薬剤師向けの転職サービスを調べ始めると、聞いたことのない社名が次々に出てきます。
判断の手がかりとして「知っている会社が運営しているか」を見る人は少なくありません。

ただし薬剤師の分野では、この基準がそのまま使える状況にはなっていません。
当サイトが扱っている12件のうち、大手が運営するものとして整理しているのは2件だけです。
ここでは、その2件の中身と、大手という基準の限界を整理します。

運営会社を確認する意味

渡す情報が職場と結びつきやすい

転職サービスに登録すると、氏名や連絡先に加えて、薬剤師免許の保有、現在の勤務先の業態、扱ってきた処方の科目、在宅対応の経験までを運営会社に伝えることになります。
薬剤師は資格の保有者数が限られる職種であり、勤務先の業態と地域を組み合わせると、個人が絞り込まれやすい情報になります。

同じ地域の薬局や医療機関はつながりを持っていることが多く、転職を検討していること自体が伝わることを避けたいと考える人がいます。
運営会社の情報管理体制を登録前に確認しておくことは、この懸念に対する現実的な備えになります。

転職活動が数ヶ月続いても使えるか

薬剤師の転職では、業態を変えるかどうかから検討が始まることがあり、その分だけ活動期間が長くなりやすい傾向があります。
業態ごとに確認すべき項目が違うため、比較に時間がかかるためです。
業態による違いはドラッグストアと病院、薬剤師の転職はどう違う?にまとめています。

活動を一度中断して数ヶ月後に再開する場合、サービスが存続していれば同じ登録情報から再開できます。
複数の事業を展開している運営会社であれば、特定分野の採用が一時的に落ち込んでもサービス自体が急になくなる可能性は相対的に低いと考えられます。

確認は会社概要のページで済む

運営会社を調べる作業は、登録前の数分で終わります。
各サービスのサイトには、フッターや「運営会社」「会社概要」のページに社名が記載されています。

あわせて見ておくとよいものが2つあります。
人材紹介を行う事業者には厚生労働大臣の許可が必要で、許可を受けた事業者には許可番号が付されます。
もう1つはプライバシーマークやISMS認証といった第三者機関の認証で、個人情報の取り扱い体制を見る手がかりになります。
この確認は大手かどうかに関係なく同じ手順で行えます。

当サイトのデータでは大手運営は2件

レバウェル薬剤師

レバレジーズ株式会社が運営する薬剤師向けのサービスです。
同社は看護師向けの「レバウェル看護」、ITエンジニア向けの「レバテック」など、職種を絞ったサービスを複数展開しています。
人材領域で職種特化のサービスを長く運用してきた運営会社にあたります。

当サイトのデータでは、会員登録から利用が始まる登録型で、対象は正社員の求人、対応地域は全国です。
面談を前提としていないため、まず求人の中身を見たいという段階から使えます。

ファルマスタッフ

薬剤師の求人・派遣・転職を扱うサービスです。
調剤薬局を全国に展開する企業グループの人材サービス会社が運営しています。
運営会社の正式名称は公式サイトの会社概要ページに記載されているため、登録前に確認してください。

当サイトのデータでは、担当者との面談を伴う面談実施型で、対応地域は全国です。
扱う雇用形態は正社員に限定されず、派遣を含む複合として登録されています。
名称に「派遣」が含まれている通り、正社員以外の働き方も検討対象に入れている場合の候補になります。

2件は進み方も雇用形態も違う

同じ「大手が運営するサービス」でも、この2件は性格が異なります。

サービス 進み方 扱う雇用形態 対応地域
レバウェル薬剤師 登録型 正社員 全国
ファルマスタッフ 面談実施型 正社員と派遣を含む複合 全国

登録型は自分のペースで求人を見られる代わりに、条件のすり合わせは自分で進めます。
面談実施型は情報量が多い代わりに、日程の確保が必要です。
この違いは、運営会社の規模とは無関係に決まっています。

大手2件だけでは候補がそろわない

選択肢が2つでは比較にならない

12件のうち大手運営は2件です。
しかもその2件は進み方が分かれているため、「まず求人だけ見たい」という条件を立てた時点で、大手の中では候補が1つに決まってしまいます。
比較したつもりが、実質的に選択肢が1つしかない状態になります。

薬剤師の分野で大手という基準を使うのであれば、それは候補を絞る条件ではなく、候補に加えるかどうかの一材料として扱うほうが実態に合っています。

対応地域では大手と他を区別できない

職種によっては、大手が全国対応で中小が地域限定という分かれ方をすることがあります。
薬剤師の分野ではこの分かれ方が起きていません。
当サイトが扱う12件はいずれも全国を対応地域としており、勤務地によって使えるサービスが変わる構成にはなっていないためです。

つまり、対応地域は大手を選ぶ理由になりません。
地方で探す場合の考え方は転職サービスは地方でも使える?にまとめています。
全国対応という表示が、求人の密度まで保証するものではない点は薬剤師でも同じです。

知名度と扱う求人の中身は別

薬剤師の求人は、調剤薬局・病院・ドラッグストア・企業と業態が分かれ、それぞれ確認すべき項目が違います。
運営会社の知名度と、特定の業態でどれだけ求人を持っているかは連動しません。

判断に迷う場合は、登録型のサービスで希望する業態の求人を10件ほど見るのが早い方法です。
掲載されている求人の内容が、そのサービスの得意領域をそのまま示します。
進め方は転職するか迷っている段階では何をする?にまとめています。

大手以外を含めた候補の作り方

進み方で分けて候補を作る

大手かどうかではなく、進み方で分けたほうが候補は作りやすくなります。
当サイトのデータでは、会員登録から利用が始まる登録型が3件、担当者との面談を伴う面談実施型が6件あり、そのほかに申し込み後の連絡から始まる申込型があります。

面談実施型の比率が高いのは、業態によって働き方が大きく違い、希望を聞かないと紹介先を絞れないという構造によるものと考えられます。
まだ業態を決めていない段階では登録型、業態が固まってから面談実施型という順番が無駄が少なくなります。
面談の要否で選ぶ方法は薬剤師が面談なしで求人を見るには?で扱っています。

雇用形態で分けて候補を作る

正社員以外の働き方も検討している場合は、扱う雇用形態が候補を分ける条件になります。
当サイトのデータでは、雇用形態が複合として登録されているサービスが4件あり、残る8件は正社員を対象としています。

大手運営の2件のうち、複合を扱っているのはファルマスタッフの1件だけです。
雇用形態を条件にすると、大手という括りはさらに機能しなくなります。
雇用形態ごとの違いは薬剤師の求人は正社員だけ?にまとめています。

対象条件で分けて候補を作る

サービスによっては、対象となる人の条件が設定されています。
薬剤師免許の保有は共通の前提ですが、次年度に免許を取得予定の薬学生を対象に含めているサービスや、対象年齢を定めているサービスがあります。

条件から外れている場合、登録しても紹介には進みません。
大手かどうかを調べるより先に、自分が対象に入るかを確認するほうが手戻りが少なくなります。
条件は各サービスの登録前のページで確認できます。

規模ではなく検討段階で選ぶ

いまの段階に合う進み方から始める

転職するかどうかを決めていない段階であれば、登録型から始めるのが負担の軽い進め方です。
同じ業態・同じ経験年数の求人がどの条件で出ているかを見て、いまの職場の条件を判断する材料にします。

応募を具体的に考える段階に入ってから、面談実施型に進みます。
この時点なら扱ってきた処方の科目や在宅の経験を自分の言葉で説明できる状態になっているため、紹介の精度が上がります。
相談だけで使ってよいかという点は薬剤師は相談だけでサービスを使ってよい?で扱っています。

併用したら応募先を自分で記録する

複数のサービスを併用していると、同じ薬局や病院の求人を別々の担当者から紹介される場面が出てきます。
同一の勤務先に複数の経路から応募すると、採用側で重複として扱われる場合があります。

併用そのものを避ける必要はありませんが、どのサービス経由でどこに応募したかは自分で記録しておきます。
併用の考え方は転職エージェントは何社まで併用してよいかにまとめています。

合わないと感じたら止めてよい

登録した後に紹介される求人の傾向が希望と違うと感じた場合、無理に使い続ける必要はありません。
薬剤師向けサービスの多くは登録・利用ともに無料であり、退会や利用停止の手続きは問い合わせフォームや担当者への連絡で完結します。

判断に迷ったときに戻るのは、運営会社の知名度ではなく、自分が決めた条件です。
業態・勤務地の範囲・雇用形態・面談の要否の4つが決まっていれば、社名を知らないという理由だけでサービスを外す必要はなくなります。

まとめ

  • 当サイトが扱う薬剤師向けサービス12件のうち、大手運営として整理しているのは2件
  • 2件は登録型と面談実施型に分かれ、扱う雇用形態も違うため、大手という括りでは比較にならない
  • 12件すべてが全国対応のため、対応地域では大手と他を区別できない
  • 候補は大手かどうかではなく、進み方・雇用形態・対象条件の3つで分けて作る
  • 運営会社の確認手順は、許可番号と第三者認証を見るという点で大手も他も変わらない
  • 検討段階に合う進み方から始め、併用する場合は応募先を自分で記録する