就活のサービスを調べると、企業を紹介するものが多く並びます。
その中に、求人を紹介せず、エントリーシート(ES)や自己PRの中身だけを扱うサービスがあります。
役割が違うため、エージェントの代わりにはならず、逆にエージェントでは埋まらない部分を埋めることもあります。
ここでは、両者の違いと、書類支援を使う前後にやることを整理します。

ESでつまずくのは書き出しではない

同じ材料を何社にも出すことになる

ESは1社ごとに設問が違いますが、書く材料は自分の中にしかありません。
学生時代に取り組んだこと、力を入れたこと、人と関わった経験。
この限られた材料を、企業ごとの設問に合わせて組み替える作業が続きます。

材料が整理されていないと、設問を読むたびに一から考え直すことになります。
手が止まるのは書き出しではなく、材料が言葉になっていない段階であることが多いところです。

応募社数が増えるほど負荷が積み上がる

2027年卒(2026年5月1日時点)の内定率は67.0%(文系65.7%・理系69.6%)でした(出典: 就職みらい研究所)。
一方、2026年卒の大卒求人倍率は平均1.66倍ですが、従業員300人未満の企業では8.98倍という水準が続いています(出典: リクルートワークス研究所)。

規模による差が大きいため、大手を中心に見るほど応募社数は増えます。
応募が増えれば、それだけESの提出も増えます。
1枚あたりにかけられる時間は自然に減っていきます。

自分の書いたものは自分では読めない

書いた本人には、前提が共有されていない読み手の視点が持てません。
所属していた団体の規模、担当した役割、何が難しかったのか。
本人には自明でも、初めて読む人には伝わらないことがあります。

この部分は、時間をかけても自力では埋まりにくいところです。
他人に読んでもらう工程が要るのは、努力の量ではなく視点の問題だからです。

通らなかった理由は返ってこない

選考に進まなかった場合、その理由が伝えられることはほとんどありません。
ESが原因だったのか、適性検査だったのか、そもそも募集の枠の問題だったのかも分かりません。

そのため、落ちた回数から書類の質を推し量ることはできません。
改善の手がかりは、結果ではなく読んだ人の指摘から取ります。
第三者に読んでもらう工程が必要になるのは、この点でも同じです。

就活サービスは役割で分かれている

求人を紹介する型

企業からオファーが届くオファー型と、面談を経て求人を紹介する型があります。
共通しているのは、最終的に応募先の企業が示される点です。
役割の整理は新卒就活は登録だけで進められる?にまとめています。

この型では、選考対策も受けられることがありますが、紹介される企業の選考が前提になります。
まだ志望先が定まっていない段階では、対策の的が絞りにくくなります。

書類の作成に絞った型

当サイトのデータでは、赤ペンESとSmartESがこの型にあたります。
いずれも区分は登録型で、対応地域は全国です。
会員登録の時点から使い始められます。

赤ペンESはESの添削を扱うサービス、SmartESはESやガクチカの作成を支援するサービスです。
どちらも求人紹介を目的としていないため、志望先が決まっていない段階でも使えます。
具体的な機能や利用条件は各サービスのサイトで確認してください。

情報を集める型

企業の口コミや選考の体験談を集めるサイト、OB/OG訪問をつなぐアプリもあります。
これらは書類そのものを扱いませんが、書く材料を増やす役には立ちます。
当サイトのデータでは就活会議とMatcherが登録型・全国対応で掲載されています。

3つの型は役割が違うため、どれか1つで完結しません。
いま足りないのが企業なのか、文章なのか、情報なのかで選ぶものが変わります。

ES特化サービスとエージェントの違い

求人が付いてくるかどうか

最も大きな違いはここです。
エージェントは求人紹介を目的にしており、面談を通じて志望を聞き、企業を提示します。
ES特化サービスは書類の中身だけを扱い、応募先は自分で決めます。

そのため、すでに応募したい企業がある場合はES特化サービスが噛み合い、応募先そのものを探している場合はエージェントやオファー型が噛み合います。
目的が違うだけで、優劣の話ではありません。

志望動機の扱いが違う

エージェントは紹介する企業の情報を持っているため、志望動機の材料を一緒に考えられることがあります。
ES特化サービスは、こちらが持っている情報の範囲で文章を整えることになります。

志望動機が薄いと感じている場合、書き方の問題ではなく調べる量の問題であることがあります。
その場合はES特化サービスに出す前に、口コミやOB/OG訪問で情報を足すほうが先です。
軸が決まらない段階の進め方は就活の軸が決まらないときは?で扱っています。

使い始められる時期が違う

エージェントやオファー型は、対象の卒業年次が定められていることが多くあります。
ES特化サービスも対象条件は各社で異なりますが、書類の準備は選考が始まる前からできる作業です。

早い時期に材料を言葉にしておくと、応募が重なる時期に組み替えるだけで済みます。
時期の考え方は就活・転職はいつ動けばよいかにまとめています。

大学のキャリアセンターとも役割が違う

大学のキャリアセンターでも書類を見てもらえます。
学内の過去の応募実績を持っている点は、外部のサービスにはない材料です。
一方で、応募が集中する時期には予約が取りにくくなります。

外部のサービスと排他の関係ではありません。
同じ文章を複数の人に見せると、指摘が一致した箇所が本当の弱点だと分かります。
一致しない指摘は好みの差であることが多く、そこは自分の判断で残します。

添削に出す前に自分でやること

事実を先に並べる

添削は、書かれているものを直す作業です。
材料が入っていない文章を渡しても、直せる範囲は限られます。
まず、いつ・どこで・何人の中で・何を担当し・どうなったかを、飾らずに箇条書きで並べます。

この段階では文章にする必要はありません。
事実が並んでいれば、どれを使うかは後で選べます。
材料の量が、書き直せる回数を決めます。

材料が学業と課外活動に偏っている場合は、インターンでの経験も並べます。
短い期間のものでも、何を任され何を判断したかは書けます。
インターンと本選考の関係はインターンは本選考につながる?で扱っています。

文字数から逆算して入れる要素を決める

400字と800字では、入る要素の数が違います。
400字なら、状況・課題・行動・結果の4つでほぼ埋まります。
文字数を見ずに書き始めると、後から削る段階で何を残すかを考えることになります。

先に要素を決め、それぞれに割く字数を仮に置いてから書きます。
この手順を踏むと、削る作業が並べ替えの作業に変わります。
削るのは文章ではなく、要素の数です。

設問が何を聞いているかを分解する

同じ「学生時代に力を入れたこと」でも、設問文には条件が付いていることがあります。
文字数、複数可か1つか、成果を書くのか過程を書くのか。
ここを読み違えると、内容が良くても設問に答えていない状態になります。

設問を分解し、聞かれている要素を先に列挙してから書き始めます。
この手順を踏むだけで、直しの回数は減ります。

直せるのは表現で、材料は自分で足す

添削で改善できるのは、順序・言葉の選び方・情報の過不足といった表現の部分です。
経験そのものを増やすことはできません。
「書くことがない」と感じている状態は、文章の問題ではなく材料の問題です。

この場合、添削を何度受けても手応えは変わりません。
足りないのが表現か材料かを見分けてから、どちらに時間を使うかを決めます。
材料が足りないなら、残りの期間で取り組めることを探すほうが早くなります。

材料はあるのに書けない場合、経験の粒度が粗すぎることがあります。
「サークルの代表を務めた」で止めず、何人の集まりで、いつ、何をどう変えたかまで下ろします。
粒度を1段落とすだけで、書ける分量は増えます。

出来上がった文章をそのまま出さない

面接では同じ内容を口頭で聞かれる

書類が通れば、その内容について面接で質問されます。
書いた本人が説明できない表現が混じっていると、そこで止まります。
添削でも作成支援でも、最後に自分の言葉へ戻す工程は省けません。

声に出して読み、詰まった箇所を書き換えます。
詰まるのは、自分の理解が追いついていない箇所です。
面接での準備の考え方は新卒・第二新卒の就活市場はいま?でも触れています。

事実と違う内容を書かない

見栄えを整える過程で、担当していない役割や、確認できない成果が入り込むことがあります。
選考の場で確認されたときに説明できなくなるうえ、入社後の前提もずれます。

書き換えてよいのは表現であって、事実ではありません。
材料が足りないと感じたときは、盛るのではなく別の経験を探します。

使い回してよい範囲を決めておく

複数社に応募する以上、使う材料は重なります。
同じ経験を何社にも出すこと自体に問題はありません。
問題になるのは、設問が違うのに文章をそのまま貼るときです。

設問の言葉に合わせて、結論の置き場所と順序を入れ替えます。
使い回せるのは事実の部分で、書き出しと締めは設問ごとに作り直します。
応募が重なる時期の予定の組み方は就活・転職はいつ動けばよいかにまとめています。

まとめ

  • ESでつまずくのは書き出しではなく、材料が言葉になっていない段階であることが多い
  • 就活サービスは、求人を紹介する型・書類の作成に絞った型・情報を集める型に分かれる
  • 当サイトのデータでは、赤ペンESとSmartESが登録型・全国対応で、書類の中身だけを扱う
  • エージェントとの違いは求人が付いてくるかどうかで、応募先が決まっているならES特化が噛み合う
  • 落ちた理由は返ってこないため、改善の手がかりは結果ではなく読んだ人の指摘から取る
  • 添削に出す前に事実を並べ、出来上がった文章は面接で話せる言葉に戻してから提出する