「転職回数が多いと選考で不利になるのでは」という不安は、転職を重ねてきた人ほど強く感じるものです。
実際のところ、転職回数の多さがどの程度影響するのかは、感覚だけで語られがちで実態が見えにくいテーマでもあります。
ここでは、厚生労働省の統計データをもとに転職の実態を確認し、転職回数が多い場合にどう向き合えばよいかを整理します。
転職そのものは珍しいことではない
若年層ほど転職入職率が高い
厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」によると、年齢階級別の転職入職率(男性)は19歳以下で20.4%と高く、25〜29歳で15.1%、40〜44歳で6.8%、60〜64歳で10.0%となっています。
年齢が上がるにつれて転職入職率は下がる傾向にありますが、どの年齢層でも一定数の転職が発生しており、転職自体が特別な出来事ではないことが分かります。
入職率・離職率も一定の水準で推移している
同調査では、入職率は14.8%(前年比-1.6pt)、離職率は14.2%(前年比-1.2pt)となっています。
労働市場全体で見ても、毎年一定の割合の人が転職を経験しており、1回、2回の転職経験自体は珍しいものではないことがうかがえます。
転職回数より見られているもの
退職理由の一貫性
選考で重視されやすいのは、転職回数そのものよりも、退職理由に一貫性があるかどうかです。
前職を辞めた理由として、男性では「定年・契約期間の満了」14.1%、「給料等収入が少なかった」10.1%が上位に挙がっています。
毎回まったく違う理由で転職している場合と、一貫した軸(専門性を高めたい、働く環境を改善したいなど)のもとで転職を重ねている場合とでは、採用側の受け止め方が変わってきます。
面接で退職理由を聞かれた際に、前職への不満だけを並べてしまうと、次の職場でも同じ理由で辞めるのではないかという懸念を持たれやすくなります。
不満そのものを隠す必要はありませんが、その経験から何を学び、次にどう活かしたいかまでセットで話せると、印象は大きく変わります。
女性は労働条件・人間関係が上位理由
女性の場合は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」12.8%、「職場の人間関係が好ましくなかった」11.7%が上位の退職理由となっています。
前年からの上昇幅を見ると、男性は「会社の将来が不安だった」が+2.2pt、女性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が+1.7ptとなっており、働く環境そのものへの意識の高まりがうかがえます。
こうした理由での転職は、選考の場でも自然に受け止められやすい傾向があります。
次の転職に活かせる説明ができるか
転職回数が多い場合でも、それぞれの経験で得たスキルや知見を、次の転職先でどう活かせるかを説明できれば、回数の多さはマイナスに働きにくくなります。
逆に、退職理由を聞かれて曖昧な答えしかできない場合は、回数の多さ以上に「一貫性のなさ」が懸念材料として見られてしまいます。
業界・職種内での転職は専門性として説明しやすい
同一領域内の転職はキャリアの積み上げと見なされやすい
異なる業界を転々としている場合と、同じ業界・同じ職種の中で転職を重ねている場合とでは、選考側の見え方が異なります。
後者は、複数の職場を経験する中で専門性やノウハウを蓄積してきたという文脈で説明しやすく、転職回数の多さがむしろ経験の幅として評価されることもあります。
たとえば同じ職種で複数の企業規模・業態を経験している場合、それぞれの環境でどう成果を出したかを具体的に語れれば、単なる「転職回数の多さ」ではなく「適応力の高さ」として伝えられます。
経験してきた環境の違いを整理しておくと、この説明がしやすくなります。
賃金変動のデータからも動きの活発さがうかがえる
同調査では、転職による賃金変動は「増加」40.5%、「減少」29.4%、「変わらない」28.4%となっており、増加が減少を11.1pt上回っています。
前年からの変化を見ても「増加」が+3.3pt、「減少」が-3.0ptとなっており、転職によって収入面での改善を実現している人が一定数いることが分かります。
転職を重ねること自体が、必ずしもキャリアの停滞を意味しないことを裏付けるデータといえます。
転職回数が多い場合の伝え方
一貫した軸を言語化しておく
転職回数が多い場合は、面談やエージェントとの相談の場で、これまでの転職に共通する軸(専門性を高めたい、マネジメント経験を積みたいなど)を言語化しておくと、選考の場でも一貫性のある説明がしやすくなります。
頭の中で考えているだけでは軸が曖昧になりがちなので、これまでの転職理由を時系列で書き出してみると、自分でも気づいていなかった共通点が見えてくることがあります。
エージェントに経歴の見せ方を相談する
転職回数の多さに不安がある場合は、面談型のエージェントに経歴の見せ方を相談するのも一つの方法です。
職務経歴書の書き方一つで、同じ経歴でも与える印象は変わります。
第三者の視点から経歴を整理してもらうことで、自分では気づかなかった強みが見つかることもあります。
登録型と面談型の転職サービス、どちらを選ぶ?も参考にしてください。
まとめ
- 厚労省調査では**19歳以下の転職入職率が20.4%**と高く、転職自体は珍しいことではない
- 選考で見られているのは転職回数そのものより退職理由の一貫性
- 同一業界・職種内での転職は、専門性の蓄積として説明しやすい
- 転職による賃金変動は増加が減少を11.1pt上回っており、転職が停滞を意味するとは限らない



