転職サービスを調べていると、対象を女性に絞ったものが目に入ります。
名前に「女性」と入っているサービスもあれば、女性向けと書かれた特集ページを持つ一般サービスもあります。
どちらを使えばよいのか、そもそも対象を絞ったサービスに意味があるのかは、外から見ただけでは分かりません。
ここでは、まず公的な統計で分かる範囲を確認し、そのうえで対象を絞ったサービスが何をどう絞っているのかを整理します。
前職を辞めた理由は男女で違っている
女性の最多は労働時間・休日の条件
厚生労働省の「令和6年雇用動向調査」によると、転職入職者が前職を辞めた理由(個人的理由・その他の理由を除く)は、男女で最も多い項目が異なります。
女性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が12.8%で最多、次いで「職場の人間関係が好ましくなかった」が11.7%でした。
男性は「定年・契約期間の満了」14.1%が最多で、次が「給料等収入が少なかった」10.1%です(出典: 厚生労働省「令和6年雇用動向調査」)。
同じ調査の前年からの変化を見ると、女性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が1.7ポイント増えています(出典: 同調査)。
上位に入る理由が、給与そのものではなく働く時間の条件に寄っているという点が、この数字から読み取れるところです。
求人票で確認できる理由と、できない理由が混ざる
上位2つを並べると、性質が違うことに気づきます。
労働時間と休日は求人票に書かれています。
所定労働時間、年間休日数、時間外労働の有無は、どの求人票にも欄があります。
一方、職場の人間関係は求人票に出てきません。
書かれていない項目を、どこで埋めるかを先に決めておかないと、活動が途中で止まります。
書かれている条件は比較で、書かれていない条件は質問で埋めるという切り分けになります。
求人票のどこに何が書かれているかは求人票のどこを読むかにまとめています。
転職して賃金が増えた人は4割
同じ調査で、転職入職者の賃金の変化は「増加」40.5%、「減少」29.4%、「変わらない」28.4%でした(出典: 同調査)。
これは男女を合わせた全体の数値です。
増えた人が最も多い一方で、3割は減っています。
労働時間の条件を優先して動けば、金額が下がる選択になることもあります。
どちらを取るかは本人が決める話ですが、上がる前提でも下がる前提でもなく、条件次第で分かれるという認識で始めるほうが、途中で判断がぶれません。
年収がどう決まるかは転職で年収は上がる?で扱っています。
動き出す前に済ませておくこと
同じ職種の求人を10件見る
最初にやることは応募ではありません。
同じ職種・同じ経験年数の求人を10件ほど並べて見ることです。
年収の幅、年間休日数、時間外労働の記載、勤務地の範囲が、この時点で見えてきます。
1件だけでは相場が分かりません。
10件見ると、いまの職場の条件が市場のどのあたりにあるのかが判断できます。
結果として「今のほうが条件が良い」と分かることもあり、それも材料をそろえたうえでの結論です。
この段階の進め方は転職するか迷っている段階では何をする?にまとめています。
譲れない条件を1つだけ決める
条件をすべて満たす求人は、探しても出てきません。
勤務地・年収・労働時間・仕事の内容のうち、譲れないものを1つ決めておくと、求人を見る速度が変わります。
決めるのは1つで足ります。
2つ3つと増やすと、候補が残らなくなり、結局は妥協の順番を後から考え直すことになります。
1つ決めておけば、残りは提示された条件を見てから比べられます。
働き方の条件が求人票のどの欄に出るかを知る
労働時間や休日を理由に動く場合、求人票のどこを見れば分かるのかを先に押さえておくと、比較が速くなります。
所定労働時間と休憩、年間休日数、時間外労働の有無と平均時間、休暇の種類。
この4つは欄が決まっています。
一方、実際の運用は求人票からは読み取れません。
制度としての育児短時間勤務があっても、利用している人がいるかどうかは書かれていません。
制度の有無は求人票、運用の実態は質問という切り分けにすると、面接で聞くべきことが絞れます。
経歴は求人を見ながら箇条書きにする
職務経歴書を先に完成させる必要はありません。
求人の「求める経験」の欄を見ながら、担当した業務・扱った規模・期間を箇条書きにしていくほうが進みます。
育児や介護で働き方を変えた期間がある場合も、その期間に何をしていたかを事実として並べます。
短時間勤務で担当した範囲、復帰後に引き継いだ業務。
書き出す順序は職務経歴書はいつ作ればよいかにまとめています。
対象を絞ったサービスが存在する理由
ここまでは職種や性別を問わない話です。
ただ、辞めた理由の上位が男女で違っているという事実は、紹介する側から見ると「聞くべき条件が違う」ということでもあります。
だからこそ、対象を絞ったサービスが成り立ちます。
対象を絞ると条件のすり合わせが短くなる
紹介する側は、対象を絞るほど扱う求人を揃えやすくなります。
時間の条件を重視する人が多い層に対しては、その条件で絞り込める求人を先に集めておくほうが、紹介の精度が上がります。
利用する側から見ると、これは最初のやり取りが短くなるという形で表れます。
前提の説明から始めなくてよい分、条件の話に早く進めます。
一方で、対象を絞っている以上、扱う求人の幅は一般のサービスより狭くなります。
当サイトのデータに含まれる女性向けサービス
当サイトでは、各サービスが公開している利用条件を整理しています。
総合転職に分類されるもののうち、対象を女性に絞った記載があるのは次のようなサービスです。
| サービス | 利用の始まり方 | 対応地域 | 記載されている対象条件 |
|---|---|---|---|
| type女性の転職エージェント | 会員登録型 | 全国 | 女性 |
| WORXデジタルウーマン | 会員登録型 | 埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・京都・大阪・兵庫 | 20〜29歳/最終学歴高卒以上 |
| マイナビキャリレーション | 申込型 | 東京・京都・大阪 | 20代/女性 |
| MySTAR | 当サイトのデータでは未確定 | 全国 | 女性 |
いずれも扱う雇用形態は正社員です。
並べてみると分かるのは、対象を絞ったサービスは地域や年齢も同時に絞られていることがあるという点です。
全国が対象なのはtype女性の転職エージェントとMySTARで、残りの2つは対応地域が限られています。
「女性向け」という言葉の中身は同じではない
同じ「女性向け」でも、示している内容はサービスごとに違います。
対象そのものを女性に限っているものもあれば、扱う求人の傾向として女性の応募が多い職種を集めているものもあります。
当サイトのデータには「ママワークス」という名称のサービスも含まれており、面談実施型・全国対応で掲載されています。
ただし、当サイトが整理している範囲では、このサービスに対象を女性へ限る条件は記録されていません。
名称から対象を推測せず、公式サイトの応募条件を読むという手順は、どのサービスでも変わりません。
登録する前に確認する3点
対応地域に希望の勤務地が入っているか
前掲の表のとおり、対象を絞ったサービスでは対応地域も限られていることがあります。
WORXデジタルウーマンは8都府県、マイナビキャリレーションは3都府県が対応地域として記録されています。
対応地域の外に住んでいる場合、登録しても紹介に進みません。
また、求人が掲載されている範囲と、担当者が付いて紹介できる範囲は別のものです。
地方で探す場合の注意点は転職サービスは地方でも使える?で扱っています。
年齢の条件が付いていないか
WORXデジタルウーマンは20〜29歳・最終学歴高卒以上、マイナビキャリレーションは20代という条件が記録されています。
年齢の条件は、内容を作り込んでも動かせません。
対象から外れている場合は、条件のないサービスを選びます。
年齢がどう扱われるかは未経験・異業種への転職は何歳まで現実的かにまとめています。
雇用形態が希望と合っているか
上に挙げたサービスはいずれも正社員を扱うものとして記録されています。
短時間勤務や契約社員、派遣を希望する場合、扱っているサービスが別に存在します。
正社員以外の働き方を含めて探す場合の見方は正社員以外(契約・派遣)で探す選択肢にまとめています。
扱う雇用形態は登録後に変えられません。
先に確認するほど無駄が減ります。
利用の始まり方を登録画面で確かめる
当サイトのデータでは、MySTARの利用の始まり方の区分が確定していません。
こうしたケースに限らず、名前だけでは面談が前提かどうかは決まりません。
判別は申し込みページの文言でできます。
「求人を検索できます」「スカウトが届きます」であれば会員登録型、「登録後、担当者よりご連絡します」であれば面談を前提にした型です。
両者の違いは登録型と面談型の転職サービス、どちらを選ぶ?にまとめています。
一般の総合型サービスと組み合わせる
扱っている求人が違う
対象を絞ったサービスと、職種も対象も限定しない総合型のサービスでは、扱っている求人が違います。
片方だけを見ていると、選択肢の一部しか見ていない状態になります。
当サイトが整理している総合型のサービスを利用の始まり方で分けると、会員登録型94件・面談実施型65件・申込型19件という内訳になります。
件数の上では、対象を絞ったサービスは全体のごく一部です。
総合型の全体像は転職エージェントはどう選ぶ?にまとめています。
登録数は増やしすぎない
転職エージェントの登録社数は平均2.1〜2.3社とされています(出典: キャリアアップステージ)。
数を増やすほど、連絡の管理に時間を取られます。
対象を絞ったサービスを1社、総合型を1社という組み合わせであれば、少ない登録数で性質の違う2つを持てます。
何社まで併用するかの考え方は転職エージェントは何社まで併用してよいかにまとめています。
特集ページと専用サービスは別のもの
一般の総合型サービスの中にも、女性向けと題した特集ページを設けているものがあります。
これは求人の並べ方であって、対象を絞ったサービスとは仕組みが違います。
特集ページの場合、登録の対象は一般の利用者と同じです。
年齢や地域の条件も、そのサービス全体の条件が適用されます。
特集は求人の切り口、専用サービスは対象条件の話という区別をしておくと、比べる対象を取り違えません。
条件面の確認は入社前に書面で行う
労働時間や休日を理由に動く場合、提示された条件が実際にどうなっているかは、入社前に書面で確認できます。
求人票は募集の条件であり、契約の内容は別に示されます。
面接で聞いた説明と書面の記載が違う場合も起こります。
確認する項目は労働条件通知書の確認ポイントにまとめています。
複数の内定が出た場合の比べ方は複数の内定が出たときの比較軸で扱っています。
まとめ
- 前職を辞めた理由の最多は、女性が**「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」12.8%**、次いで人間関係11.7%
- 転職入職者の賃金は増加40.5%・減少29.4%(全体値)で、条件次第で分かれる
- 当サイトのデータには、対象を女性に絞った記載のあるサービスが複数含まれている
- 対象を絞ったサービスは、対応地域や年齢もあわせて絞られていることがある
- 名称だけでは対象も利用の始まり方も決まらないため、公式サイトの記載で確認する
- 特化型と総合型では扱う求人が違うため、1社ずつ組み合わせると選択肢が広がる



