建設業の転職の話は、「施工管理」と「設計」がひとまとめに語られていることがあります。
ただ、実際に求人を探す段階になると、見るべき求人も、準備する材料も変わります。
ここでは両者の違いを整理したうえで、当サイトが扱っている建設・施工向けサービスのデータでどこまで確認できるのかをまとめます。

施工管理と設計は評価される材料が違う

施工管理は工程と現場の実績で見られる

施工管理は、工期・原価・品質・安全を管理して工事を完成させる仕事です。
同じ「施工管理3年」でも、扱った建物の用途と規模、担当した工程によって読まれ方が変わります。
戸建住宅の現場と大型の商業施設の現場では、動く金額も、関わる業者の数も違うためです。

そのため、準備する材料は担当した工事の一覧になります。
用途、規模、工期、自分が持った工程を並べておくと、話が早く進みます。
書き出す順番は職務経歴書はいつ作ればよいかにまとめています。

現場の数が多い人ほど、すべてを書こうとして手が止まります。
応募先が扱っている建物に近いものから3件ほど選んで書くほうが、読む側にも伝わります。

設計は成果物と関わった範囲で見られる

設計は図面で建物の形と仕様を決める仕事で、意匠・構造・設備といった区分があります。
同じ設計でも、基本設計から関わったのか、実施設計の一部を担当したのかで説明の仕方が変わります。

使っているCADやBIMのソフト、関与した工程、担当した物件の用途を整理しておくと、どこまで任せられるかが伝わりやすくなります。
ただし、守秘義務のかかった図面をそのまま持ち出すことはできません。
実物を見せられない前提で、文章として説明できる形にしておく必要があります。

求められる資格も職種によって書き分けられています。
求人票の応募条件の欄に、どの資格を必須とし、どれをあれば尚可とするかが書かれていることが多いため、そこを先に読むと応募できる範囲が定まります。

両方を経験している場合は軸を1つ決める

現場を経験してから設計に移る、あるいは設計から現場に出るという移り方もあります。
この場合、どちらを軸に探すかを先に決めておかないと、紹介される求人がばらついて比較になりません。

両方を経験していることは説明の材料になりますが、募集は職種の単位で出るのが通常です。
軸を1つ決めたうえで、もう一方は経験として添えるほうが、経歴として読みやすくなります。

建設業の人材需要を職種でひとまとめにしない

若手が薄いのは業界全体の数字

建設業の就業者は、55歳以上が約34%、29歳以下が約11%という構成です(出典: CIC日本建設情報センター)。
全産業平均の29歳以下16%より低く、若い層が薄い状態が続いています。

ただし、これは建設業全体の数字であり、職種ごとの内訳ではありません。
施工管理と設計で同じ状況が起きているとは限らない点は、押さえておく必要があります。

需要として語られているのは主に施工管理

若手が少ないため、現場をまとめる施工管理の人材確保が課題になっているとされています(出典: ジョブハウス建設)。
20代の施工管理技士は需要が高く、売り手市場とされます(出典: ベスキャリ建設)。

一方、設計職について同様の需給を示す、出典の確認できるデータは見つかっていません。
「建設業は人手不足だから設計も売り手市場」と読み替えるのは飛躍になります。
設計で探す場合は、業界全体の話ではなく、自分の区分の求人がどれだけ出ているかを見るほうが実態に近づきます。

働き方の条件はどちらにも関わる形で動いている

2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました(出典: ベスキャリ建設)。
これを受けて、休日や残業の条件を見直す企業が出てきています。

数年前の情報のままで判断すると、いまの求人とずれます。
条件は解説記事ではなく求人票で確認するのが確実です。
この変化は施工管理と設計のどちらにも関わるため、職種にかかわらず同じ確認が必要になります。

職種を問わず先にやること

同じ職種の求人を10件見る

転職活動の第一歩は応募ではありません。
自分と同じ職種・同じ経験年数の求人を10件ほど見て、休日数・残業・年収がどのくらいで提示されているかを把握します。
この段階では応募も面談も要りません。

先に相場を見ておくと、後から提示された条件が高いのか低いのかを自分で判断できます。
進め方は転職するか迷っている段階では何をする?にまとめています。

見た求人は、件数・提示されている年収の幅・気になった条件の3つだけ控えておきます。
項目を増やすと続きません。
3つに絞れば在職中でも続けられ、数か月分たまれば自分の条件での相場が見えてきます。

求人を見ながら経歴を整理する

職務経歴書をまとめて作ろうとすると、休日が1日消えたうえで完成しないことがあります。
求人票の「求める経験」を見ながら、該当する経験を箇条書きにしていくほうが進みます。

施工管理なら工事の一覧、設計なら担当した物件と工程が中心になります。
ここで軸が変わるため、両方の経験を1つの書類に詰め込まないほうが読みやすくなります。

サービスのデータで分かること、分からないこと

10件のうち面談実施型が5件、登録型が4件

当サイトが扱う建設・施工向けサービスは10件です。
進み方で分けると、面談を伴う面談実施型が5件(建築転職、ガウディキャリア、RSG建設転職、GKSキャリア、職人から施工管理エージェント)、会員登録から利用が始まる登録型が4件(建設JOBs、建設キャリアプラス、ビズケン、コンストワーク)、公開情報から進み方が確認できないものが1件(ビルドジョブ)でした。

面談実施型が半数を占めるのは、扱った建物の規模や担当工程が書類だけでは判断しづらいためと考えられます。
なお、この10件のうち対応地域が限定されているのはGKSキャリアの1件のみで、残る9件は全国が対象です。
登録型の見分け方は施工管理は面談なしで転職サービスを使える?で扱っています。

職種の内訳まではデータで分からない

当サイトが持っているのはサービス単位の情報であり、各サービスが施工管理と設計のどちらの求人をどれだけ扱っているかまでは分かりません。
サービス名から推測することもできません。

そのため、設計で探す場合は、登録型で求人一覧を開いて自分の区分の件数を数えるのが確実です。
件数が少なければ、そのサービスでは今後の選択肢も限られると早い段階で判断できます。

数えるときは、職種・勤務地の範囲・経験年数を固定します。
条件を広げると件数は増えますが、応募しない求人まで数に入ってしまい、比較の材料になりません。
複数のサービスで同じ条件をあてて並べると、どこが自分の区分に強いかが見えます。

面談実施型では職域を最初に伝える

面談を伴うサービスでは、施工管理と設計のどちらを希望するか、設計であれば意匠・構造・設備のどれかを最初に伝えます。
ここが曖昧なままだと、紹介の範囲が広がりすぎて比較の基準が作れません。

資格の扱いも職種によって変わります。
施工管理技士を持っているかどうかで何が変わるのかは施工管理技士の資格は転職で有利?で整理しています。

希望を伝えるときは、扱いたい建物の用途と規模も添えます。
職種だけを伝えると、規模の合わない現場の求人が混ざります。
用途と規模まで伝えておけば、紹介される求人の幅が現実的な範囲に収まります。

まとめ

  • 施工管理は工程と現場の実績、設計は成果物と関わった範囲で見られ、準備する材料が違う
  • 若手が薄いのは建設業全体の数字であり、需要として語られているのは主に施工管理。
    設計の需給を示す出典は確認できていない
  • 建設・施工向けサービス10件の内訳は、面談実施型5件・登録型4件・進み方が確認できないもの1件
  • サービスごとの職種の内訳はデータで分からないため、登録型の求人一覧で自分の区分の件数を数える