経理の転職を考えるとき、「この年齢で動くのは遅いのではないか」という迷いが先に立つことがあります。
ただし年齢そのものより、同じ年代がどんな理由で動いているのか、何を問われるのか、そして自分が対象になるサービスがあるのかを順に確認したほうが判断は早く進みます。
ここでは出典の確認できる調査データと、当サイトで整理しているサービスの対象条件から、年代ごとの見方を整理します。
管理部門の転職は何を理由に起きているか
転職理由の上位はスキルアップとキャリアチェンジ
MS-Japanが運営する「MS Agent」の登録者データ(2023年4〜9月)では、管理部門・士業の転職理由は「スキルアップ」が34.0%、「キャリアチェンジ」が33.8%で上位を占めています。
経理・財務、人事・総務、法務の各職務では、いずれも「スキルアップ」が転職理由の最多で、それぞれ4割以上を占めていました(出典: MS-Japan)。
上位2つを合わせると7割近くになります。
待遇そのものより、担当できる業務の幅を理由に動いている層が厚いという読み取りができます。
年代を問わず、応募の場面で「いまの職場では何ができないのか」を説明できる状態にしておく必要があるということでもあります。
年代が上がると転職理由の内訳が変わる
マイナビキャリアリサーチLabの「中途採用実態調査2025年版」(企業1,600件・個人500件、2025年7月)では、転職前に管理職だった人の転職理由は「会社の将来性に不安があった」が33.8%で最多、非管理職だった人は「給与が低かった」が26.5%で最多という違いが出ています(出典: マイナビキャリアリサーチLab)。
これは年代を直接分けた集計ではありませんが、役職の有無で動機の中心が変わることを示しています。
役職に就く前は待遇、就いた後は会社そのものの見通しが判断材料になりやすいという傾向です。
自分がどちらに近いかを言葉にしておくと、応募先を絞る基準になります。
20代の経理転職で問われること
担当してきた工程の範囲を具体的に書く
20代の段階では、経理の全工程を経験している人のほうが少なくなります。
伝票処理や仕訳の入力までなのか、月次決算の一部を担当していたのか、年次決算や税務申告の補助まで関わったのかで、応募できる求人が変わります。
在籍した会社ごとに経歴を並べるより、担当した工程と使った会計システムで並べ直すほうが求人票との照合がしやすくなります。
同じ「経理」という肩書きでも、中身は企業規模と体制によってまったく違うためです。
経験年数が短いことを補うために資格の話に寄せたくなる場面もありますが、当サイトでは資格が採用でどう評価されるかを示す、出典の確認できる調査データを見つけられていません。
断定できない材料に説明を寄せるより、実際に担当した工程を具体的に書くほうが、読み手が判断できる情報になります。
一般事務との違いを説明できるかが分かれ目になる
厚生労働省の令和6年9月分データでは、一般事務従事者の有効求人倍率は0.32倍、事務従事者全体の平均は0.42倍でした(出典: エン・ジャパン)。
1倍を下回っており、応募する側の人数が求人数を上回る状態です。
一方、経理・財務や人事・総務といった専門性の高い管理部門は売り手市場が続く見込みとされています(出典: MS-Japan)。
20代で事務職から経理職への移行を考える場合、この2つのどちら側の求人に応募しているのかを意識しておく必要があります。
未経験からの移行については未経験から管理部門に転職できる?で扱っています。
30代の経理転職で問われること
決算・開示・税務のどこまで担当したか
30代の求人では、月次決算を締められるか、年次決算をどこまで主担当として回せるか、開示書類や税務申告に関わったかといった点が具体的に問われる場面が増えます。
担当した工程の深さが、そのまま応募できる求人の範囲になります。
このため、経歴を整理するときは工程ごとに「主担当」「補助」「未経験」を分けて書くほうが伝わります。
範囲をまとめて書くと、実際に任せられる業務が読み手に伝わらず、面談で確認をやり直すことになります。
スキルアップを理由に動く層が厚い
前述のとおり、経理・財務ではスキルアップが転職理由の最多で4割以上を占めています(出典: MS-Japan)。
いまの職場では担当できない工程を担当するために動く、という構図です。
この理由で動く場合、年収の額だけを見て応募先を選ぶと目的と手段がずれます。
求人票のうち、業務内容の欄と組織体制の記載を先に読み、自分がまだ担当していない工程が含まれているかを確認するほうが、判断が目的に沿います。
同時に、担当できる工程が増えれば年収も上がるという単純な関係にはなりません。
企業規模や事業フェーズによって提示される水準は変わるため、工程の広がりと年収の水準は別々に確認しておく必要があります。
求人を10件ほど並べ、任される範囲と年収レンジを対応させて控えておくと、その後の判断が早くなります。
40代の経理転職で問われること
中途採用で管理職を採る企業は増えている
2025年1〜6月の中途採用で管理職を採用した企業の割合は49.6%でした。
2021年の38.9%から10.7pt増えています(出典: マイナビキャリアリサーチLab)。
およそ半数の企業が中途で管理職を採用している状況であり、40代で役職付きのポジションを探すこと自体は例外的ではありません。
ただしこれは全職種を対象とした数字であり、管理部門に限った内訳ではない点は区別しておく必要があります。
体制づくりに関わった経験が問われやすい
経理管理職165人への2025年8月調査では、6割以上が人材面に不安を感じており、DXが進まない要因として「人材不足」を挙げた回答が51.9%で最多でした(出典: インボイス社)。
採用する側が抱えている課題が、人の確保と業務の仕組み化に寄っていることを示しています。
40代で応募する場合、自分が決算を回せることに加えて、担当者を育てた経験や業務の手順を整えた経験を書けるかどうかが分かれ目になります。
管理職への移り方は管理部門から管理職に転身できる?で詳しく扱っています。
年代によって対象になるサービスが変わる
対象年齢が明記されているサービスがある
当サイトで整理している管理部門向けのサービスは10件で、うち2件は求人を出す企業側を対象としたものです。
求職者が使う8件のなかで、対象年齢が明記されているのは法務部特化型の転職・求人情報なら/BEET-AGENTです。
面談実施型で、東京・神奈川・埼玉・千葉に在住の20代〜40代が対象とされています。
このように、年齢と希望勤務地の両方に条件があるものは、どちらか一方でも外れると候補になりません。
応募の前に、自分が対象条件に入っているかを確認しておくと無駄が減ります。
年齢条件の記載がないサービスもある
対象年齢の記載がないサービスとしては、登録型のMS-JapanとBEET-AGENT、申込型のCORPOがあり、いずれも対応地域は全国です。
面談実施型では、ユメキャリ就職エージェント、ユメキャリ転職エージェント、大手企業人事が転職をサポート/ユメキャリ転職エージェントが全国を対象としています。
WARC AGENTは面談実施型で、希望勤務地が東京・神奈川・埼玉・千葉・兵庫・大阪・京都・愛知の場合が対象です。
年代が上がるほど、条件は年齢よりも経験の内容で決まっていきます。
相場を先に見たい段階では登録型から始め、条件が固まってから面談実施型に移る順番のほうが無理がありません。
登録だけで使う方法は管理部門は登録だけで転職できる?にまとめています。
まとめ
- 管理部門・士業の転職理由は**スキルアップ34.0%、キャリアチェンジ33.8%**が上位で、経理・財務ではスキルアップが4割以上
- 転職前に管理職だった人は「会社の将来性に不安」33.8%、非管理職は「給与が低かった」26.5%が最多
- **中途採用で管理職を採用した企業は49.6%**で、2021年の38.9%から10.7pt増えている
- 20代は工程の範囲、30代は決算と開示の深さ、40代は体制づくりの経験が問われやすい



