「コンサル業界に転職したい」と考えたとき、最初につまずくのは、コンサルという言葉が指す範囲が広すぎることです。
同じ語で呼ばれていても、扱うテーマも求められる経験もかなり違います。
ここでは、領域がどう分かれているのか、領域ごとにどこまで数字が確認できるのか、そしてサービスをどう選ぶかを順に整理します。
「コンサル」は一つの職種を指す言葉ではない
領域によって仕事の中身が違う
一般に「コンサル」と呼ばれる仕事は、扱うテーマによって呼び分けられています。
経営の方向性を扱う戦略系、業務改善から実行支援まで幅広く担う総合系、システムやデータ活用を扱うIT系、会計・人事・M&Aといった機能に特化した専門系などが挙げられます。
医療機関や介護事業者を対象とするヘルスケア領域のように、業界で区切られる呼び方もあります。
さらに、同じ「コンサルタント」という語でも、建設コンサルタントは建設分野の調査・計画・設計を担う業種を指し、経営コンサルティングとは別の職種として扱われます。
言葉が同じでも、求人が求める経験は違います。
求人を探し始める前に、自分が見ている求人がどの領域のものかを確認する必要があります。
市場は拡大しているが、領域別の内訳は分からない
国内コンサルティング市場は、2023年度に2兆23億円(前年比9.5%増)でした。
2030年度にはスタンダードケースで約2.5兆円まで拡大すると見込まれています(出典: コダワリ・ビジネス・コンサルティング)。
市場全体が伸びていることは、この数字から確認できます。
ただし、この数字は市場全体の規模であり、戦略系がいくら、IT系がいくらという領域別の内訳を示したものではありません。
市場が拡大しているからといって、自分が応募したい領域の求人が増えているとは限らないという点は、押さえておく必要があります。
数字として確認できるのはIT領域だけ
IT領域のコンサル求人倍率は31.6倍
レバテック株式会社の調査では、2026年6月時点でコンサルティング(IT領域)の求人倍率は31.6倍、PM求人は23.7倍でした。
コンサル関連求人は直近3年で約2.3倍に増加しています(出典: レバテック株式会社)。
この31.6倍という数字は、IT領域のコンサルに関する数値であり、戦略・総合系を含めた業界全体のものではありません。
レバテックはIT人材を対象とした調査を行っているため、対象範囲がIT領域に限られます。
数字を引用するときは、どの範囲の話なのかを合わせて確認する必要があります。
戦略・総合系の需給を示す数字は確認できていない
当サイトで調べた範囲では、戦略系や総合系のコンサルについて、求人倍率や充足率を示す出典の確認できる調査データは見つかっていません。
市場規模の数字はありますが、採用の需給を直接示すものではありません。
したがって、戦略系を目指す場合に「入りやすいのか」を数字で判断することはできません。
代わりにできるのは、自分が応募したい領域の求人を実際に集めて数えることです。
求人が何件あり、そのうち応募要件を満たすものが何件かという数字は、業界全体の倍率より自分にとって正確な材料になります。
前職の業界が、入れる領域を左右する
IT系からの流入が約39%を占める
OpenMoneyが転職レポート5,000件超を分析した「コンサル転職白書」(2026年4月)では、コンサルへの転職前の主な業界はSIer・ソフトウェア開発が29.1%で最多、IT系を合計すると約39%でした(出典: OpenMoney)。
転職時の平均年齢は29.8歳、中央値は29歳です。
IT系からの流入が4割近いという分布は、IT領域のコンサルで求人が多いという前述の数字と整合します。
前職の業界とコンサルの領域には、実際につながりがあるということです。
自分の経験がどの領域に接続するかを先に決める
領域を決めずに求人を眺めていると、要件が合わないものばかりが目に入ります。
先に決めるべきなのは、前職の経験がどの領域と接点を持つかです。
システムの要件定義を担当してきたならIT領域、経理や決算に関わってきたなら会計・財務の専門系、というように、経験から逆算して候補を絞ります。
この作業をしておくと、書類でどの経験を厚く書くかも同時に決まります。
書類の組み立て方はコンサル転職の選考対策で扱っています。
経験ではなく資格から領域を考えたい場合の判断材料は中小企業診断士はコンサル転職で有利?にまとめています。
領域特化をうたうサービスは当サイトのデータでは確認できない
掲載サービスはコンサル全般を対象としている
当サイトで整理しているコンサル向けサービスのデータには、戦略系専門、医療専門、建設専門といった領域特化を名乗るものは確認できませんでした。
掲載されているのはコンサル全般を対象としたサービスで、対応地域はいずれも全国です。
進み方で分けると次のようになります。
登録型はLHH転職エージェント、NewMA、転職AI for コンサルタント。
申込型はMyVisionコンサルティング、FlowX。
面談実施型はMyVision、CDBエージェント、コンコードエグゼクティブグループ、メーカーズジョブ、KOTORA、Groovement Agent、コンサルファーム出身者によるコンサル転職専門エージェントです。
領域は求人票と担当者への質問で確かめる
領域特化を名乗るサービスが見つからない以上、領域の絞り込みはサービス名からではなく、扱っている求人から判断することになります。
登録型であれば求人検索の条件で領域を絞れるため、どの領域の求人がどれだけあるかをその場で確認できます。
面談型であれば、担当者に直接尋ねる方法があります。
「この領域の求人をどの程度扱っているか」「担当者自身の出身領域はどこか」という質問は、公開情報からは分からない部分です。
サービスの名前ではなく、扱っている求人で判断するという順番になります。
領域を絞ってからサービスを選ぶ手順
まず求人を領域ごとに数える
応募したい領域を決めたら、その領域の求人を10件から20件ほど集め、必須要件と歓迎要件を書き出します。
共通して出てくる語が、その領域で求められている経験です。
ここで自分の経歴と噛み合わないと分かれば、領域を選び直す判断が早い段階でできます。
求人を見る作業は相場を知る意味でも役に立ちます。
転職するかどうかを決めていない段階での進め方は転職するか迷っている段階では何をする?にまとめています。
登録型で全体を見てから面談型へ
領域が固まっていない段階では、登録型で求人の広がりを見るところから始めるほうが無駄がありません。
全国対応の登録型で領域ごとの求人量を把握し、方向が決まってから面談型に進むと、面談での会話が具体的になります。
面談を伴わない使い方はコンサル転職は面談なしで進められる?で整理しています。
対象条件で候補が減ることを想定しておく
面談型のサービスには対象条件が定められているものがあります。
MyVisionは対象年齢24〜39歳、Groovement Agentは大卒以上かつ24〜34歳の正社員転職検討者、CDBエージェントは50歳未満で転職希望時期が半年以内の方、コンコードエグゼクティブグループは22〜54歳が対象です。
領域を絞ったあとに対象条件で候補が減ることがあるため、両方を並べて確認しておくほうが計画が崩れにくくなります。
年代別の整理は未経験からコンサルに転職できる?で扱っています。
まとめ
- 「コンサル」は一つの職種ではなく、戦略・総合・IT・専門系などで仕事の中身が違う
- 市場は2023年度2兆23億円まで拡大しているが、領域別の内訳は示されていない
- 求人倍率31.6倍はIT領域のコンサルの数字で、戦略・総合系全体のものではない
- 領域特化をうたうサービスは当サイトのデータでは確認できず、求人票と面談で領域を確かめる
- 領域を先に絞り、そのあとで対象条件に当てはまるサービスを選ぶ順番が無駄が少ない



