはクリニック・訪問看護への転職で気をつけることで整理しています。

訪問看護は単独での判断と家族対応を聞かれる

訪問看護は利用者の生活の場に出向くため、その場に同僚がいない状態で対応します。
判断に迷ったときにどう連絡を取ったか、家族とのやり取りで気をつけていたことが聞かれます。

あわせて、移動の手段と担当エリアに関する質問が出ます。
自動車の運転が必要な事業所では、免許の有無と運転経験が実務条件として確認されます。

企業や施設内の看護は目的の説明を求められる

企業の健康管理室や介護施設内の看護では、病棟とは業務の目的が変わります。
治療の場ではないため、働く人や利用者の状態をどう保つかという視点で質問されます。

勤務時間の希望が動機になること自体は自然ですが、それだけでは説明が薄くなります。
病棟での経験のどこをつなげたいかを1つ用意しておくと、話の組み立てが安定します。
企業看護の実情は病棟から企業看護師になれる?にまとめています。

面接は確認する場でもある

こちらから聞く項目を3つ決めておく

面接の最後に質問の時間が設けられることがあります。
ここで聞く内容を決めておくと、求人票では分からない部分を埋められます。

聞く価値が高いのは、募集の背景が増員か欠員か、入職直後に担当する業務の範囲、教育や同行訪問の期間の3点です。
条件面だけに質問が偏ると、業務への関心が薄いという印象になりやすいため、業務理解につながる項目を先に置きます。

条件は求人票・面接・書面の3段階で突き合わせる

給与や勤務時間の条件は、求人票の記載、面接での説明、内定後に示される書面の3段階で確認します。
求人票は募集の条件であり、契約の内容が確定するのは書面です。

3段階のどこかでずれが出た場合、その場で確認しておけば入職後の食い違いを防げます。
確認する項目は労働条件通知書の確認ポイントにまとめています。

準備の材料はサービスの型によって変わる

想定質問を作るには求人票が要り、選考の進み方を知るには人に聞くほうが早くなります。
この2つは、利用の始まり方が違うサービスで分かれています。

会員登録型は求人票から質問を作れる

当サイトのデータでは、レバウェル看護・ナースではたらこ・リニューケア・ジストリー・ナースJJがいずれも全国対応の登録型です。
会員登録を済ませた段階で求人を確認できるため、必須要件を読んで想定質問を作る作業にそのまま使えます。

希望する地域と施設の形態で10件ほど集めると、必須要件に並ぶ項目の傾向が見えてきます。
登録だけで進める使い方は看護師は面談なし・電話少なめで転職サービスを使える?で扱っています。

面談実施型は選考の進み方を聞ける

求人票からは、面接が何回あるか、面接官が誰かといった選考の形は読み取れません。
当サイトのデータでは、MCナースネットが全国対応の面談実施型、クリアス看護が北海道・愛知・大阪・福岡を対応地域とする面談実施型です。

求人を日常的に扱っている相手であれば、施設ごとの選考の進み方を尋ねる相手になります。
なおクリアス看護は48歳以下を対象としており、対象条件は登録前に確認しておくと無駄がありません。

申込型は連絡が先に始まる

ナース専科 転職やジョブサポ看護師は申込型で、申し込み後に運営側からの連絡が発生します。
自分で求人を探す前に話を聞きたい場合には合いますが、連絡の時間帯を先に指定しておくほうが進めやすくなります。

登録後の連絡がどう来るかは転職サービスに登録すると電話は来る?で扱っています。
オンラインでの面談や面接に慣れておきたい場合はオンライン面談の準備もあわせて確認してください。

まとめ

  • 面接で確認されるのは免許の有無ではなく、診療科・処置・規模で表される経験の中身
  • 勤務条件の質問は、ふるいにかけるためではなく入職後の想定を合わせるために出る
  • 想定質問は、求人票の必須要件を疑問文に置き換えると一覧が作れる
  • 経験のない処置は、経験がないと答えたうえで関連する経験を添える
  • 病棟・クリニック・訪問看護・企業では、質問の中身そのものが入れ替わる
  • 求人票から質問を作るなら登録型、選考の進み方を聞くなら面談実施型と使い分ける