介護の現場で数年働くと、現場の介護を続けるのか、別の役割に移るのかという問いが出てきます。
そこで名前が挙がるのが、ケアマネジャー、生活相談員、サービス提供責任者の3つです。

この3つは並べて語られることが多いのですが、置かれる場所も、求められる資格も別々です。
ここでは生活相談員とサービス提供責任者に絞り、それぞれ何をする職種で、どういう資格要件があり、求人をどう探すのかを整理します。
ケアマネジャーについてはケアマネジャーへのキャリアアップにまとめているため、この記事では扱いません。

生活相談員とサービス提供責任者は別の職種

置かれる場所が違う

生活相談員は、特別養護老人ホーム、デイサービス、ショートステイといった施設系・通所系のサービスに置かれる職種です。
利用者や家族からの相談を受け、入所や利用の手続きを進め、施設内外の関係先と調整します。

サービス提供責任者は、訪問介護事業所に置かれる職種です。
訪問介護計画を作成し、担当する訪問介護員の調整や指導を行い、利用者やケアマネジャーとのやり取りを担います。
片方は建物の中で完結し、もう片方は複数の家庭に散らばった利用者を束ねます。
同じ「相談・調整」という言葉でも、動き方はまったく違います。

ケアマネジャーとも役割が分かれる

ケアマネジャーは、介護保険の給付につながるケアプランを作成し、複数の事業者の間を調整します。
生活相談員は所属する施設の利用に関わる相談と調整、サービス提供責任者は自分の事業所が提供する訪問介護の計画に関わる、という切り分けです。

3つの職種は関わる場面が重なりますが、立っている位置が違います。
この違いを押さえておかないと、求人票の職種名を読んでも仕事の中身が想像できません。

3つの職種を並べる

職種 主に置かれる場所 中心になる仕事
生活相談員 特養・デイサービス・ショートステイなど 入所や利用の相談、施設内外との調整
サービス提供責任者 訪問介護事業所 訪問介護計画の作成、訪問介護員の調整
ケアマネジャー 居宅介護支援事業所・施設・地域包括支援センター ケアプランの作成、複数事業者との調整

生活相談員の資格要件は法令と自治体の運用で決まる

省令が社会福祉法第19条第1項各号を引いている

特別養護老人ホームの場合、設備および運営に関する基準を定めた厚生労働省令が生活相談員の要件を規定しています。
そこでは、社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者、またはこれと同等以上の能力を有すると認められる者、という形で定められています。

つまり、生活相談員という名前の資格試験があるわけではありません。
別の資格や学歴の要件を満たすことで、その職に就ける状態になるという構造です。
この点を知らないまま「生活相談員の資格を取る方法」を探すと、探し方そのものがずれます。

社会福祉法第19条第1項各号に該当するもの

社会福祉法第19条第1項各号は、社会福祉主事の任用資格に関する規定です。
ここに挙げられているものには、次のようなものがあります。

  • 大学等において、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者
  • 指定された養成機関または講習会の課程を修了した者
  • 社会福祉士
  • 指定された社会福祉事業従事者試験に合格した者
  • これらに準ずる者として厚生労働省令で定める者

社会福祉主事任用資格は、それ自体が独立した免許証のような形で交付されるものではなく、上記の要件を満たしていることを指す呼び方です。
大学の履修内容で満たしている場合は、卒業証明書と成績証明書で確認することになります。

「同等以上」の運用は自治体によって異なる

要件の中にある「これと同等以上の能力を有すると認められる者」という部分は、解釈の幅が残されています。
ここに何を含めるかは自治体の運用によって異なり、介護福祉士やケアマネジャーの資格に一定の実務経験を加えたものを認めている自治体もあります。

そのため、別の都道府県へ移る転職では、いまの自治体で通用した要件がそのまま通るとは限りません。
応募を検討する段階で、その自治体が公表している基準を確認してください。
この記事では特定の自治体の運用を断定して書かないため、最終的な判断は該当自治体の公式の案内をもとに行ってください。

施設の種類によって置かれ方が変わる

生活相談員は、特別養護老人ホームだけでなく、デイサービスやショートステイにも置かれます。
介護老人保健施設では支援相談員という別の名称が使われます。

呼び方が違えば、根拠になる基準も別です。
求人票に「相談員」とだけ書かれている場合、どの制度に基づく職種なのかを確認する必要があります。
施設の形態ごとの違いは特養・老健・グループホームはどう違う?にまとめています。

サービス提供責任者は訪問介護事業所の職種

運営基準で配置が定められている

サービス提供責任者は、訪問介護事業所の人員に関する基準の中で配置が定められている職種です。
利用者の数に応じて必要な人数が決まる仕組みになっており、事業所の規模が大きくなれば配置される人数も増えます。

このため、募集が出るかどうかは事業所の利用者数と直接つながっています。
小規模な事業所では欠員が出たときにしか募集が発生しない、という前提で求人を見ることになります。

求められる資格は介護福祉士と実務者研修修了者が中心

サービス提供責任者になれる資格の範囲は、介護福祉士や実務者研修の修了者を中心に定められています。
過去には、より短い研修の修了と一定の実務経験の組み合わせで認められていた要件がありましたが、経過措置として扱われたのち整理されてきた経緯があります。

制度の細部は見直しが重ねられているため、いまの基準は厚生労働省が公表している資料と、指定を行う自治体の案内で確認します。
古い解説記事に書かれた要件をそのまま前提にしないでください。

仕事の中身は計画の作成と調整に寄る

訪問介護員として利用者の自宅に入る業務と、サービス提供責任者の業務は重なる部分がありますが、比重が変わります。
訪問介護計画の作成、担当する訪問介護員の割り振り、ケアマネジャーや家族とのやり取りに使う時間が増えます。

事業所によっては、サービス提供責任者が訪問にも入ります。
どの程度の割合で訪問を担当するかは事業所ごとに違うため、求人票または面談で確認する項目です。
訪問と施設の違いは訪問介護と施設介護、探し方はどう違う?で扱っています。

現場の介護職から移るときの準備

いまの業務のどこが接続するかを書き出す

どちらの職種でも、採用の場面で見られるものは現場の介護とは変わります。
身体介護の技術より、相談を受けた経験、家族と話した経験、他の職種と調整した経験が中心になります。

現場にいる間にも材料は集まっています。
サービス担当者会議に同席した、家族からの問い合わせに対応した、記録を他職種が読む前提で書いた、といった場面がそれにあたります。
書き出す順序は職務経歴書はいつ作ればよいかにまとめています。

兼務の範囲で一日の中身が変わる

生活相談員もサービス提供責任者も、他の業務との兼務が発生することがあります。
生活相談員が現場の介護に入る、サービス提供責任者が訪問に入る、といった形です。

兼務がどこまで想定されているかによって、相談や計画に使える時間が変わります。
求人票に書かれていないことが多いため、確認する項目として残しておきます。
面接で聞く内容の組み立て方は介護職の面接でよく聞かれることにまとめています。

資格を満たす順序を先に決める

要件を満たしていない場合、先に資格を整えるか、要件を満たす範囲の求人から入るかで進め方が変わります。
実務者研修や社会福祉主事任用資格に必要な科目の履修には、時間と費用がかかります。

現職に資格取得の支援制度があるかどうかで、有利な順序は変わります。
まず現職の制度を確認し、その結果で順序を決めるほうが現実的です。
無資格から介護職に入る段階の話は無資格・未経験から介護職になれる?で扱っています。

サービスの側は職種で分かれていない

求人を絞り込む条件として扱う

こうした事情から、職種を指定して探せる窓口があるのかという問いが出てきます。
当サイトで整理している介護・福祉向けサービス20件のデータでは、ケアマネジャーの資格保有者を対象条件にしたサービスはありますが、生活相談員やサービス提供責任者に特化したサービスは確認できていません。

そのため、この2つの職種は求人を絞り込む条件として扱うことになります。
クリックジョブ介護・ジョブソエル・メンラボジョブ・介護求人ラボ・かる・けるはいずれも全国を対象とする登録型で、会員登録を済ませた段階で求人を確認できます。
登録型の進み方は介護職は登録だけで求人を見られる?にまとめています。

面談実施型では配置と兼務の実態を聞ける

配置されている人数、兼務の範囲、資格要件をどう運用しているかは、求人票からは読み取れません。
当サイトのデータでは、ワークスタッフナビとMC介護のお仕事が全国を対象とする面談実施型です。
かいご畑には道府県を限定した面談実施型のラインがあり、介護タウンは愛知県・大阪府を対象としています。

対応地域内であれば、こうした質問を投げる相手として使えます。
対象外の地域では紹介できる求人がそもそも無いため、登録の前に対応地域を確認します。
地域ごとの探し方は地方の介護求人はどうなっているかにまとめています。

求人数を示すデータは確認できていない

生活相談員やサービス提供責任者に限った求人数や求人倍率を示す、出典の確認できるデータは当サイトでは見つかっていません。
そのため、この記事では「求人が多い」とも「少ない」とも書きません。

代わりにできるのは、登録型のサービスで自分の通える範囲の件数を数えることです。
施設系と訪問系のどちらに募集が多いかも、その場で分かります。
進め方は転職するか迷っている段階では何をする?にまとめています。

まとめ

  • 生活相談員は施設系・通所系、サービス提供責任者は訪問介護事業所に置かれる別々の職種
  • 生活相談員の要件は、省令が社会福祉法第19条第1項各号を引く形で定められている
  • 「同等以上の能力を有すると認められる者」の運用は自治体で異なるため、該当自治体の基準を確認する
  • サービス提供責任者は介護福祉士・実務者研修修了者が中心で、要件は見直されてきた経緯がある
  • 老健では支援相談員という別の名称が使われるため、求人票の「相談員」は職種を特定してから読む
  • 当サイトのデータでは、この2職種に特化したサービスは確認できていない