資格の勉強をしながら働いていると、「資格を取ってから動くべきか、その前でも選択肢はあるのか」で迷う場面があります。
ここでは業界の状況を確認したうえで、転職サービスが公開している対象条件を見て、資格取得前の段階がどう扱われているかを整理します。
資格を取り終える前に動く人がいる背景
受験者は回復基調にある
税理士試験の受験者数は、令和6年度に4年連続で増加しました。
合格率は16.6%で、前年の21.7%から低下しています(出典: 日税ジャーナルオンライン)。
受験者数は2015年度の約3.8万人から2020年度に約2.6万人まで減った後、受験資格の緩和を経て回復に転じました(出典: マイナビ税理士)。
税理士試験は科目ごとに合格が積み上がる方式です。
受験者が増えているということは、全科目を取り終える前の段階にいる人も業界の中に増えているということになります。
1科目だけ合格している人、あと1科目を残している人が、それぞれ別の状況で働いていることになります。
この構造は他の資格とは違う点です。
合否が一度で決まる試験であれば「取得済みか未取得か」の二択になりますが、科目合格の制度がある以上、その間の段階が長く続きます。
数年単位でこの状態にある人がいるため、業界側もその前提で人を見ることになります。
業界の年齢構成は若手層が薄い
税理士の登録者数は2026年6月末時点で82,297人ですが、60代以上が53.6%(70代以上27.9%)を占め、20代は0.6%、30代は10.3%にとどまります(出典: career-adv.jp)。
この構成は、資格を持つ若手が人数として少ないことを意味します。
資格取得の途中段階にいる人が業界内でどう扱われるかを示す調査データは確認できていませんが、少なくとも年齢構成の偏りは事実として確認できます。
推測を重ねずに、確認できる範囲とそうでない範囲を分けて扱うのが安全です。
市場全体の状況は税理士の転職で見られる経験は何かにまとめています。
対象条件は資格以外の要素で書かれることがある
科目合格の段階から対象になるサービスがある
当サイトで整理しているデータでは、ゼイキャリは面談実施型のサービスで、対象年齢は24歳〜45歳、勤務希望地は東京・神奈川・埼玉・千葉・京都とされています。
対象ユーザーには税理士試験の合格者が挙げられており、1科目の合格でも対象になる形で示されています。
全科目に合格していなくても対象条件を満たす場合があるという点は、条件の文面を読まないと分かりません。
「資格がないから対象外だろう」と自己判断で除外する前に、条件がどう書かれているかを確認する価値があります。
対象から外れているのか、そもそも条件が公開されていないだけなのかも、読んでみないと区別できません。
資格を条件にしていないサービスがある
経理Jobsは申込型のサービスで、対応地域は全国です。
対象ユーザーは55歳以下で経理経験が半年以上あり、正社員勤務を希望する方とされています。
資格の保有は条件に含まれておらず、経理の実務経験が入口になっています。
BEET-AGENTには経理・財務に特化した形もあり、こちらは登録型で対象は20代〜40代、東京・神奈川・埼玉・千葉に在住の方とされています。
士業の資格ではなく、経理・財務という業務領域で対象を定める形です。
資格試験の勉強を続けながら実務経験を積みたい場合、こうした領域特化のサービスが選択肢に入ります。
資格の取得と実務の蓄積を並行させる進め方は、科目合格に時間がかかる資格では現実的な選択になります。
スタッフ職を対象に含むサービスがある
ツインプロは面談実施型で対応地域は全国、対象年齢は24歳〜49歳です。
対象として会計士・経理・財務・税理士・税理士スタッフ・会計士スタッフ・監査法人スタッフが挙げられています。
資格名だけでなく、事務所や法人でのスタッフ職が明示されている形です。
一方で、ミツプロは登録型で対象年齢が24歳〜49歳、かつ税理士・税務スタッフ・会計士としての実務経験が1年以上ある方と示されています。
同じ業界向けでも、経験年数を条件に置くサービスとそうでないサービスがあります。
資格の進捗が同じでも、実務の年数によって対象が変わるということです。
登録前に確認しておく3点
年齢の条件
士業・会計向けのサービスには、対象年齢が明示されているものがあります。
ここまでに挙げた例では、ゼイキャリが24歳〜45歳、ツインプロとミツプロが24歳〜49歳、経理Jobsが55歳以下、BEET-AGENTの経理・財務向けが20代〜40代です。
年齢の条件はサービスごとに違うため、一つで対象外だったからといって全体で対象外になるわけではありません。
条件の幅が広いものから順に見ていくと、選択肢が残りやすくなります。
登録してから対象外だと分かると時間を使うことになるため、先に読んでおくほうが結果的に早く進みます。
地域の条件
対応地域も分かれます。
ツインプロ・経理Jobs・ヒュープロ・ジャスネットキャリアは全国が対象と示されている一方、ゼイキャリは東京・神奈川・埼玉・千葉・京都、BEET-AGENTの経理・財務向けは東京・神奈川・埼玉・千葉の4都県の在住者が対象です。
地方在住の場合は、全国対応のサービスを軸に据えることになります。
地域の条件が「勤務希望地」で書かれているか「在住地」で書かれているかにも違いがあり、引っ越しを伴う転職を考えている場合は読み分けが必要です。
地域による違いの扱いは転職サービスは地方でも使える?で整理しています。
進み方が登録型か面談型か
同じ士業・会計向けでも、会員登録だけで求人が見られる登録型と、面談を前提に進む面談実施型があります。
勉強と両立している時期は時間の確保が難しいため、まず登録型で求人の傾向だけを見るという使い方ができます。
求人の要件を読むだけでも、いまの自分がどの範囲に該当するかは把握できます。
面談型は時間を要する代わりに、求人票に書かれていない部分を担当者に尋ねられます。
科目合格の状況をどう扱っているか、受験と勤務の両立について事務所側がどう考えているかは、文面からは読み取れない部分です。
どちらを先に使うかは、動く決心がついているかどうかで分けると判断しやすくなります。
勉強と並行する場合に整理しておくこと
受験の予定をどう書くか
科目合格の状況と今後の受験予定は、資格欄に書ける情報です。
合格科目だけでなく、次に受ける科目まで書くと、現在地と方向が同時に伝わります。
「勉強中」とだけ書くより、何をどこまで終えているかが分かる書き方のほうが、読み手が判断できる情報になります。
ただし勤務時間や受験休暇の扱いは事務所ごとに違うため、条件面は個別に確認することになります。
求人票に記載がない場合も多く、面談や選考の過程で確認する項目として残しておくほうが確実です。
実務経験は資格取得後にも残る
資格を取り終えるまで待つという選択もありますが、その間に積んだ実務経験は資格取得後にも残ります。
ここまで見てきたとおり、経験年数を条件に置くサービスは実際に存在します。
待つか動くかは、資格の進捗ではなく実務で得られるものの差で比べるほうが判断しやすくなります。
いまの職場であと1年働いたときに増える経験と、別の環境で1年働いたときに増える経験を並べてみると、比較の形が具体的になります。
まだ転職するかどうか決めていない段階での進め方は転職するか迷っている段階では何をする?にまとめています。
まとめ
- 税理士試験の科目合格の段階から対象になるサービスがある
- 資格ではなく経理の実務経験を条件にするサービスもあり、資格取得前でも選択肢になる
- 登録前に確認するのは年齢・地域・進み方の3点
- 対象年齢も対応地域もサービスごとに違うため、一つで対象外でも全体で対象外にはならない



