書類に書く志望動機と、面接でその場で答える内容は、準備の仕方が違います。
書類は推敲できますが、面接では答えたあとに深掘りされます。
この記事が扱うのは後者、口頭で聞かれたときの答え方です。
書類として書く志望動機・転職理由の組み立て方は薬剤師の志望動機はどう書く?にまとめており、この2つは対になります。
職種を問わない面接の型は転職面接の準備で扱っています。
ここでは、薬剤師の面接で実際に出てくる、業態と実務に関する質問に絞ります。
薬剤師の面接で業態の話が中心になる理由
免許は共通でも、実務の中身は業態で分かれる
薬剤師免許は業態を問わず共通です。
一方で、日々の業務は調剤薬局・病院・ドラッグストア・在宅・治験のどこにいたかで大きく変わります。
面接で使われる時間の大半は、この業態ごとの実務の中身に向きます。
同じ「薬剤師経験5年」でも、処方箋を扱ってきた量と科目の構成が違えば別の経歴として読まれます。
需給が業態と地域で違う
薬剤師全体の有効求人倍率は、2015年の7.18倍から2021年には2.68倍まで下がりました(出典: Method Innovation)。
ただしこれは全体の平均です。
領域による差については、都市部が飽和の傾向にある一方、地方や在宅医療・病院の領域では不足が続くと見られています(出典: ジョブジョブ)。
応募先がどちら側の領域かによって、面接で確認される項目の力点も変わります。
不足が指摘されている領域では、入職後にどこから任せられるかを詰める質問が増えます。
長く働けるかどうかは双方が確認している
マイナビの「薬剤師白書2024年度版」では、長く働き続けるために必要なものとして「良好な人間関係」が72.3%、「給与などの待遇面の充実」が68%と挙げられています(出典: 医療サポネット)。
この2つは、応募する側にとっては選ぶ条件であり、採用する側にとっては定着の条件です。
そのため面接では、職場の体制やシフトの回り方についてのやり取りが、業務内容の質問と同じくらいの比重で出てきます。
準備は実務の数字を出すところから始める
応需枚数・科目構成・扱った剤形を書き出す
準備の最初は、答えを考えることではなく材料を並べることです。
1日あたりの処方箋の応需枚数、主な診療科の構成、扱っていた剤形や無菌調製の経験を書き出します。
数字が入ると、経験の規模がそのまま伝わります。
枚数と科目構成は、面接で最も再利用しやすい材料です。
書き出した内容は職務経歴書にも使えるため、二度手間になりません。
書類側の作り方は職務経歴書はいつ作ればよいかにまとめています。
求人票の必須要件を疑問文に置き換える
求人票の必須要件は、面接の質問とほぼ同じ内容になります。
「在宅業務の経験がある方」とあれば在宅で何を担当していたか、「当直対応可能な方」とあれば対応できる条件が聞かれます。
必須要件を上から順に疑問文へ書き換えれば、想定質問の一覧ができます。
必須要件と歓迎要件の読み分けは求人票のどこを読むかを参考にしてください。
答えは1問30〜60秒に収める
答えの長さで熱意は伝わりません。
1問30〜60秒に収め、続きは聞かれてから話す形にすると、やり取りが噛み合います。
組み立ては状況・役割・工夫・結果の4点で足ります。
よく聞かれる質問と、質問の意図
質問の裏側にある確認事項を先に把握する
同じ質問でも、何を確認したくて聞いているかが分かると、答える方向がぶれません。
薬剤師の面接で出やすい質問と、その意図を並べます。
| 質問 | 確認されていること | 答えの軸 |
|---|---|---|
| なぜ業態を変えるのか | 業務の違いを理解しているか | 前職の経験と、次の業務の接続 |
| 1日の応需枚数は | 業務量の感覚が合うか | 枚数と科目構成を数字で |
| 疑義照会の経験は | 手順に沿って動けるか | 気づいた点と、確認した手順 |
| 在宅・OTCの経験は | 入職後どこから任せられるか | 担当範囲と、未経験部分の区別 |
| 当直やシフトは対応可能か | 勤務体制に組み込めるか | 対応できる条件を具体的に |
| 認定薬剤師の取得意向は | 業務の広げ方の希望 | 現在の状況と、関心のある領域 |
答えの軸を決めておくと、聞き方が変わっても対応できます。
想定問答の丸暗記より、この軸を持つほうが実際の面接では効きます。
業態を変える理由は、避けたいことではなく接続で話す
調剤薬局から病院へ、ドラッグストアから調剤薬局へといった業態変更では、変える理由が必ず聞かれます。
ここで前職の不満だけを並べると、次でも同じ理由で辞めると受け取られます。
前職で担当していた業務のうち、応募先の業務につながる部分を1つ挙げ、そこを広げたいという形にすると説明が通ります。
業態をまたいだ移動が実際にどう扱われるかは薬剤師の業態変更はできる?で整理しています。
疑義照会やインシデントの質問には手順で答える
疑義照会の経験を問う質問は、判断の是非を採点するためのものではありません。
確認したことがある事例で、どこに気づき、誰に対してどの順で確認し、結果をどう記録したかという手順を説明できるかが見られます。
インシデントについても同様です。
起きた事象の詳細より、報告の流れと再発防止のために変えた手順を説明するほうが、質問の意図に沿います。
個別の症例や患者の情報に踏み込む必要はなく、業務手順の説明にとどめて差し支えありません。
資格や研修の話は、現在の状況を正確に伝える
認定薬剤師や専門薬剤師の取得状況、研修の受講歴は、募集要項に記載がある求人ほど聞かれます。
取得していない場合は、取得していないと答えたうえで関心のある領域を添えます。
取得支援の制度や手当の有無は、求人票に記載があることがあります。
記載があるかどうか自体が、その職場の位置づけを示す情報になります。
業態ごとに想定される質問が入れ替わる
調剤薬局は枚数と門前の科目を聞かれる
調剤薬局の面接では、応需枚数、門前の診療科、店舗の人員体制が中心になります。
薬歴の記載や在庫の管理をどこまで担当していたかも確認されます。
答えるときは、店舗の規模とあわせて話します。
同じ枚数でも、薬剤師の人数が違えば1人あたりの業務量が変わるためです。
病院は病床数と当直の形を聞かれる
病院の面接では、病床数と診療科の構成、当直や夜勤の有無と頻度が確認項目になります。
病棟業務や無菌調製の経験があるかどうかも、配属の判断材料として聞かれます。
病院は不足が指摘されている領域に名前が挙がるため、入職後に任せる範囲を早い段階で詰める質問が出ることがあります。
病院とドラッグストアの求人の違いはドラッグストアと病院、薬剤師の転職はどう違う?にまとめています。
ドラッグストアは調剤併設かどうかで質問が変わる
ドラッグストアは、調剤室を併設しているかどうかで業務の中身が変わります。
併設店では処方箋の応需枚数、非併設ではOTCの相談対応の経験が質問の中心になります。
あわせて、営業時間とシフトの組み方、異動の範囲が確認されます。
勤務地を条件にしている場合は、異動の対象エリアをこちらからも確認しておく項目です。
在宅・治験は動き方と関わる相手を聞かれる
在宅では、訪問の件数、移動の手段、多職種との連携の取り方が聞かれます。
治験関連では、扱った試験の種類や担当した業務範囲が確認項目になります。
どちらも調剤室の中で完結しない業務が含まれるため、どこまでを自分の担当として動いていたかを具体的に答えられるかどうかが分かれ目になります。
領域の実情は薬剤師は在宅・治験へ未経験から移れる?で扱っています。
面接は条件を確認する場でもある
こちらから聞く項目を3つ決めておく
面接の最後に質問の時間が設けられることがあります。
聞く価値が高いのは、募集の背景が増員か欠員か、当直やシフトの実際の回り方、入職後に担当する範囲の3点です。
いずれも求人票からは読み取れない項目です。
条件面だけに質問が偏ると業務への関心が薄いと受け取られやすいため、業務理解につながる項目を先に置きます。
条件は求人票・面接・書面の3段階で突き合わせる
給与や勤務時間は、求人票の記載、面接での説明、内定後に示される書面の3段階で確認します。
求人票は募集の条件であり、契約の内容が確定するのは書面です。
雇用形態が正社員か、派遣を含むかによっても条件の見方が変わります。
確認する項目は労働条件通知書の確認ポイント、働き方ごとの違いは薬剤師の求人は正社員だけ?にまとめています。
準備の材料はサービスの型によって変わる
想定質問を作るには求人票が要り、選考の進み方を知るには人に聞くほうが早くなります。
この2つは、利用の始まり方が違うサービスで分かれています。
会員登録型は求人票から質問を作れる
当サイトが整理している薬剤師向けサービスは12件で、うち会員登録から利用が始まる登録型はファーマキャリア、レバウェル薬剤師、ファゲットの3件です。
会員登録の時点で求人を確認できるため、必須要件を読んで想定質問を作る作業にそのまま使えます。
業態と勤務地を固定して10件ほど集めると、必須要件に並ぶ項目の傾向が見えます。
登録だけで進める使い方は薬剤師が面談なしで求人を見るには?にまとめています。
面談実施型は選考の進み方を聞ける
求人票からは、面接が何回あるか、面接官が誰かといった選考の形は読み取れません。
当サイトのデータでは面談実施型が6件あり、薬剤師の派遣・転職 お仕事ラボ、ファルマスタッフ、アイリード、ヤクジョブ、MC─ファーマネット、セルワーク薬剤師が該当します。
方向が固まっているほど、聞ける内容は具体的になります。
まだ決めていない段階での使い方は薬剤師は相談だけでサービスを使ってよい?で扱っています。
対応地域と雇用形態を先に確認する
薬剤師向けの12件はすべて全国を対象としており、勤務地によって使えるサービスが変わる構成にはなっていません。
一方で雇用形態は、正社員のみを扱うものと、正社員と派遣の双方を含むものに分かれます。
複合に該当するのは、お仕事ラボ、薬剤師の派遣・転職 お仕事ラボ、ファルマスタッフ、アイリードの4件です。
正社員以外も検討する場合は、対象の雇用形態を先に確認しておくと無駄がありません。
まとめ
- 面接の中心になるのは免許ではなく、業態ごとの実務の中身
- 応需枚数と科目構成を先に書き出しておくと、多くの質問に使い回せる
- 業態を変える理由は、前職の不満ではなく次の業務との接続で話す
- 疑義照会やインシデントの質問には、判断の是非ではなく確認と報告の手順で答える
- 調剤薬局・病院・ドラッグストア・在宅では、質問の中身そのものが入れ替わる
- 求人票から質問を作るなら登録型3件、選考の進み方を聞くなら面談実施型6件と使い分ける



