書類に書く志望動機と、面接でその場で答える内容は、準備の仕方が違います。
書類は書き直せますが、面接では答えたあとに「なぜそうしたのか」と掘られます。
この記事が扱うのは後者、口頭で聞かれたときの答え方です。
書類として書く志望動機・転職理由の組み立て方はITエンジニアの志望動機の書き方にまとめており、この2つは対になります。
職種を問わない面接の型は転職面接の準備で扱っています。
ここでは、エンジニアの選考で実際に出てくる技術面と人物面の質問に絞ります。
エンジニアの面接が2つに分かれる理由
評価の軸が言語・工程・規模で細かく分かれる
同じ「バックエンドエンジニア」でも、使ってきた言語、担当していた工程、チームの規模によって、できることが変わります。
書類の職種名だけでは判断ができません。
そのため選考では、技術の中身を確かめる時間と、働き方や志向を確かめる時間が分けて設けられます。
技術面と人物面では、聞き手が確認したいことがまったく違います。
この2つを同じ準備で乗り切ろうとすると、どちらも中途半端になります。
不足しているのは領域が限られている
経済産業省の試算では、IT人材の需要が中位から高位で伸びた場合、2030年に最大約79万人が不足するとされています(出典: 日本経済新聞)。
ただし不足はAI・クラウド・セキュリティといった先端領域に偏っており、基礎的な領域の供給はむしろ増えています(出典: コエテコキャンパス)。
この偏りは、面接の質問にも表れます。
募集している領域に近い経験があるかを確かめる質問が先に来て、そこが薄いと判断された場合は、学習の進め方に関する質問へ移ります。
市場の状況はIT人材は不足している?で整理しています。
経験の有無で聞かれることが入れ替わる
経験者に対しては、技術スタックの一致度と、設計や実装で下した判断の理由が問われます。
未経験者に対しては、独学で何をどこまで進めたかという学習の実績が問われます。
同じ職種の面接でも、この2つはほぼ別の選考と考えたほうが準備しやすくなります。
自分がどちらの立場で受けるのかを先に決めておくと、用意する材料が変わります。
準備は求人票の技術要件から逆算する
技術スタックと担当工程を棚卸しする
最初にやるのは、答えを考えることではなく材料を並べることです。
使ってきた言語とフレームワーク、インフラの構成、担当した工程を書き出します。
工程は、要件定義・設計・実装・テスト・運用のどこを担当したかで区切ります。
どの工程に何年関わったかが、経験の中身を示す一番短い表現になります。
書き出した内容はそのまま職務経歴書の材料になります。
作り方は職務経歴書はいつ作ればよいかにまとめています。
必須要件を疑問文に置き換える
求人票の必須要件は、面接の質問とほぼ同じ内容になります。
「Goでの開発経験3年以上」とあればGoで何を作ったか、「AWS上での運用経験」とあればどのサービスをどう使ったかが聞かれます。
必須要件を上から順に疑問文へ書き換えれば、想定質問の一覧ができます。
求人票のどこに何が書かれているかは求人票のどこを読むかを参考にしてください。
答えには「なぜそうしたか」まで含める
技術の質問では、やったことだけを答えると必ず追加の質問が来ます。
「なぜその構成にしたのか」「他の選択肢は検討したか」という形です。
最初から、選んだ理由と検討した代替案を1つ添えて答えると、やり取りが1往復短くなります。
判断の理由まで話せるかどうかが、経験の深さとして読まれます。
技術面で聞かれること
得意な技術と、直近で触れた技術
「得意な言語は」という質問は、知識量の確認ではありません。
何を主戦場にしてきたかと、直近で手を動かしている領域を確かめる質問です。
答えるときは、得意な技術と直近で触れた技術を分けて話します。
両者がずれている場合、ずれている理由を添えると自然につながります。
ブランクのある技術を得意だと答えると、続く質問で食い違いが出ます。
設計や実装で下した判断の理由
担当したシステムについて、構成を選んだ理由を聞かれます。
データベースの選定、非同期処理の入れ方、キャッシュの持たせ方など、具体的な箇所を指定されることもあります。
ここで見られているのは正解かどうかではありません。
制約条件を把握したうえで選んだかどうかです。
当時の制約と、その中で優先した項目をセットで話すと、判断の過程が伝わります。
障害対応とレビューの進め方
運用に関わっていた場合、障害が起きたときの動き方が聞かれます。
検知の仕組み、切り分けの順序、恒久対応をどう決めたかという流れです。
レビューについては、指摘する側とされる側の両方で聞かれます。
指摘の粒度をどう決めていたか、意見が割れたときにどう収束させたかは、チームでの動き方を示す材料になります。
直近の学習内容
「最近学んでいることは」という質問は、ほぼ定番です。
ここで書名や技術名だけを挙げると、それ以上の話が続きません。
何を、どこまで、どういう形で確かめたかまで話せる状態にしておきます。
手を動かした結果が残っていれば、それを説明の起点にできます。
資格の扱いについてはAWSなどの資格は転職で評価される?で整理しています。
人物面で聞かれること
転職理由
エンジニアが転職を決めた理由としては、「収入アップのため」42.4%、「会社や業界の将来性に不安を感じて」22.4%、「キャリアアップのため」16.5%が上位に挙がっています(出典: レバテック株式会社)。
いずれも珍しい理由ではありません。
そのまま話しても問題はなく、避けたいことだけで終わらせないことのほうが重要です。
理由を述べたあとに、次の職場で何を担当したいかを続けます。
チームでの役割と進め方
一人で完結する仕事は多くないため、チーム内での動き方が確認されます。
人数、開発の進め方、仕様が決まる経緯、他職種との関わり方が質問の対象になります。
答えるときは、役職名ではなく実際の動きで話します。
設計をレビューしていた、仕様の詰めに同席していた、といった具体の動作のほうが伝わります。
どの領域で働きたいか
自社開発のWebサービス、受託開発、社内SEでは、日々の仕事の相手も進め方も変わります。
面接では、どちらを志向しているかが確認されます。
ここが曖昧だと、入社後の配属で食い違いが起きます。
領域ごとの違いは社内SEとSIer、転職の探し方はどう違う?にまとめています。
希望する条件
年収や勤務形態の希望は、面接の中で聞かれることがあります。
数字を伝える段になって黙ると、調整が後ろにずれます。
希望額は、同じ言語・同じ経験年数の求人を10件ほど見てから決めます。
伝えるタイミングと言い方は転職の年収交渉はできる?で扱っています。
未経験から受ける場合に問われること
学習量と成果物の具体性
未経験者の面接では、「なぜIT業界か」よりも、実際に何をどれだけ進めたかが問われます。
学習に使った時間、作ったもの、詰まったときの解決の仕方が質問の中心になります。
作ったものについては、機能の一覧ではなく、なぜその機能を作ったかと、どこで詰まったかを話せる状態にします。
詰まった箇所を説明できることが、独力で進められる証明になります。
難易度の見積もり方は文系・未経験からITエンジニアになれる?にまとめています。
学習を続けられる状況かどうか
入職後も学習が続く職種であるため、時間の使い方が確認されます。
現在の勤務と両立してどのくらい確保できているかを、実際の数字で答えます。
見込みではなく、直近の実績で話すほうが噛み合います。
続けられていない期間があれば、その理由を短く添えます。
応募先の領域を理解しているか
未経験可の求人でも、配属される領域は決まっています。
開発なのか、インフラなのか、運用や保守から入るのかで、日々の業務は変わります。
募集要項に書かれた業務内容を、自分の言葉で言い直せるかが確認されます。
求人を10件ほど見ておくと、この質問には自然に答えられるようになります。
選考の進み方はサービスによって確認できる
技術面接の有無や回数は、求人票には書かれていません。
一方、求人票の技術要件は登録すれば自分で読めます。
この2つは、利用の始まり方が違うサービスで分かれています。
会員登録型は求人票の要件を自分で読める
当サイトのデータでは、レバテックキャリア、レバテックダイレクト、社内SE転職ナビ、Tecgateエキスパート、AXIS Agent、エンジニアルームなどが登録型として記録されています。
いずれも全国が対応地域です。
会員登録の時点で求人の技術要件を確認できるため、必須要件から想定質問を作る作業に使えます。
登録だけで進める使い方はITエンジニアは面談なしで転職活動できる?にまとめています。
面談実施型は選考の形を聞ける
面接が何回あるか、技術面接でコードを書くのか口頭のみかといった情報は、求人票からは読み取れません。
当サイトのデータでは、TechGo、ウズカレIT、ウズカレエージェント、明光キャリアパートナーズエンジニア転職、ユニゾンキャリア転職、エイジレスエージェントなどが面談実施型として記録されています。
対象条件はサービスごとに違います。
明光キャリアパートナーズエンジニア転職は「エンジニア経験者の方」を対象に明記しており、ユニゾンキャリア転職は東京・神奈川・埼玉・千葉を対応地域とし、対象年齢を20〜29歳としています。
条件から外れているサービスに登録しても紹介には進みません。
スカウト型は評価のされ方を先に知れる
経歴を登録しておくとスカウトが届く形のサービスもあります。
届いた内容を見ると、自分の経歴がどの領域の募集と結び付けられやすいかが分かります。
これは、面接で「なぜこの求人に応募したのか」と聞かれたときの材料にもなります。
仕組みはITエンジニアはスカウト型で転職できる?で整理しています。
オンラインでの面談や面接に慣れておきたい場合はオンライン面談の準備もあわせて確認してください。
まとめ
- エンジニアの面接は技術面と人物面に分かれ、確認されることが違う
- 技術面で見られるのは知識量ではなく、選んだ理由と検討した代替案を説明できるか
- 想定質問は、求人票の必須要件を疑問文に置き換えると一覧が作れる
- 未経験の場合は、学習量と成果物、詰まった箇所の説明が中心になる
- 求人票の技術要件を読むなら登録型、選考の形を聞くなら面談実施型と使い分ける
- 対象条件に経験・地域・年齢が設定されたサービスがあり、登録前に確認しておく



