ドラッグストアの求人を見ていると、薬剤師と登録販売者の募集が並んで掲載されていることがあります。
どちらも医薬品を扱う仕事に見えますが、法律上の位置づけはまったく別のものです。
ここでは、扱える医薬品の範囲、資格を得るまでの道筋、店舗の許可という3点で整理します。
どちらが上かという話ではなく、担当できる範囲がどこで分かれているのかという話です。
扱える医薬品の範囲が法律で分かれている
一般用医薬品は3つに区分されている
薬機法(医薬品医療機器等法)は、一般用医薬品を第一類・第二類・第三類に区分しています。
区分は、副作用などのリスクの程度に応じて定められたものです。
この区分に応じて、販売できる者と、販売時に必要な情報提供の扱いが変わります。
区分は商品ごとに決まっており、店舗側が選べるものではありません。
店頭で陳列の場所が分かれているのも、この区分に対応しています。
登録販売者が扱えるのは第二類と第三類
登録販売者が販売を担当できるのは、第二類医薬品と第三類医薬品です。
第一類医薬品を販売できるのは薬剤師に限られ、販売の際には薬剤師が書面を用いて情報提供を行うことが義務づけられています。
第二類医薬品についての情報提供は努力義務とされています。
つまり、同じ売り場に並んでいる商品でも、薬剤師が不在のときに販売できるものとできないものが分かれます。
店舗の運営から見れば、薬剤師をどの時間帯に配置するかが、売り場で扱える範囲を左右するということです。
調剤と要指導医薬品は薬剤師の業務
処方箋に基づく調剤は、薬剤師の業務として薬剤師法第19条に定められています。
薬剤師でない者が販売または授与の目的で調剤することは認められていません。
登録販売者が調剤を担当することはできない、という線がここで引かれます。
また、要指導医薬品と呼ばれる区分については、薬剤師が対面で情報提供と指導を行ったうえで販売することとされています。
一般用医薬品とは別の扱いが定められている区分です。
制度の細部は改正されることがあるため、実際の運用は厚生労働省の案内で確認してください。
資格を得るまでの道筋も別の制度
薬剤師は国家資格、登録販売者は都道府県の試験と登録
薬剤師になるには、6年制の薬学課程を修めて卒業し、薬剤師国家試験に合格したうえで免許を受けることが必要です。
教育課程が資格の前提に組み込まれている構造です。
一方、登録販売者は、都道府県が実施する試験に合格し、都道府県知事の登録を受けることで業務に従事できます。
試験の受験資格については、現在は学歴や実務経験を問わない形とされています。
要件は変更されたことがあるため、受験を検討する場合は各都道府県が公表している最新の要項を確認してください。
登録販売者には業務経験に応じた段階がある
登録販売者には、登録を受けた後の業務従事期間が一定に満たない間、単独で医薬品を販売できない扱いが定められています。
名札に「研修中」と表示する運用がとられているのは、この仕組みによるものです。
必要な従事期間の数え方は厚生労働省令に定められており、月ごとの勤務時間も算入の条件に関わります。
登録を受けた時点で一人前として扱われる制度ではないという点は、薬剤師の免許との違いになります。
具体的な期間と数え方は、厚生労働省または各都道府県の案内で確認してください。
名称が似ていても比較の軸が揃わない
「薬剤師のほうが上位資格」という説明を見かけますが、正確には上下ではなく、担当できる範囲を定めた別々の制度です。
登録販売者の制度は、一般用医薬品の販売という場面に限定して設けられています。
そのため、両者を難易度や取得期間だけで並べても、実務での役割の違いは見えてきません。
比べるのであれば、扱える医薬品の区分と、店舗で担える立場の2つで並べるほうが実態に対応します。
店舗の許可の違いが求人に現れる
薬局と店舗販売業は別の許可
医薬品を扱う店舗には、薬局として許可を受けているものと、店舗販売業として許可を受けているものがあります。
調剤を行えるのは薬局で、店舗販売業では一般用医薬品などの販売のみを扱います。
ドラッグストアという呼び方は、この許可の区別とは対応していません。
調剤室を併設している店舗は薬局として許可を受けており、併設していない店舗は店舗販売業として営業しています。
同じチェーンの店舗でも、許可の種類は店舗ごとに違うことがあります。
管理者の置き方も許可によって変わる
薬局には管理薬剤師を置くことが義務づけられています。
一方、店舗販売業には店舗管理者を置くこととされており、扱う医薬品の区分によって、薬剤師でなければならない場合と、登録販売者が務められる場合が分かれます。
つまり、店舗販売業では登録販売者が管理者としての立場に就く道が制度上あるということです。
ここは薬剤師と登録販売者の役割が最も分かりやすく分かれる部分になります。
薬局側の管理者については、薬機法が指定と実地の管理を定めています。
求人票では店舗の種別と併設の有無を見る
以上を踏まえると、ドラッグストアの求人で確認すべき項目が絞れます。
調剤室を併設しているか、処方箋の応需枚数はどの程度か、薬剤師と登録販売者がそれぞれ何名在籍しているか、開店時間のうち薬剤師が配置される時間帯はどうなっているか、といった点です。
併設の有無によって、業務の中身が調剤中心になるのか、OTCの相談対応が中心になるのかが変わります。
業態ごとの求人の読み分けはドラッグストアと病院、薬剤師の転職はどう違う?、読む場所の一般的な整理は求人票のどこを読むかにまとめています。
求人を見比べる段階での進め方
同じ店舗で募集が2つ出ている理由
一つの店舗で薬剤師と登録販売者の募集が同時に出ていることがあります。
これは同じ仕事を二重に募集しているのではなく、担当できる範囲が違う人員をそれぞれ配置する必要があるためです。
求人票の業務内容の欄を読むと、どちらの役割として採用されるのかが書かれています。
募集の職種名と業務内容が対応しているかを確認しておくと、入職後の想定がずれにくくなります。
業態を絞る前は登録型で並べる
当サイトが整理している薬剤師向けのサービスは12件で、いずれも全国を対応地域としています。
会員登録から始まる登録型は3件で、まず求人の分布を眺める段階に向いています。
業態を決める前の段階では、調剤薬局・ドラッグストア併設店・病院といった単位で条件を並べると、勤務時間や休日の形の差が見えてきます。
進め方は薬剤師が面談なしで求人を見るには?、迷っている段階での手順は転職するか迷っている段階では何をする?にまとめています。
絞った後は面談実施型で配置を聞く
面談実施型は6件です。
売り場での薬剤師の配置、登録販売者との分担、調剤と接客の時間配分は、求人票からは読み取りにくい部分です。
面談を伴う形であれば、これらを直接尋ねられます。
聞く項目は3つほどに絞ると話がまとまります。
処方箋の応需枚数、在籍する薬剤師と登録販売者の人数、募集の背景が増員か欠員か、の3点はどの業態でも共通して使えます。
まとめ
- 薬機法は一般用医薬品を第一類・第二類・第三類に区分し、販売できる者を分けている
- 登録販売者が扱えるのは第二類と第三類で、第一類は薬剤師に限られる
- 処方箋に基づく調剤は薬剤師法第19条に基づく薬剤師の業務で、要指導医薬品も薬剤師が扱う
- 薬剤師は6年制課程と国家試験、登録販売者は都道府県の試験と登録という別の制度
- 登録販売者には業務従事期間に応じた段階があり、登録の時点で単独販売ができるわけではない
- 店舗は薬局と店舗販売業に分かれ、調剤を行えるのは薬局のほう
- 店舗販売業の店舗管理者は、扱う区分によって登録販売者が務められる場合がある
- 求人票では、調剤室の併設・応需枚数・薬剤師と登録販売者の在籍人数を確認する



