就活で使うサービスというと、企業を紹介するものや、オファーが届くものが先に思い浮かびます。
ただ、応募先を決める段階で足りなくなるのは企業の数ではなく、その企業について知っていることの量です。
ここでは、人に会うためのアプリと、他人の経験を読むためのサイトについて、何が分かるのかと使う順番を整理します。

説明会と求人票では埋まらない部分がある

公開情報に出てこない項目がある

会社説明会の資料や採用ページには、事業内容・募集職種・待遇といった項目が並びます。
一方、配属の決まり方、入社1年目が実際にどんな仕事をしているか、部署ごとの雰囲気の差は、公開情報にはほとんど出てきません。

これらは公開されていないから隠されているというより、会社としては一律に説明できない性質のものです。
答えられるのは、そこで働いている個人になります。

入ってから分かる差は実際に生じている

厚生労働省の調査では、新規学卒者の就職後3年以内離職率は大卒33.8%、高卒37.9%でした(令和4年3月卒)。
業種別では宿泊・飲食サービス業が55.4%と最も高くなっています(出典: 厚生労働省)。

離職の理由は個々に違うため、この数字から原因を断定することはできません。
ただし、入社前に持っていた見込みと入社後の実態にずれが起きうるという前提は、置いておく価値があります。
入社前に確認できる範囲を広げておくことは、そのずれを小さくする作業にあたります。

就活で使える手段は3つに分かれる

就活で使うサービスは、応募先を増やす手段、企業からの反応を受け取る手段、企業について知る手段の3つに分けられます。
求人サイトやエージェントは1つ目、オファー型は2つ目、口コミサイトやOB/OG訪問は3つ目にあたります。

この3つは代替の関係にありません。
応募先が足りないときに口コミを読んでも増えませんし、企業の実態が分からないときにオファーを増やしても判断はできません。
いま足りていないのがどれかを決めてから、使うものを選びます。

OB/OG訪問アプリは人に会うための仕組み

Matcherは登録型で全国が対象

当サイトのデータでは、MatcherがOB/OG訪問をつなぐサービスとして掲載されています。
区分は登録型で、対応地域は全国、対象は学生です。
アプリをインストールして学生として登録するところから利用が始まります。

登録型のため、面談の予約やイベント参加を先に済ませる必要はありません。
まず何が起きているかを見てから、会うかどうかを決められます。

大学の名簿や知人の紹介との違い

従来のOB/OG訪問は、大学のキャリアセンターが持つ名簿や、部活・ゼミのつながりをたどる形が中心でした。
この方法では、自分の大学に卒業生がいない会社には届きません。

アプリを使う形では、大学のつながりに縛られずに相手を探せます。
一方で、相手がどういう立場で登録しているかは自分で確認する必要があります。
所属・職種・入社年次を見てから申し込むと、聞きたいことと相手の経験が噛み合います。

大学の名簿を使う方法にも利点があります。
同じ大学から入った人であれば、選考の時期に何をしていたかが自分の状況に近くなります。
アプリと名簿は排他ではないため、両方から相手を探せます。

申し込みの文面で会えるかどうかが決まる

相手は仕事の合間に時間を作ります。
誰にでも送れる定型文だけでは、返信が来ないことがあります。
なぜその人なのか、何を聞きたいのかを2〜3行添えると、相手も準備ができます。

聞きたいことを先に伝えておけば、当日その場で考える時間が要りません。
限られた時間を、答えを聞く側に使えます。
日程は相手の候補に合わせるほうが、やり取りの往復が減ります。

会う前に聞く項目を決めておく

準備なしに会うと、会社のサイトに書いてあることを聞いて終わります。
相手の時間を使う以上、公開情報で分かることは先に読んでおきます。

そのうえで、聞く項目を3つほどに絞ります。
1日の時間の使い方、最初の配属がどう決まったか、入社前の印象と違ったこと。
この3つはどの会社でも成立し、答えが具体的になりやすい問いです。
答えを聞いた後に、なぜそうなっているのかを1回だけ掘ると、会話が表面で終わりません。

反対に、避けたほうがよい聞き方もあります。
「御社の強みは何ですか」のように採用ページで答えが出る質問や、相手が答えにくい待遇の詳細を最初に持ち出すと、残りの時間が使いにくくなります。
限られた時間で聞けるのは、その人が経験したことだけという前提で項目を選びます。

口コミ・情報サイトは他人の経験を読む場所

就活会議とみん就は進み方が違う

当サイトのデータでは、就活会議が登録型・全国対応で掲載されており、対象は2026年卒から2029年卒までとされています。
学生・大学院・短大・専門・高専が対象に含まれます。
みん就は申込型で、対応地域は全国です。

登録型は会員登録の時点から中身を見られる形、申込型は申し込みと意思の確認を挟む形です。
この違いは、どこから使い始められるかに関わります。
区分ごとの違いは新卒・第二新卒の就活市場はいま?にまとめています。

口コミは書いた人の立場とともに読む

投稿されている選考の体験談や社員の評価は、書いた人が置かれていた状況とセットで読みます。
いつの選考か、どの職種か、内定を得た人か辞退した人かによって、同じ会社の話でも見え方が変わります。

1件の投稿を会社全体の評価として受け取らないという前提が要ります。
同じ論点について複数の投稿が同じことを述べている場合に限り、傾向として扱えます。
件数が少ない企業では、そもそも傾向を読み取れません。

選考の情報は時期で古くなる

選考のフローや設問は年度で変わります。
数年前の体験談を、そのまま今年の対策に使うと前提がずれます。
投稿日を確認し、直近のものから読みます。

古い情報がまったく無駄になるわけではありません。
事業の方向や社風のように変わりにくい項目については、時間が経った投稿でも材料になります。
読む前に、その項目が年度で変わるものかどうかを分けておくと、扱い方を間違えません。

また、極端に良い評価と極端に悪い評価は、どちらも書いた人の状況が強く反映されています。
中間の温度で書かれた投稿のほうが、判断の材料としては使いやすくなります。
数を読むほど、この温度差は見分けやすくなります。

読む前に知りたい項目を決めておく

口コミサイトは分量が多く、目的を決めずに開くと時間だけが減ります。
選考のフロー、配属の決まり方、繁忙期の状況など、知りたい項目を3つほど決めてから読み始めます。

項目を決めておくと、関係のない投稿を飛ばせます。
読んだ内容は企業ごとにまとめ、公開情報と分けて記録します。
後で使えるのは、読んだ量ではなく残した項目です。

3つを使う順番

口コミで仮説を作り、訪問で確かめる

先に口コミを読み、その会社について「こうなのではないか」という仮説を持ちます。
次にOB/OG訪問で、その仮説が合っているかを本人に確かめます。
順番を逆にすると、何を聞けばよいか分からないまま面談が終わります。

仮説は当たっていなくて構いません。
外れたときのほうが、その会社の実際の姿がはっきりします。

訪問の後に記録を残す

会った直後に、聞いた内容を書き出します。
時間が経つと印象だけが残り、具体的な話は抜け落ちます。
日付・相手の職種・入社年次・聞いた内容の4つを、その日のうちに残しておきます。

複数の会社を回ると、どの話がどこのものか分からなくなります。
記録が残っていれば、志望動機を書く段階でそのまま材料として使えます。

確かめた内容をESと面接に戻す

聞いた内容は、そのまま志望動機の材料になります。
公開情報だけで書いた文章と、実際に働いている人から聞いた話を含む文章では、具体性が変わります。
書類の作り方はES添削・自己PR作成支援サービスとは?で扱っています。

ただし、聞いた話を引用する形で書くと、相手の立場に影響することがあります。
誰から聞いたかを特定できる形では書かず、自分が何を判断したかに変換して使います。

求人紹介型と組み合わせる

情報を集める手段だけでは、応募先そのものは増えません。
企業を知る手段としてオファー型やエージェントを併用し、そこで出会った企業について口コミと訪問で確かめる、という組み合わせになります。
オファーが届く仕組みは逆求人型は何を見られているかにまとめています。

使うときに気をつけること

訪問は選考ではないが、相手は社員である

OB/OG訪問は選考の一部ではありません。
ただし、相手はその会社の社員であり、印象が社内で共有されることはありえます。
約束の時間、事前の連絡、終わった後の返信といった基本的な部分は、選考と同じ扱いで臨みます。

同時に、相手を評価者として構えすぎると、聞きたいことが聞けません。
確認する場であるという目的を先に置いておきます。

個人の話を一般化しない

訪問で聞ける話は、その人が経験した範囲のことです。
配属先や上司によって、同じ会社でも見えている景色は違います。
1人の話を会社全体の実態として受け取ると、判断を誤ります。

可能であれば、同じ会社で2人以上に会います。
話が一致した部分は会社の傾向、食い違った部分は配属や個人差、と切り分けられます。

聞いた話で志望が下がることもある

訪問の目的は、志望度を上げることではありません。
合わないと分かることも、同じだけ価値のある結果です。
時間を使ったのだから受けなければならない、という考え方は判断を歪めます。

外れたときにどうするかを先に決めておくと、聞く内容も率直になります。
取り繕った質問をしなくなるぶん、得られる答えも具体的になります。
志望先の絞り方は就活の軸が決まらないときは?にまとめています。

まとめ

  • 配属の決まり方や1年目の実務は公開情報に出にくく、答えられるのは働いている個人である
  • 当サイトのデータでは、Matcherと就活会議が登録型・全国対応、みん就が申込型・全国対応
  • 口コミは書いた人の立場と投稿時期とともに読み、1件を会社全体の評価として扱わない
  • 口コミで仮説を作り、OB/OG訪問で確かめ、確かめた内容をESと面接に戻す順番が噛み合う
  • 訪問の後は、日付・相手の職種・入社年次・聞いた内容の4つをその日のうちに記録する
  • 訪問は選考ではないが相手は社員であり、聞いた話は誰の発言か分かる形では書かない