施工管理の転職では、施工管理技士の資格を持っているかどうかがよく話題になります。
ただ、「資格があると年収がいくら上がる」といった説明の根拠は、たどってみると出てこないことが多くあります。
ここでは、確認できていないことを確認できていないと明示したうえで、代わりに何を見れば判断できるのかを整理します。

資格による評価差は数字で確認できていない

出典のある調査データが見つからない

当サイトで調べた範囲では、施工管理技士の有無によって年収や採用の可否がどれだけ変わるかを示す、出典の確認できる調査データは見つかっていません。
金額の差を掲げている記事は存在しますが、調査の実施主体や集計対象が明示されていないものが多く、根拠として使える状態ではありませんでした。

そのため、この記事では具体的な差額を示しません。
根拠のない数字を示すより、確認できる事実だけを並べるほうが判断の役に立つと考えています。
資格について書かれた記事を読むときは、根拠が集計データなのか書き手の見立てなのかを区別しておくと迷いにくくなります。

断定している記述の読み方

「資格がないと転職できない」「資格を取れば年収が上がる」という言い方は、どちらも幅を持たせていません。
実際には求人ごとに条件が違い、資格がなくても応募できる募集も、資格を必須にしている募集もあります。

断定された説明を一般論として受け取ると、応募できる求人を自分で狭めることになります。
逆に「資格は不要」という説明を受け取ると、応募条件を満たさない求人に時間を使うことになります。
どちらの説明も、実際の求人票に書かれた条件には勝ちません。

読むときの区別は単純です。
集計データであれば、調査の実施主体、対象、件数、実施時期が示されているはずです。
示されていなければ、書き手の見立てとして扱います。
見立てが役に立たないわけではありませんが、判断の前提には置かないほうが安全です。

確認できるのは業界の構成と需給の傾向

若手が薄い年齢構成

建設業の就業者は、55歳以上が約34%、29歳以下が約11%という構成です(出典: CIC日本建設情報センター)。
全産業平均の29歳以下16%より低く、若い層が薄い状態にあります。

この構成が続く限り、現場をまとめる人材の確保が課題になり続けると見られています(出典: ジョブハウス建設)。
資格そのものの評価は数字で示せませんが、現場をまとめる人材が足りていないという状況は、この構成から読み取れます。

20代の施工管理技士は売り手市場とされる

20代の施工管理技士は需要が高く、売り手市場とされます(出典: ベスキャリ建設)。
ここで示されているのは年齢と資格を組み合わせた条件であり、資格だけ、あるいは年齢だけの話ではありません。

つまり、資格の価値は年齢や経験と切り離して測れるものではないということです。
同じ資格を持っていても、経験した工種や現場の規模によって読まれ方は変わります。
この点は施工管理と設計、転職の探し方はどう違う?でも触れています。

逆に言えば、資格がないことだけを理由に動けないと判断する必要もありません。
年齢、経験した工種、担当した工程のどれが自分の材料になるかを整理してから、資格の位置づけを考えるほうが順番として無理がありません。

働き方の条件は資格と別に動いている

2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました(出典: ベスキャリ建設)。
休日や残業の条件を見直す企業が出てきており、条件は数年前と同じではありません。

この変化は資格の有無と関係なく起きています。
資格を取ることに集中して条件の確認を後回しにすると、入ってから前提が違ったということになりかねません。

資格が要るかどうかは求人票で見分けられる

応募条件の欄を先に読む

求人票の応募条件には、資格を必須とするか、あれば尚可とするかが書かれています。
1級と2級のどちらを求めているかが書き分けられていることもあり、そこが応募できるかどうかの分かれ目になります。

この欄を先に読む習慣をつけると、応募できない求人に時間を使わずに済みます。
資格の一般的な価値を調べるより、応募したい求人の条件を数件見るほうが早く結論が出ます。

必須と尚可では意味が違います。
必須であれば持っていない時点で応募の対象外ですが、尚可であれば経験で判断される余地があります。
同じ会社の別の募集で条件が違うこともあるため、会社単位ではなく募集単位で見ます。

無資格で応募できる求人の量を数える

登録型のサービスであれば、会員登録の時点で求人一覧を見られるため、資格不問の求人がどれだけあるかを自分で数えられます。
当サイトのデータでは、建設JOBs、建設キャリアプラス、ビズケン、コンストワークの4件が登録型です。

数えた結果、自分の工種で資格不問の求人が少なければ、取得を優先するという判断ができます。
逆に十分あるなら、取得を待たずに動けます。
判断材料を、記事の一般論ではなく自分の条件で作るという進め方です。
登録型の見分け方は施工管理は面談なしで転職サービスを使える?で扱っています。

資格がない段階で準備できること

経験を工事の単位で書き出す

資格がない場合、説明の中心は経験になります。
担当した工事の用途と規模、工期、自分が持った工程を工事の単位で書き出しておくと、どこまで任せられるかが伝わります。

まとめて作ろうとすると進みません。
求人票の「求める経験」を見ながら、該当するものを箇条書きにしていくほうが早く形になります。
順番は職務経歴書はいつ作ればよいかにまとめています。

取得予定は予定として書く

受験を予定している、あるいは実務経験の要件を満たす見込みがあるという場合、その状況を書いておきます。
取得済みと予定を混ぜて書かないことが前提です。

面談を伴うサービスでは、この点を最初に伝えておくと、紹介される求人の範囲が現実的なものになります。
未経験から入る場合の対象条件は未経験から施工管理に転職できる?で整理しています。

入社後に資格の取得を支援する制度を設けている会社もあります。
制度の有無や条件は求人票や会社の情報に書かれていることがあるため、資格を取りながら働く前提で探すのであれば、そこも確認の対象になります。

まとめ

  • 資格の有無による評価差を示す、出典の確認できる調査データは見つかっていない
  • 確認できるのは業界の年齢構成と、20代の施工管理技士が売り手市場とされること
  • 資格が必須かどうかは求人票の応募条件に書かれており、1級と2級で書き分けられていることがある
  • 登録型のサービスで、自分の工種の資格不問求人がどれだけあるかを数えると判断できる
  • 資格がない段階では、担当した工事を用途・規模・工程の単位で書き出しておく