転職サービスの一覧を見ていると、「ハイクラス」「エグゼクティブ」と書かれたものが並んでいます。
一般の転職サービスと何が違うのか、自分が対象に入るのかは、外から見ただけでは分かりません。
先に整理しておくと、違いは扱う求人の水準だけではありません。
対象を年収で区切っているサービスが実際にあります。
ここでは、まず管理職・専門職層の採用がどう動いているかを確認し、そのうえで対象条件がどう定められているかを見ていきます。
管理職・専門職層の採用でいま起きていること
管理職を中途で採用する企業が半数に近づいた
2025年1〜6月の中途採用で管理職を採用した企業の割合は49.6%でした。
2021年の38.9%から10.7ポイント増えています(出典: マイナビキャリアリサーチLab「中途採用実態調査2025年版」)。
同じ調査では、転職前に管理職だった人の転職理由は「会社の将来性に不安があった」33.8%が最多、非管理職だった人は「給与が低かった」26.5%が最多でした(出典: 同調査)。
動く理由の中心が、金額ではなく組織の先行きに移っているという点が、管理職層の特徴として表れています。
年齢が上がると、動く人の割合は下がる
厚生労働省の「令和6年雇用動向調査」で年齢階級別の転職入職率を見ると、男性の値で25〜29歳が15.1%であるのに対し、40〜44歳は6.8%でした(出典: 厚生労働省「令和6年雇用動向調査」)。
40代前半は20代後半の半分以下です。
管理職や専門職の募集が集まりやすいのは、この動く人が少ない年代です。
募集を出して応募を待つだけでは採用が進まないため、企業側から経歴を探しに行く仕組みの比重が上がります。
この構造が、後述するサービスの設計に直接つながっています。
転職して賃金が増えた人は4割
同じ調査で、転職入職者の賃金は「増加」40.5%、「減少」29.4%、「変わらない」28.4%でした(出典: 同調査)。
これは全年代・全職種を合わせた数値です。
年収の高い層に限った内訳ではありませんが、3割が減っているという事実は共通の前提として置いておく価値があります。
現年収が高いほど、次の提示が同額以上になるとは限りません。
金額がどう決まるかは転職で年収は上がる?で扱っています。
年収を軸に動くときに先にやること
いまの年収が市場のどこにあるかを求人で確かめる
最初にやることは応募ではなく、同じ職種・同じ役割の求人を10件ほど見ることです。
年収の幅、求められる経験、部下の人数やマネジメントの範囲がどう書かれているかを並べます。
年収の欄は上限だけが大きく書かれていることがあります。
見るのは下限のほうです。
下限が現年収を下回っている求人は、提示額も下回る可能性を含んでいます。
求人票の読み方は求人票のどこを読むかにまとめています。
年収の内訳を分けて数える
現年収を1つの数字として扱うと、比較の精度が落ちます。
基本給、固定残業代、賞与、各種手当、インセンティブに分けて数えます。
分けておく理由は2つあります。
1つは、次の提示が同じ構成とは限らないためです。
賞与の比率が高い会社から固定給中心の会社へ移ると、額面が同じでも月々の入り方が変わります。
もう1つは、提示を受けた後の話し合いで具体的に切り出せるようになるためです。
進め方は転職の年収交渉はできる?にまとめています。
職務経歴を「範囲」で書き直す
管理職や専門職の募集では、担当した業務の名前だけでは判断されません。
何人の組織を見たか、いくらの予算を扱ったか、どの範囲まで決裁したか。
規模と権限が書かれているかどうかで、読み手が受け取る情報量が変わります。
在籍した会社名と役職名だけを並べた経歴では、同じ役職名でも中身が違うという点が伝わりません。
書き出す順序は職務経歴書はいつ作ればよいかにまとめています。
対象年収を条件にしたサービスがある
前述のとおり、動く人が少ない層では企業側から探す仕組みが必要になります。
そのため、対象を絞ったうえで経歴を預かる形のサービスが成立します。
絞り方の1つが年収です。
年収800万円以上という対象条件
当サイトが整理しているデータでは、ランスタッドのプロフェッショナル転職サービスに「年収800万円以上の方」という対象条件が示されています。
利用は申込型で、対応地域は全国、扱う雇用形態は正社員です。
この種の条件は、内容を作り込んでも動かせません。
対象から外れていれば、登録しても紹介には進みません。
逆に言えば、対象に入っているかどうかは登録前に判断できます。
「ハイクラス」という語そのものには決まった定義がない
注意しておきたいのは、ハイクラスやエグゼクティブという語に共通の定義がないことです。
各社がそれぞれの意味で使っており、対象年収を明示しているサービスもあれば、明示していないサービスもあります。
当サイトが整理しているデータでも、対象年収が条件として記録されているのは一部です。
語そのものではなく、対象条件の欄に何が書かれているかを見ます。
書かれていない場合は、扱っている求人の年収帯を求人検索で確かめるほうが早く判断できます。
経歴の登録を起点にするサービス
RECRUIT DIRECT SCOUTは、当サイトのデータでは会員登録型・全国対応・正社員として記録されています。
職務経歴(レジュメ)の登録が利用の起点になる形です。
自分で求人を検索して応募する形とは、動き方が違います。
経歴を置いておき、それを見た企業や担当者から連絡が届くのを待つ形です。
この形式の性質はスカウト型の転職サービスとは?にまとめています。
外資系・専門領域に寄せたサービス
当サイトのデータには、次のサービスも含まれています。
いずれも扱う雇用形態は正社員です。
| サービス | 利用の始まり方 | 対応地域 |
|---|---|---|
| JAC Recruitment 無料転職サポート | 会員登録型 | 茨城・栃木・群馬・埼玉・東京・山梨・長野・静岡・京都・大阪・岡山・広島 |
| エンワールド(en world) | 面談実施型 | 全国 |
| ロバート・ウォルターズ | 会員登録型 | 全国 |
| コトラ | 会員登録型 | 全国 |
並べて分かるのは、全国対応と地域限定が混在している点です。
JAC Recruitmentの無料転職サポートは12都府県が対応地域として記録されています。
首都圏・関西以外に住んでいる場合、この確認は登録前に済ませておく必要があります。
対応地域の見方は転職サービスは地方でも使える?で扱っています。
一般のサービスと何が違うのか
面談を前提にする比重が上がる
当サイトが整理している総合型サービス全体では、会員登録型94件・面談実施型65件・申込型19件という内訳です。
件数の上では会員登録型が最も多くなっています。
一方、対象を絞ったサービスでは面談実施型や申込型の比重が上がります。
求人票に書ける情報だけでは、募集の背景や組織の状況が伝わらないためです。
書面に出ない情報を人が持っているという構造は、役割の水準が上がるほど強くなります。
2つの型の違いは登録型と面談型の転職サービス、どちらを選ぶ?にまとめています。
求人が公開されない場合がある
管理職や専門職の募集では、募集していること自体を公開しない場合があります。
組織の変更や人の入れ替わりが外部に伝わるためです。
このため、求人検索だけで候補を集める進め方には限界があります。
検索で見つかる求人と、人を介して届く求人の両方を見る必要があります。
求人サイトだけを見ている段階では、選択肢の一部しか見ていない状態です。
選考で聞かれる論点が変わる
一般の中途採用では、担当してきた業務を説明できるかが中心になります。
管理職・専門職の募集では、そこに意思決定の話が加わります。
何を任され、どこまでを自分で決め、決めた結果どうなったか。
うまくいかなかった判断について、何を見落としていたと考えているか。
説明の単位が作業から判断に移るという点が、準備するうえでの違いです。
聞かれる質問の型と答え方は転職面接の準備にまとめています。
連絡の起点が企業側になることがある
経歴を登録して待つ形では、いつ連絡が届くかは相手の都合で決まります。
今月中に候補を3社そろえたい、といった進め方には向きません。
転職活動の期間は3〜6ヶ月が目安とされています(出典: マイナビ転職)。
この幅で逆算するなら、待つ手段だけに寄せず、自分から動く手段を並行させることになります。
使い分けの提案
対象条件に届かない場合
現年収が対象条件に届かない場合、無理に登録しても紹介には進みません。
一般の総合型サービスで求人を見ながら、いまの職種で年収の上限がどこにあるかを確認するほうが現実的です。
年収の水準は、本人の能力より先に業界と職種の相場で大枠が決まります。
同じ役割でも業界が違えば水準が変わるため、どの業界を見るかを先に決めておくと、求人を見る効率が上がります。
在職中で時間が取れない場合
管理職として在職しながら動く場合、日中に電話へ出たり面談の時間を作ったりするのは簡単ではありません。
経歴を登録して連絡を待つ形は、読む時刻を自分で選べます。
一方で、在職中は登録した経歴が現職や取引先から見られる可能性があります。
特定の企業に自分の情報を表示しない設定が用意されているサービスもあるため、登録前にヘルプページで確認します。
時間の作り方は在職中の転職活動はどう進める?で扱っています。
提示を受けてからやること
提示された金額だけで決めると、後から構成の違いに気づくことになります。
基本給と固定残業代の内訳、賞与の支給実績、退職金制度の有無を、書面で確認します。
条件は入社前に書面で示されます。
求人票や面接での説明と食い違う場合の進め方は労働条件通知書の確認ポイントにまとめています。
複数の提示を比べる場合の項目は複数の内定が出たときの比較軸で扱っています。
管理職としての転身を考える場合
管理部門から管理職への転身や、専門領域を軸にした移り方は、扱う論点が別にあります。
中途採用で管理職がどう見られているかは管理部門から管理職に転身できる?、コンサルティング領域の市場はコンサル業界の転職市場はいま?にまとめています。
まとめ
- 2025年1〜6月の中途採用で管理職を採用した企業は49.6%。
2021年の38.9%から10.7ポイント増 - 管理職だった人の転職理由は「会社の将来性に不安があった」33.8%が最多
- 40〜44歳男性の転職入職率は6.8%で、25〜29歳の15.1%の半分以下
- 当サイトのデータには、年収800万円以上という対象条件を示すサービスが含まれている
- 対象を絞ったサービスでも、対応地域が限定されているものがある
- 求人が公開されない場合があるため、検索と紹介の両方を持っておく



