コンサルティングの仕事は、成果物が資料と助言であるため、独立しやすい職種として語られることがあります。
設備も在庫も要らず、一人でも始められる。
実際、その通りではあります。
ただし、始められることと続けられることは別です。
ここでは、独立を検討する段階で確認できることを整理し、2024年11月に施行されたフリーランス新法が何を定めているのかをまとめます。
収入の事例は個別の事情に左右されるため扱いません。
判断の材料になる構造の話に絞ります。
独立は「会社が持っていた機能」を引き受けること
実務以外の仕事が増える
会社に所属していると、案件を取ってくる、契約を交わす、請求を出す、入金を確認する、支払いが遅れたら催促する、という一連の業務は誰かが担っています。
独立すると、これを自分で行うことになります。
さらに、健康保険と年金の切り替え、確定申告、経費の管理も加わります。
実務にかけられる時間は、会社にいたときより減ります。
同じ単価で同じ時間働けるという前提で計算すると、想定は外れます。
収入が月単位で動かなくなる
給与は毎月同じ日に同じ額が入りますが、業務委託の報酬は案件の締めと支払いのサイクルに従います。
案件が切れれば、その月の収入はゼロになります。
売上があっても手元に入るまでに時間差があるため、支払いが先に来る月が出ます。
この時間差に耐えられるかどうかは、金額よりも手元の資金がどれだけあるかで決まります。
在籍中にしか確認できないことがある
住宅ローンやクレジットカードの審査、社会保険の扱い、退職金や企業年金の受け取り方は、在籍中のほうが確認しやすい項目です。
辞めた後で調べ始めると、選択肢が減っていることがあります。
独立を検討し始めた段階で、まず確認するのはこの手続きの側です。
やりたいかどうかを考える前に、動ける条件を数えておくほうが順序として無駄がありません。
判断の材料になる3つの点
単独で完結できる領域があるか
コンサルの仕事は、チームで分担して成立するものが多くあります。
分析を担う人、資料をまとめる人、クライアントと交渉する人が分かれている前提で回っている案件では、一人で同じ成果物を出せません。
そのため、独立を検討するときに確認するのは、自分ひとりで受けて完結できる範囲がどこまでかです。
特定の業務領域、特定の業界、特定の工程のいずれかで、単独で完結できる形を持っているかどうかが分かれ目になります。
領域による違いはコンサルは領域で選び方が変わるにまとめています。
職位が上がるほど案件を回す側に寄るという構造はコンサルの役職とは?で扱っています。
案件の入口を持っているか
独立して最初に直面するのが、案件をどこから取るかです。
前職のクライアントに直接声をかける形は、競業避止や引き抜きに関する取り決めが契約にある場合、そのまま実行できないことがあります。
在籍中に結んだ契約の内容は、独立を考え始めた時点で確認しておく項目です。
判断に迷う内容であれば、退職前に弁護士等の専門家に相談するのが確実です。
この記事では個別の契約の解釈には踏み込みません。
空白期間に耐えられるか
案件が途切れる期間は必ず出ます。
契約の更新が見送られる、プロジェクトが延期される、といった事情は自分の力では動かせません。
耐えられる期間を月数で置いておくと、判断の基準ができます。
6ヶ月耐えられるのか、2ヶ月しか耐えられないのかで、取れるリスクの量が変わります。
ここを数えずに始めると、条件の悪い案件を断れなくなります。
2024年11月に施行されたフリーランス新法
何を定めた法律か
2024年11月1日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が施行されました。
フリーランス新法と呼ばれる法律です(出典: 政府広報オンライン、厚生労働省)。
この法律は、フリーランスに業務を委託する側に対して、取引条件を書面等で明示する義務、報酬の支払期日に関する規制、ハラスメントへの対策を講じる義務などを定めています(出典: 政府広報オンライン、厚生労働省)。
なぜ独立の判断に関わるのか
独立を検討する人にとって、この法律が意味するのは取引条件が曖昧なまま進む状況が、制度として減る方向にあるということです。
業務委託で問題になりやすいのは、依頼の範囲が口頭で決まり、後から作業が増え、報酬の支払いが遅れる、という流れです。
取引条件の明示と支払期日が法律で定められたことは、この流れに歯止めをかけるものになります。
ただし、法律があることと、実際の取引で守られることは同じではありません。
書面を受け取っているか、支払期日が明記されているかは、自分で確認する項目として残ります。
守られる範囲と、相談する先
この法律の対象は「特定受託事業者」と定義される事業者で、業務を委託する側にも一定の要件があります。
自分の取引が対象に当たるかどうかは、契約の形態によって変わります。
判断に迷う場合や、取引でトラブルが起きた場合は、公的な相談窓口が用意されています。
厚生労働省が案内している相談窓口のほか、都道府県労働局の総合労働相談コーナーでも相談を受け付けています。
この記事は法律の内容を紹介するにとどまり、個別の事案の判断には踏み込みません。
独立と転職は排他ではない
領域を作ってから独立するという順序
独立が難しいのは、単独で完結できる領域を持っていない段階で外に出た場合です。
逆に言えば、その領域を作る場所として在籍先を選ぶ、という考え方が成立します。
いま所属しているファームで担当できる案件が限られているなら、領域を広げるために転職するという選択肢があります。
独立するかどうかを決める前に、独立できる状態を作れる場所にいるかを確認する順序です。
独立後に組織へ戻る場合
独立した後、再び組織に入る人もいます。
この場合に見られるのは、独立していた期間そのものより、その間に何を担当し、どういう規模の案件を回したかです。
案件の規模、期間、関わった人数、どこまで自分で判断したかを記録に残しておくと、後から説明できます。
書き出す順序は職務経歴書はいつ作ればよいかにまとめています。
ポストコンサルの受け皿は時代によって変わってきたため、一つの進路に固定しないほうがよいという点はコンサル転職の後悔はどこで起きるかで扱っています。
サービスの守備範囲を確認する
当サイトのコンサル向けサービスは正社員が対象
独立を選択肢に入れている場合でも、正社員の求人を並行して見ておく意味があります。
条件を比べる基準がないと、独立後の報酬が高いのか低いのかを判断できません。
ここで確認しておきたいのが、サービスの守備範囲です。
当サイトが扱うコンサル向けのサービスは、いずれも正社員の求人を対象としています。
独立後の案件を探す経路とは別のものになります。
案件を扱うサービスを使う場合は、当サイトの掲載範囲の外で探すことになります。
対象年齢や希望時期の条件がある
コンサル向けのサービスには、対象条件が定められているものがあります。
MyVisionは面談実施型で対象年齢24〜39歳、Groovement Agentは面談実施型で大卒以上かつ24〜34歳の正社員転職検討者が対象です。
CDBエージェントは面談実施型で50歳未満かつ転職希望時期が半年以内の方、コンコードエグゼクティブグループは面談実施型で対象年齢22〜54歳とされています。
独立を先に検討して数年経ってから正社員での転職に戻る場合、年齢の区切りで候補が減ることがあります。
条件は登録前に読める項目なので、選択肢を残しておきたいなら先に確認します。
年代別の見方は未経験からコンサルに転職できる?にまとめています。
まず相場を見るなら登録型
面談を伴わずに求人と年収レンジを見たい段階であれば、登録型が向いています。
当サイトのデータでは、LHH転職エージェント、NewMA、転職AI for コンサルタントが登録型で、いずれも全国が対象です。
正社員の条件を並べたうえで、独立した場合の想定と比べると、判断の材料がそろいます。
登録型の使い方はコンサル転職は面談なしで進められる?、市場全体の動きはコンサル業界の転職市場はいま?にまとめています。
まとめ
- 独立は、会社が担っていた営業・契約・請求・保険や年金の手続きを自分で引き受けること
- 収入は月単位で動かなくなるため、手元の資金で何ヶ月耐えられるかを先に数える
- 判断の材料は、単独で完結できる領域・案件の入口・空白期間への耐性の3点
- 2024年11月にフリーランス新法が施行され、取引条件の明示・報酬支払期日・ハラスメント対策が定められた
- 法律があることと実際に守られることは別で、書面と支払期日の確認は自分で行う
- 当サイトが扱うコンサル向けサービスはいずれも正社員の求人が対象で、独立後の案件探しとは経路が違う



