看護師の転職を調べ始めると、まず目に入るのは常勤の求人です。
そのため「転職=正社員として別の病院に移ること」と考えてしまいがちですが、実際には正社員以外の契約の形も選択肢に入ります。

雇用形態は、夜勤の有無や配属先といった勤務条件とは別の軸です。
ここでは、正社員と派遣で何が変わるのか、当サイトのデータで雇用形態がどう分かれているのか、派遣を選ぶ場合に何を確認するのかを順に整理します。

雇用形態は勤務条件とは別の軸

転職のきっかけには生活の事情が多い

看護師の転職理由としては、結婚・出産・育児・介護といったライフイベント、職場の人間関係、体力面の負担が多く挙げられています(出典: ウェルミーマガジン)。
このうちライフイベントと体力面は、働ける時間や日数そのものに関わる理由です。

勤務先を変えるだけでは、この種の制約は解消しないことがあります。
夜勤のない職場に移っても、勤務日数がフルタイムのままであれば時間の制約は残ります。
契約の形を変えるという選択肢が候補に入るのは、この段階です。

常勤・非常勤と、正社員・派遣は別の分類

医療機関の求人では「常勤」「非常勤」という言葉がよく使われます。
これは勤務時間の区分に近い呼び方で、雇用契約の形とは一致しません。
常勤の中に正社員と契約社員が含まれることもあれば、非常勤がパートを指す場合も派遣を指す場合もあります。

そのため、求人票を読むときは常勤かどうかと、契約の相手が誰かを分けて確認する必要があります。
この2つを混ぜたまま比較すると、条件の良し悪しを判断できません。

資格は雇用形態で評価が変わらない

看護師・准看護師・保健師・助産師の資格は、雇用形態が変わっても保有し続けられます。
派遣で働いた期間が資格の扱いに影響することもありません。

一方で、経歴の書き方は変わります。
派遣での就業は勤務先ごとの期間が短くなることがあるため、職務経歴書では担当した診療科と業務内容を軸に整理するほうが読み手に伝わります。
書き方は職務経歴書はいつ作ればよいかにまとめています。

正社員と派遣で何が変わるか

雇用主が勤務先ではなくなる

派遣で働く場合、雇用契約を結ぶ相手は派遣元の会社であり、実際に働く医療機関ではありません。
給与の支払いも社会保険の手続きも派遣元が行い、日々の業務の指示は派遣先から受けます。

この構造から、相談すべき相手が場面によって変わります。
業務の進め方は派遣先、契約や待遇に関することは派遣元です。
窓口が2つあるという前提を持っておくと、困ったときに動きやすくなります。

賞与・退職金・昇給の扱い

派遣やパートでは、賞与や退職金といった正社員特有の待遇が無いことが一般的です。
時給の水準だけを見ると正社員の給与を上回るように見える場合がありますが、年収ベースで並べると差が出ることがあります。

比較するときは、時給に想定の勤務時間を掛けた金額と、正社員の年収から手当を分解した金額を並べます。
金額の見方は転職で年収は上がる?で扱っています。

勤務地と勤務日数の決め方

派遣の利点として挙げられるのは、勤務先や勤務日数を契約の段階で決めやすい点です。
週の勤務日数や勤務時間帯を条件として先に示せるため、生活の都合と合わせやすくなります。

一方で、契約に含まれない業務は原則として担当しません。
これは負担が限定されるという意味では利点ですが、経験の幅を広げたい段階では制約にもなります。
何を優先するかで評価が変わる項目です。

教育・研修と評価の扱い

正社員では、院内の研修や委員会活動、キャリアラダーの評価が業務に含まれることがあります。
派遣ではこれらの扱いが契約によって変わり、参加できる場合とできない場合があります。

認定看護師などの資格取得を視野に入れている場合、この差は無視できません。
取得に必要な実務経験の要件をどう満たすかは、雇用形態を決める前に確認しておく項目です。
資格の位置づけは認定看護師・専門看護師のキャリアパスにまとめています。

当サイトのデータでは15件中2件が複合

複合として登録されているのは2件

当サイトが扱っている看護師向けサービスは15件です。
このうち、扱う雇用形態が正社員に限定されず複合として登録されているのは2件で、残りの13件は正社員を対象としています。

数として見れば、正社員向けが大多数を占めます。
派遣を含む形で探す場合、候補は最初から絞られるという前提で進めることになります。

2件はいずれも派遣を含む登録型

該当する2件は、いずれも会員登録の時点から利用が始まる登録型です。
対応地域には違いがあります。

サービス 進み方 対応地域
レバウェル看護 派遣 登録型 全国
レバウェル看護派遣 登録型 大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山・愛知・岐阜・三重・静岡・北海道

後者は関西・東海・北海道の11道府県が対象で、それ以外の地域では候補から外れます。
名称が似ているため、登録の前に対応地域を確認しておく必要があります。
対応地域の見方は看護師は地方でも転職サービスを使える?で扱っています。

同じブランドでも正社員向けとは別のサービスになっている

当サイトのデータでは、同じレバウェル看護の名称で、正社員を対象とするサービスと派遣を含むサービスが別々に掲載されています。
運営が同じでも、扱う雇用形態ごとに入口が分かれているということです。

これは利用する側にとって重要な点です。
正社員向けの窓口に登録したうえで「派遣も検討したい」と伝えるより、扱う雇用形態に対応した入口から入るほうが話が早く進みます。
登録の前に、そのサービスがどの雇用形態を扱っているかを確認しておきます。

残り13件は正社員を対象としている

正社員として探す場合は、13件が候補になります。
進み方は登録型・申込型・面談実施型に分かれており、当サイトのデータでは分類が確認できていないものも含まれます。
まず求人を見たい段階と、応募を具体的に考える段階で使い分けられる構成です。
分類の違いは看護師は面談なし・電話少なめで転職サービスを使える?にまとめています。

なお、正社員を対象としているサービスでも、パートや非常勤の求人をまったく扱っていないとは限りません。
当サイトのデータは各サービスの対象として整理したものであり、掲載求人のすべてを網羅したものではありません。
実際の扱いは各サービスのサイトで確認してください。

派遣で働く前に確認すること

就業条件明示書で契約の中身を確認する

派遣として働き始める際には、業務内容・就業場所・期間・指揮命令者などを記した書面が派遣元から示されます。
求人の案内と記載が食い違うことがあるため、確認するのは就業を始める前です。

とくに確認しておきたいのは、担当する業務の範囲です。
看護師の派遣では、診療科や病棟の種類によって任される業務が変わります。
範囲が曖昧なまま始めると、想定していなかった業務が積み上がることがあります。

同じ勤務先で働ける期間には上限がある

派遣には、同一の事業所や部署で働ける期間に上限が設けられています。
上限に達した後は、勤務先を変えるか、直接雇用への切り替えを検討することになります。

この仕組みを知っておくと、契約終了を想定の範囲内の出来事として受け止められます。
期間の考え方や例外の扱いには細かい定めがあるため、具体的な適用は派遣元の担当者や労働局の窓口で確認してください。

夜勤・オンコールが契約に含まれるか

夜勤やオンコールの待機を担当するかどうかは、契約の内容によって決まります。
派遣であれば夜勤が無いとは限らず、逆に夜勤を含む条件で契約することもあります。

そのため、雇用形態を変えることと夜勤を外すことは別の話として扱います。
夜勤の条件の読み分け方は夜勤なしで働ける看護師の転職先はどこかにまとめています。

雇用形態を決めきれない段階での進め方

同じ条件で正社員と派遣の求人を並べる

どちらが合うか判断できない場合は、勤務地の範囲と勤務先の種類を固定したうえで、雇用形態だけを切り替えて求人を並べます。
年収の幅、勤務日数、業務範囲がどう変わるかは、並べれば見えてきます。

一般論としての「派遣は不安定」「正社員が有利」という話より、自分の希望条件で出てくる求人のほうが判断材料になります。
進め方は転職するか迷っている段階では何をする?にまとめています。

紹介予定派遣という中間の選択肢

一定期間を派遣として働いた後、双方の合意があれば直接雇用に切り替わる紹介予定派遣という仕組みもあります。
職場の実態を確認したうえで正社員化を判断できる形です。

ただし、直接雇用への切り替えは勤務先の採用状況にも左右されます。
切り替えが実現しなかった場合の動き方も並行して考えておくと、契約満了の時点であわてずに済みます。
仕組みの一般的な説明は正社員以外(契約・派遣)で探す選択肢にまとめています。

優先する項目を一つ決めておく

雇用形態・勤務地・年収・勤務日数のすべてを満たす求人は多くありません。
優先する項目を一つ決めておくと、比較のたびに判断が揺れなくなります。

生活の制約が転職のきっかけであれば、優先すべきは勤務時間や日数であり、雇用形態はそれを実現する手段です。
手段と目的を入れ替えないことが、条件を絞るときの基準になります。

まとめ

  • 常勤・非常勤という区分と、正社員・派遣という契約の形は別の分類として読む
  • 派遣では雇用主が勤務先ではなくなるため、相談する窓口が業務と契約で分かれる
  • 当サイトが扱う看護師向けサービス15件のうち、雇用形態が複合なのは2件で、残り13件は正社員が対象
  • 複合の2件はいずれも登録型で、片方は対応地域が11道府県に限られる
  • 派遣では就業条件明示書の業務範囲と、同一勤務先で働ける期間の上限を確認する
  • 判断に迷う場合は、条件を固定して雇用形態だけを切り替えた求人を並べる