介護の求人を見ていると、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、デイサービスといった名称が並びます。
どれも高齢者の介護に関わる職場ですが、制度上の役割が違うため、働く側から見た一日の中身も変わります。
ここでは、この4つの形態がそれぞれ何をする場所なのかを整理し、求人を絞るときにどこを見ればよいかまでをまとめます。
訪問と施設という大きな分け方は訪問介護と施設介護、探し方はどう違う?で扱っているため、この記事では施設側の内訳に絞ります。
「施設」でひとくくりにすると条件が比べられない
制度上の役割が形態ごとに決まっている
介護保険のもとで提供されるサービスは、種類ごとに役割が定められています。
長期に生活する場、在宅に戻ることを支える場、日中だけ通う場というように、そもそもの目的が違います。
この違いは求人票の条件に直接表れます。
同じ介護職の募集でも、形態が違えば比べているものが違います。
給与や休日だけを横に並べても、判断材料としては足りません。
利用する人の状態が違う
形態ごとに、対象となる人の状態も分かれています。
常時の介護が必要な人が長く暮らす場と、退院後に一定期間を過ごす場では、関わり方が変わります。
認知症の診断を受けた人だけが対象になる形態もあります。
利用する人の状態が違えば、必要な知識も、体にかかる負担も変わります。
自分がどういう関わり方をしたいのかを先に決めておくと、形態の選び方が定まります。
だから一日の動き方が変わる
夜勤があるかどうか、送迎の運転があるかどうか、記録や会議にどれだけ時間を使うかは、形態によって傾向が異なります。
生活のリズムに直結する部分のため、条件を比べる前に押さえておく価値があります。
特養と老健は目的が違う
特別養護老人ホームは生活の場
特別養護老人ホームは、制度上は介護老人福祉施設と呼ばれます。
常時の介護が必要で、自宅での生活が難しくなった人が長期にわたって暮らす場です。
入所の対象は原則として要介護3以上とされており、特例的にそれ以外の状態の人が入所する場合もあります。
生活の場であるため、入居者との関わりは長期にわたります。
看取りまで対応する施設もあり、その場合は最期の時期に関わる場面も出てきます。
日常の介護に加えて、生活そのものを支える視点が求められます。
介護老人保健施設は在宅復帰を支える場
介護老人保健施設は、在宅に戻ることを目的として、医療的な管理やリハビリテーションを提供する施設です。
医師や看護職員、リハビリテーションの専門職が配置される点が、特養との大きな違いになります。
入所は長期を前提とせず、状態に応じて在宅に戻ることを検討していく形になります。
入居者の入れ替わりが特養より多くなる傾向があり、そのぶん新しい人の状態を把握する場面が繰り返し訪れます。
配置される職種の違いが働き方に出る
老健では、リハビリの専門職や医療職と日常的に連携します。
介護職が担う記録や申し送りの内容も、他職種が読むことを前提としたものになります。
特養では、生活の場としての運営が中心になるため、関わる職種の構成が変わります。
どちらが働きやすいかという問題ではなく、誰と組んで仕事をするかが違うということです。
同じ特養でも従来型とユニット型で動き方が違う
特別養護老人ホームには、従来型と呼ばれる形と、ユニット型と呼ばれる形があります。
ユニット型は、少人数の生活単位ごとに共同の生活空間を設け、その単位を担当する職員を配置する形です。
介護老人保健施設にも同じようにユニット型の区分があります。
働く側から見ると、担当する人数と動く範囲が変わります。
ユニット型では顔ぶれの決まった少人数に長く関わり、従来型ではフロア単位でより多くの入居者に関わる形になりやすくなります。
求人票に「ユニット型」と書かれていれば、その単位で一日が組まれているということです。
書かれていない場合は、施設の名称や設備の説明から読み取るか、確認する項目として残します。
グループホームとデイサービス
グループホームは少人数の共同生活を支える
グループホームは、制度上は認知症対応型共同生活介護と呼ばれます。
認知症の診断を受けた人が、少人数のまとまりで共同生活を送る形です。
食事の支度や掃除といった家事を、入居者と一緒に行う場面があります。
地域密着型のサービスに位置づけられており、原則として事業所と同じ市町村に住んでいる人が対象になります。
規模が小さいぶん、夜間は少人数の職員で対応する体制になることが多く、一人で判断する場面が出てきます。
デイサービスは日帰りで通う人を支える
デイサービスは、制度上は通所介護と呼ばれます。
自宅で暮らす人が日中だけ通い、食事、入浴、機能訓練、レクリエーションなどを受ける形です。
多くの事業所では送迎を行っており、その運転を介護職が担当する場合があります。
日中の稼働が中心のため、夜勤がないことが一般的です。
一方で、決まった時間内に入浴や食事を進める必要があり、時間の区切りがはっきりした働き方になります。
夜勤を避けたい場合の選び方は夜勤なしで働ける介護の職場はどこかにまとめています。
4つの形態を並べる
| 形態 | 制度上の名称 | 主な役割 | 夜勤 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 介護老人福祉施設 | 常時介護が必要な人が長期に生活する | あり |
| 老健 | 介護老人保健施設 | 在宅復帰を目指す期間を支える | あり |
| グループホーム | 認知症対応型共同生活介護 | 認知症の人が少人数で共同生活を送る | あり |
| デイサービス | 通所介護 | 自宅で暮らす人が日中だけ通う | 一般的になし |
求人票には4つ以外の名称も並ぶ
有料老人ホームは介護サービスの提供者が分かれる
求人を検索すると、有料老人ホームという名称が出てきます。
このうち介護付きと表示されるものは、特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設で、介護のサービスをその施設の職員が提供します。
これに対して住宅型と表示されるものは、入居者が必要に応じて外部の在宅サービスを利用する形です。
同じ有料老人ホームでも、介護を誰が提供するかが違います。
募集を見るときは、どちらの型かで業務の中身が変わる点を押さえておきます。
サービス付き高齢者向け住宅は住宅として登録される
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者の住まいに関する法律に基づいて登録される賃貸住宅です。
安否の確認と生活の相談にあたるサービスを備えることが前提になっています。
介護そのものは、併設や外部の事業所が提供する形が中心です。
求人票では、募集している職種が住宅側の職員なのか、併設された事業所の介護職なのかを見分ける必要があります。
通いと訪問と泊まりを組み合わせる形もある
小規模多機能型居宅介護は、通い、訪問、宿泊を一つの事業所で組み合わせて提供する地域密着型のサービスです。
同じ利用者に対して、日によって関わり方が変わります。
この形態では、通所と訪問の両方の業務を担当することがあります。
デイサービスだけ、訪問だけという働き方とは前提が違うため、求人票で担当する範囲がどう書かれているかを確認します。
求人票のどこに条件が書かれるかは求人票のどこを読むかにまとめています。
形態から求人を絞る手順
形態ごとに確認する項目が変わる
特養であれば、フロアの構成と入居者数、看取りへの方針を確認します。
老健であれば、リハビリ職との連携の形と、在宅復帰にどこまで関わるかを見ます。
グループホームでは、事業所が持つユニットの数と夜間の職員体制が業務量を決めます。
デイサービスでは、送迎の運転を担当するかどうか、一日あたりの利用者数が何人かが中心の確認項目になります。
同じ質問をすべての形態に投げても、比較にはなりません。
サービスは形態ごとに分かれていない
当サイトで整理している介護・福祉向けサービスのデータでは、施設の形態ごとに特化したサービスは確認できていません。
形態は、サービスを選ぶ軸ではなく求人を絞り込む条件として扱うことになります。
したがって、全国を対象とする登録型のサービスで求人を検索し、形態で絞った結果を見比べる形が現実的です。
クリックジョブ介護、ジョブソエル、メンラボジョブ、介護求人ラボ、かる・けるはいずれも全国を対象とする登録型で、会員登録を済ませた段階で求人を確認できます。
同じ法人が複数の形態を運営していることがある
一つの法人が、特養とデイサービス、あるいはグループホームと居宅の事業所をあわせて運営している場合があります。
求人票では特定の施設の募集に見えても、採用は法人の単位で行われていることがあります。
この場合、入職後に別の形態の事業所へ異動する可能性が出てきます。
どの事業所に配属されるかと、異動の範囲がどこまでかは、求人票または面接で確認しておく項目です。
逆に、複数の形態を経験したい場合は、こうした法人のほうが希望に合うこともあります。
夜勤は人数と回数の両方で見る
夜勤の有無だけで判断すると、負担の大きさは分かりません。
見るべきは、一晩を何人で担当するか、何人の入居者を受け持つか、月に何回入る想定かの3点です。
交替の形も確認します。
2交代と3交代では一回の勤務時間が変わり、夜勤明けの翌日がどう扱われるかも施設によって違います。
仮眠や休憩を取れる体制になっているかは求人票に書かれていないことが多いため、確認する項目として残しておきます。
登録だけで求人を見る方法は介護職は登録だけで求人を見られる?にまとめています。
迷うときは形態を2つに絞って並べる
4つすべてを比べようとすると条件が増えすぎて進みません。
夜勤を受け入れられるかどうかで先に絞り、残った形態から2つを選んで求人を並べると、違いが具体的に見えてきます。
同じ地域で10件ずつ集めれば、給与の幅と勤務時間の書き方の差が分かります。
進め方は転職するか迷っている段階では何をする?にまとめています。
まとめ
- 4つの形態は制度上の役割が違い、利用する人の状態も一日の動き方も変わる
- 特養は生活の場、老健は在宅復帰を支える場という違いが職種の配置に表れる
- グループホームは少人数の共同生活を支え、原則として同じ市町村の住民が対象
- デイサービスは日中の稼働が中心で、送迎の運転を担当する場合がある
- 求人票には有料老人ホームやサ高住も並ぶため、介護を誰が提供するかまで見る
- 求人票で確認する項目は形態ごとに変わるため、同じ基準では比べられない



