弁護士と司法書士は同じ法律系の国家資格ですが、人数の推移も勤務先の広がり方も違います。
同じ「士業の転職」という括りで語られることが多いため、ここでは出典の確認できるデータで両者を分けて整理します。
人数の推移が異なる方向を向いている
弁護士は約20年で2.7倍に増えた
弁護士数は2000年の17,126人から、2025年には47,103人まで増えました。
約2.7倍です(出典: leala.ai)。
20年余りで資格者の総数が大きく変わったことになります。
人数が増えるということは、同じ資格を持つ人の中での位置づけが変わるということでもあります。
資格の希少性だけで説明できる部分は、20年前より小さくなっています。
何を扱ってきたかという実務の中身が、より前に出る構造です。
取扱分野、担当した案件の種類、事務所の規模といった要素が、資格の有無より先に見られる場面が出てきます。
一方で、この数字は市場全体の総量を示すものであり、個々の分野の需給を示すものではありません。
分野によって状況が違う可能性はありますが、それを示すデータは確認できていないため、ここでは総数の推移として扱います。
司法書士は新規登録と抹消がほぼ均衡している
司法書士の全国会員数は2026年4月時点で23,505人です。
毎年約1,000人が新規登録する一方、約700人が登録を抹消しています(出典: サムライマガジン)。
差し引きで年間300人程度しか増えておらず、総数は緩やかに推移しています。

弁護士が20年で2.7倍に増えたのとは対照的に、司法書士は人数の面で大きな変動が起きていません。
同じ法律系の資格でも、置かれている市場の状況は同じではないということです。
転職の情報を集めるときも、「士業の転職」としてまとめられた情報より、資格別に分かれた情報を見るほうが実態に近くなります。
資格ごとの市場動向をまとめて見たい場合は士業・会計の転職市場はいま?を参照してください。
勤務先の広がり方が違う
弁護士は企業内という選択肢が広がっている
企業内弁護士は2023年時点で弁護士全体の7.1%を占め、毎年増加しています(出典: leala.ai)。
割合としてはまだ1割に届きませんが、勤務先が法律事務所以外にも広がっている状況が数字で確認できます。
この点は転職を考えるうえで実務的な意味を持ちます。
法律事務所間の移動だけでなく、事業会社の法務部門という進路が選択肢に含まれるためです。
比較対象が事務所だけではなくなると、条件の見方も変わります。
勤務形態、扱う案件の種類、社内での位置づけなど、比較する項目自体が増えることになります。
ただし、企業内弁護士の採用がどの規模の企業で多いのか、どんな経験が求められるのかを示すデータは確認できていません。
割合が増えているという事実までが、確認できる範囲です。
司法書士は独立が一定の比重を持つ
自宅を事務所として開業する司法書士は約3割です(出典: studying.jp)。
開業の形態として自宅事務所が3割を占めるという数字は、独立という選択肢が現実的な比重を持っていることを示します。
そのため、司法書士の場合は「どこに勤めるか」だけでなく「勤めるか独立するか」という分岐が先に来ることがあります。
勤務先を探す活動と開業の準備では、必要な情報がまったく違います。
前者は求人と条件の比較が中心になり、後者は集客や実務の体制づくりが中心になります。
どちらを検討しているのかを先に決めておくほうが、情報を集める効率が上がります。
比較する軸が資格ごとに違う
ここまでの数字を並べると、検討の入口が資格ごとに違うことが分かります。
弁護士は法律事務所と企業内という二つの勤務先を比べる場面があり、司法書士は勤務と独立を比べる場面があります。
どちらも「次にどこへ行くか」という問いですが、比較する対象の性質が異なります。
この違いは、集める情報の種類にも影響します。
勤務先どうしを比べるなら求人の条件が主な材料になりますが、独立と比べる場合は求人以外の情報が必要になります。
自分がどちらの比較をしているのかを先に決めると、必要な情報が絞れます。
両方を同時に検討すると、判断の基準が混ざって決めきれなくなります。
転職サービスは資格ごとに入口が分かれている
弁護士向けと司法書士向けは別のサービスになっている
当サイトで整理しているデータでは、リーガルジョブボードには弁護士向けの形と、司法書士・司法書士補助者向けの形があります。
いずれも登録型で、対応地域は全国です。
同じ運営でも、対象資格ごとに入口が分けられています。
入口が分かれている理由は、対象資格が違えば紹介される求人がまったく別のものになるためです。
資格名がサービス名に含まれていることが多く、自分が対象かどうかの判別自体は難しくありません。
登録前に対象資格を確認する、という手順だけ守れば足ります。
求人の出し手側から見ても、対象資格を絞ったサービスに募集を出せば応募者の資格要件を確認する手間が減ります。
補助者を対象に含む形がある
司法書士向けのサービスは、名称の時点で司法書士補助者も対象に含めています。
補助者は資格を持たない立場で事務所の実務に携わる職種であり、資格取得前の段階から使える入口が用意されている形です。
独立が一定の比重を持つ資格では、補助者として実務を覚える経路が続いていることになります。
一方で弁護士向けのサービスについては、当サイトのデータで確認できるのは対応地域が全国であることと、進み方が登録型であることまでです。
年齢や経験に関する条件は確認できていません。
未経験の立場からの見方は未経験から士業事務所に入れる?で扱っています。
資格特化以外のサービスは確認の範囲が限られる
士業・会計に分類されるサービスには、NO-LIMITのように登録型で全国対応と示されているものもありますが、対象資格や経験に関する条件は当サイトのデータでは確認できていません。
条件が書かれていないことは「誰でも対象」を意味するわけではなく、情報が確認できていない状態です。
対象が明示されていないサービスを使う場合は、公式の案内で自分が対象に含まれるかを確かめることになります。
ここを省くと、登録後に食い違いが出ます。
確認そのものは数分で終わるため、先に済ませておくほうが結果的に早く進みます。
どちらの資格でも共通してやること
求人で条件の幅を見る
弁護士と司法書士では市場の状況が違いますが、最初にやることは共通しています。
応募する前に、同じ資格・同じ経験年数の求人を10件ほど見て条件の幅を把握することです。
事務所の規模や取扱分野によって条件の差が大きいため、相場を知ってから動くほうが判断しやすくなります。
求人を見る作業は、転職するかどうかを決めていない段階でもできます。
応募の意思を固める前に条件の分布を見ておくと、後で個別の求人を評価するときの基準ができます。
基準がないまま1件目を見ると、それが高いのか低いのかを判断する材料がありません。
併用するサービスの数を絞る
資格ごとに入口が分かれている以上、登録先は自然と自分の資格に対応したものへ絞られます。
数を増やすほど連絡の管理に時間を取られるため、まず自分の資格に特化したサービスを軸にして、必要に応じて足す形が現実的です。
同じ求人が複数のサービスから紹介されることもあり、その場合は応募経路の管理が必要になります。
最初から多数に登録するより、動き始めてから足りない部分を補うほうが管理しやすくなります。
併用の目安は転職エージェントは何社まで併用してよいかで扱っています。
まとめ
- 弁護士数は2000年17,126人から2025年47,103人へ、約2.7倍に増えた
- 司法書士は毎年約1,000人が新規登録し約700人が抹消と、増減がほぼ均衡している
- 弁護士は**企業内弁護士が7.1%**を占め、勤務先が法律事務所以外にも広がっている
- 司法書士は自宅事務所での開業が約3割で、独立という分岐が先に来ることがある
- サービスは資格ごとに入口が分かれ、司法書士向けは補助者も対象に含む形になっている



