看護師の求人を検索すると、「夜勤なし」と「夜勤専従」が同じ検索結果に並ぶことがあります。
どちらにも夜勤という語が入っているため混ざりやすいのですが、指している働き方は正反対です。
夜勤専従は、夜勤だけを担当する勤務の形を指します。
勤務日数を抑えながら収入を確保したい場合や、日中の時間をまとまって使いたい場合に選ばれることがあります。
ここでは、この働き方で何が変わるのか、法令上どう扱われるのか、求人をどう見るのかを整理します。
夜勤を外す方向で考えている場合は夜勤なしで働ける看護師の転職先はどこかを先に読んでください。
夜勤専従はどういう働き方か
夜勤だけを担当する勤務の形
夜勤専従は、日勤のシフトに入らず、夜間の勤務だけを担当する形です。
同じ病棟に所属していても、日勤帯の業務や日中に行われる会議、研修の時間には基本的に関わりません。
日勤との入れ替わりが無いぶん、生活のリズムは一定になりやすくなります。
一方で、日中に開かれる委員会や勉強会に参加しにくくなり、日勤帯の患者の様子を直接見る機会も減ります。
得られるものと失われるものが同時に発生する働き方です。
2交代と3交代で一回の長さが変わる
夜勤の組み方は施設によって違います。
2交代では一回の夜勤が長時間にわたり、3交代では一回あたりの時間が短くなるかわりに回数が増えます。
同じ「夜勤専従」という言葉でも、この違いによって一か月の過ごし方はまったく変わります。
求人票で交代制の区分を確認しないまま条件を比べると、比較そのものが成立しません。
1日8時間を超える勤務を組む場合は、変形労働時間制など労働時間の枠組みが用いられます。
どの仕組みで運用されているかは、労働条件の書面で確認する項目です。
勤務日数と拘束時間は別に数える
夜勤専従は「月に10回程度」といった形で回数が示されることがあります。
回数が少なく見えても、一回の拘束時間が長ければ、月の総労働時間は日勤の常勤と大きく変わらないこともあります。
そのため、回数だけを見て負担を見積もらないようにします。
見るのは、回数と一回の拘束時間を掛け合わせた総時間です。
ここに仮眠や休憩がどう含まれるかで、実際の感覚はさらに変わります。
収入の構成がどう変わるか
深夜の割増賃金は法律で定められている
労働基準法は、午後10時から午前5時までの間に労働させた場合、その時間について通常の賃金の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払うことを使用者に義務づけています(労働基準法第37条第4項)。
夜勤専従はこの時間帯に勤務が集中するため、同じ時間働く日勤より賃金の単価が上がります。
ここで区別しておきたいのは、深夜割増と夜勤手当が別物だという点です。
深夜割増は法律上の義務、夜勤手当は施設が独自に設けている手当です。
求人票の金額がどちらを含んでいるかを確認しないと、比較の前提がずれます。
勤務日数が減っても月の収入が変わらないことがある
夜勤専従が選ばれる理由の一つが、勤務日数を抑えながら収入を保ちやすい点です。
深夜の割増と夜勤手当が積み上がるため、出勤する日数が少なくても月の支給額が日勤の常勤と近い水準になることがあります。
ただし、これは施設ごとの手当の設計に依存します。
手当が薄い施設では、日数を減らした分だけ収入も下がります。
求人を数件並べて、手当の内訳が明示されているかどうかを見ておきます。
金額の見方は転職で年収は上がる?で扱っています。
賞与・昇給・退職金は別の項目として見る
月の支給額が高くても、賞与の算定基礎や昇給の扱いが常勤と異なる場合があります。
雇用形態が正社員以外になっている求人では、賞与や退職金の扱いがそもそも違うことも珍しくありません。
比較するときは、月の支給額と年間の総額を分けて並べます。
雇用形態による違いの整理は看護師の求人はすべて正社員?にまとめています。
体調と法令上の扱い
深夜業に従事する人には健康診断の定めがある
深夜業を含む業務に常時従事する労働者については、その業務への配置替えの際と、6か月以内ごとに1回、定期に健康診断を行うことが事業者に義務づけられています(労働安全衛生規則)。
年1回の一般的な定期健康診断とは頻度が違います。
さらに、深夜業に従事する労働者が自ら受けた健康診断の結果を事業者に提出できる仕組みも設けられています(労働安全衛生法第66条の2)。
夜勤専従を続ける前提であれば、この頻度で健康状態を確認できることを制度として知っておく価値があります。
回数の上限は法律で一律に決まっていない
「夜勤は月に何回までか」という問いには、労働基準法が一律の上限を定めているわけではありません。
実際の回数は、就業規則、労使協定、そして施設が満たすべき基準の組み合わせで決まります。
入院基本料の施設基準には、看護職員の夜勤時間に関する要件が定められており、夜勤専従者の扱いもその中で整理されています。
要件の内容は改定されるため、細部は厚生労働省が公表している施設基準で確認します。
求人票に書かれた回数は、この枠組みの中で施設が設定した運用値だという理解で読みます。
生活のリズムをどう組むかを先に決める
夜勤専従は、日中の時間がまとまって空く働き方です。
学習、家族の事情、通院といった予定と組み合わせやすくなります。
一方で、睡眠の時間帯が一般的な生活と逆になるため、家族や同居する人の生活との調整が必要になります。
転職の理由が体力面にある場合、夜勤専従が解決になるのか、負担の形を変えるだけなのかを先に切り分けておきます。
働き方を変えることは手段であって目的ではありません。
求人票で確認する項目
回数・時間帯・体制を分けて数える
夜勤専従の求人で確認するのは、月の回数、一回の勤務時間帯、そして一晩を何人で担当するかの3点です。
この3つが揃って初めて、負担の見当がつきます。
一晩の担当人数は求人票に書かれていないことが多いため、確認する項目として残しておきます。
同じ回数でも、複数名で回す体制と少人数で回す体制では中身が違います。
求人票のどこまでが書かれた条件かは求人票のどこを読むかで扱っています。
仮眠と休憩の扱いを確認する
長時間の夜勤では、仮眠の時間が設定されていることがあります。
設定があっても、実際に取れているかどうかは体制によって変わります。
仮眠室があるか、仮眠中の呼び出しがどう扱われるか、その時間が労働時間に含まれるかは、それぞれ別の論点です。
求人票に記載が無ければ、面談や見学で聞く項目になります。
「夜勤専従」と「夜勤多め」は別
募集の中には、日勤も含みつつ夜勤の回数を多めに設定する形のものがあります。
これは夜勤専従とは別の条件です。
表記が曖昧な場合、日勤に入る可能性があるかどうかを確認します。
入職後に日勤へ配置される運用があるなら、想定していた生活のリズムは維持できません。
勤務先の種類で夜間の役割が変わる
夜間に担う役割は、勤務先の種類によって変わります。
病棟では受け持つ患者数と急変時の対応が中心になり、介護施設に配置される場合は医療的な判断を一人で行う場面が出てきます。
訪問看護ではオンコールの待機という別の形になります。
同じ「夜間の勤務」でも中身が違うため、種類をまたいで条件だけを比べても判断できません。
クリニックや訪問看護に移る場合の確認点はクリニック・訪問看護への転職で気をつけることにまとめています。
サービスは夜勤の条件で分かれていない
求人を絞り込む条件として扱う
当サイトで整理している看護師向けサービス15件のデータでは、夜勤専従に特化したサービスは確認できていません。
夜勤専従は、サービスを選ぶ軸ではなく求人を絞り込む条件として扱うことになります。
進め方としては、全国を対象とする登録型のサービスで検索し、条件で絞った結果を見比べる形です。
レバウェル看護・ナースではたらこ・リニューケア・ジストリー・ナースJJはいずれも全国を対象とする登録型で、会員登録を済ませた段階で求人を確認できます。
進み方の違いは看護師は面談なし・電話少なめで転職サービスを使える?にまとめています。
面談実施型では運用の実態を聞ける
仮眠が実際に取れているか、一晩の担当人数がどうなっているかは、求人票では分からない部分です。
当サイトのデータでは、MCナースネットが全国を対象とする面談実施型、クリアス看護が北海道・愛知・大阪・福岡を対象とする面談実施型です。
対応地域内であれば、こうした質問を投げる相手として使えます。
対象は正看護師・准看護師・保健師・助産師の資格保有者で、クリアス看護は48歳以下を対象としています。
対象地域と対象資格を先に確認しておくと、無駄な登録を避けられます。
雇用形態を複合で扱うサービスがある
夜勤専従は、正社員以外の雇用形態で募集されることもあります。
当サイトのデータでは、「レバウェル看護 派遣」が全国を対象とする登録型、「レバウェル看護派遣」が大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山・愛知・岐阜・三重・静岡・北海道を対象とする登録型で、いずれも雇用形態を正社員に限定していません。
名称が似ているため、登録の前に対応地域を確認しておく必要があります。
派遣という働き方では、夜勤やオンコールを担当するかどうかが契約の内容で決まります。
契約の確認点は看護師の求人はすべて正社員?にまとめています。
まとめ
- 夜勤専従は「夜勤なし」の逆で、勤務日数を抑えながら深夜の割増賃金を積む形になる
- 労働基準法は午後10時から午前5時までの労働に2割5分以上の割増賃金を義務づけている
- 深夜割増と夜勤手当は別物で、求人票の金額がどちらを含むかを確認する
- 深夜業を含む業務に常時従事する人には、6か月以内ごとの健康診断が定められている
- 回数の上限は法律で一律に決まっておらず、就業規則・労使協定・施設基準で決まる
- 確認するのは回数・一回の時間帯・一晩の担当人数の3点で、仮眠の扱いは別に聞く
- 当サイトのデータでは、夜勤専従に特化したサービスは確認できていない



